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第四章 リゾート・ダンジョンオープン
娯楽施設
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「うおぉぉぉ! これで……どうだ!」
「ふふふ、甘いですよ!」
朝風呂に入ってさっぱり目を覚まし、美味しい朝食を食べて腹を満たし。そして、“スポーツアトラクション”とやらの施設を視察に来たパーティメンバーは。
「デュース!」
「あああ、またかよ!」
卓球に熱くなっていた。
――他にもバスケやらテニスやらバッティングセンターやらある中、まず卓球を選んだのは……、温泉宿に泊まったせい……ではないとは思うが。
ルールを飲み込み、遊び方を覚えてからの、このレベルアップの仕方は、流石体の使い方を心得た冒険者だと素直に感心していた。
勿論プロのプレーには遠く及ばないが、今日の今日で既に素人試合ながらプレーが成立しているのがすごい。
まぁ、プレーしてるのが前衛及び中衛職だからね。
ちなみに後衛職の方々はと言えば……
“ガコン!”
「よし! 3番ボールいただき!」
「くっ、けど9番ボールは渡さないわよ!」
ビリヤードで遊んでいた。
玉突き遊びはこちらの世界でも貴族の娯楽として浸透していた様だが、庶民には縁遠い上、ビリヤード程ゲーム性がある訳でも無いらしい。
ちなみに彼らが今プレーしているのはナインボール。
ブレイクから始め、1番から順に9番までのボールを手玉で突いてポケットに落としていく遊びだ。
ミスをするとプレイヤー交代。
途中、どれだけ多くのボールを落とそうと、最後に9番ボールを落とした者の勝ち。
それがナインボール。
いくら力任せにボールを突いても意味はない、頭脳戦。
故に、後衛職の二人は熱く勝負を繰り広げていた。
そして、一通り勝負がつくと。
「おい、これまた美味ぇぞ! 昨夜の飯みたく高くて贅沢な料理とはまた別だが……。どう見ても屋台の軽食なのに、絶対また食べたくなるって今から分かるぜ、これ」
フードコートで昼食を食べるパーティメンバー達。
うんうん。ジャンクな食べ物って中毒性があるからね。
リピーター獲得には、実は高級なお料理より有効じゃないかとさえ私は思っていた。
「あー、マジで何だよここ。こんな施設つきとなれば、多少稼ぎが良い程度の同レベルダンジョンなら、皆絶対こっちのダンジョンを選ぶよな」
「ええ。何でこんなダンジョンが今まで不人気だったのか、理解に苦しみますね」
「誰だよ、全く。ここが初心者ダンジョンなんて評価を下したアホウは!」
そして、夕飯の時間近くまでたっぷり体を使って存分に遊んだ彼らは、風呂の心地良さを存分に思い知らされ、昨日とは違うメニューにまたしても舌鼓を打ち……
「ご利用ありがとうございました。“行ってらっしゃいませ”」
十二分に満足して帰って行ったのだった。
「ふふふ、甘いですよ!」
朝風呂に入ってさっぱり目を覚まし、美味しい朝食を食べて腹を満たし。そして、“スポーツアトラクション”とやらの施設を視察に来たパーティメンバーは。
「デュース!」
「あああ、またかよ!」
卓球に熱くなっていた。
――他にもバスケやらテニスやらバッティングセンターやらある中、まず卓球を選んだのは……、温泉宿に泊まったせい……ではないとは思うが。
ルールを飲み込み、遊び方を覚えてからの、このレベルアップの仕方は、流石体の使い方を心得た冒険者だと素直に感心していた。
勿論プロのプレーには遠く及ばないが、今日の今日で既に素人試合ながらプレーが成立しているのがすごい。
まぁ、プレーしてるのが前衛及び中衛職だからね。
ちなみに後衛職の方々はと言えば……
“ガコン!”
「よし! 3番ボールいただき!」
「くっ、けど9番ボールは渡さないわよ!」
ビリヤードで遊んでいた。
玉突き遊びはこちらの世界でも貴族の娯楽として浸透していた様だが、庶民には縁遠い上、ビリヤード程ゲーム性がある訳でも無いらしい。
ちなみに彼らが今プレーしているのはナインボール。
ブレイクから始め、1番から順に9番までのボールを手玉で突いてポケットに落としていく遊びだ。
ミスをするとプレイヤー交代。
途中、どれだけ多くのボールを落とそうと、最後に9番ボールを落とした者の勝ち。
それがナインボール。
いくら力任せにボールを突いても意味はない、頭脳戦。
故に、後衛職の二人は熱く勝負を繰り広げていた。
そして、一通り勝負がつくと。
「おい、これまた美味ぇぞ! 昨夜の飯みたく高くて贅沢な料理とはまた別だが……。どう見ても屋台の軽食なのに、絶対また食べたくなるって今から分かるぜ、これ」
フードコートで昼食を食べるパーティメンバー達。
うんうん。ジャンクな食べ物って中毒性があるからね。
リピーター獲得には、実は高級なお料理より有効じゃないかとさえ私は思っていた。
「あー、マジで何だよここ。こんな施設つきとなれば、多少稼ぎが良い程度の同レベルダンジョンなら、皆絶対こっちのダンジョンを選ぶよな」
「ええ。何でこんなダンジョンが今まで不人気だったのか、理解に苦しみますね」
「誰だよ、全く。ここが初心者ダンジョンなんて評価を下したアホウは!」
そして、夕飯の時間近くまでたっぷり体を使って存分に遊んだ彼らは、風呂の心地良さを存分に思い知らされ、昨日とは違うメニューにまたしても舌鼓を打ち……
「ご利用ありがとうございました。“行ってらっしゃいませ”」
十二分に満足して帰って行ったのだった。
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