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第五章 進むリゾート計画

物書きと絵師

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 「よ、よろしくお願いします……!」

 やって来たのは十代後半程の男女が一人ずつ。

 「私、ノルンと言います!」
 「お、俺……ユクト、です」

 「私達、町では中堅どころの商家の生まれで、最低限の読み書き計算は叩き込まれてます」

 だが、二人とも長女長男でもなければ次男次女でもなく。
 いずれ家を追い出される立場の子たちであったらしい。

 「私は元々キャッチコピーとか作るのが得意で、それが高じて文章を書くのが好きで……」
 「俺は、絵、描ける……」

 「ですが、このような特技では本来食べていくのはとても困難です」
 「けど……ノルンは器用だけど、俺、絵を描くしか能がないから……」

 「ですので、この求人を見つけて、もう私達の行く道はここしかない、と。骨を埋める覚悟で来ました、お願いします、雇って下さい!」

 「ええ、勿論。お願いします。……ですが、お仕事を任せるに当たり、お二人の実力を見せて貰いたいのです」

 「「は、はい!」」

 「実はこちらに物語の草案があるのです。この中からお二人でお好きな話を選び、人に見せることのできる娯楽小説に仕立て、また、その挿絵を描いていただきたいのです」

 「あの、時間は……」

 「特に制限は求めません。流石に一作に年単位かけられたら困りますが、一月二月位は待ちますよ」

 「「分かりました!」」

 ……こうしてこの二人によって完成した娯楽小説は、このダンジョンの宿にそっと置かれ、またシンくんの手によって売りさばかれていった。

 その間に、私はその物語に沿ったアトラクションのあるテーマパークの作成に勤しんだ。

 そして、このテーマパークにオークやオーガのままの見た目はそぐわない。

 ――故に、だ。

 「おい、これは何だ」
 「キグルミです!」

 うん。テーマパークでは欠かせない役職だね!

 「これを、着せるのか。オークやオーガに」
 「はい。あ、小さいのはゴブリンに着て貰いますよ!」
 「……そうか」

 ふふふ。日本風に言うならラノベランドとでも呼ぼうか。

 勿論グッズ開発にも余念はない。


 ――そして。

 世間に二人の書いた物語が広まりつつある頃。
 私の渾身のテーマパークが開園した。

 ついでに魔物動物園と、魔物水族館、魔物植物園も併設してます。

 一日ここで過ごせる――と言うか一日じゃ到底回りきれない規模の、この世界でおそらく初となるテーマパークは。

 あっという間に世間の話題をさらい、その噂は王都まで駆け抜けたらしい。

 一気にこのダンジョンを訪れる客が増え、街ではついにダンジョン村の開設が会議の議題に挙がる様になったと言う。
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