ダンジョン・ホテルへようこそ! ダンジョンマスターとリゾート経営に乗り出します!

彩世幻夜

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第四章 リゾート・ダンジョンオープン

温泉お宿の醍醐味

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 お部屋で冒険の疲れを癒やす。

 勿論それも良いのだけど、緊張がほぐれ部屋でまったりしたいと思う頃には、冒険で汗や汚れでぺとついた身体と臭いが気になり始める。
 ――女性陣は、特に。

 「ご飯の前に汗を流して来るわ。ここ、たらいにお湯のお約束じゃなく、専用の水場があるそうだからね。さっぱりしてから食事がしたいわ」

 「あー、そうだな。俺ももっと気兼ねなくゴロゴロしたいから行って来らぁ」

 部屋に備え付けのタオルを持って、彼らは一階へ降りた。

 「へぇ、ちゃんと男女別になってるのか……。ちょっと残念だな。いや、まぁ今日はそもそも客も他に居ねぇし期待は出来ねぇから良いのか」

 「あぁん? アンタ何か言ったかい?」
 「イエ、ナンデモナイデス」


 「うわぁ、広い! 綺麗!」

 女子脱衣室に入った女性陣は清潔な脱衣室に感激していた。

 「これ……竹? ちょっと痛い気もしないでもないけどそれが気持ち良いとか……。これが痛気持ちいいって感覚なのかしらね?」

 「見て見てこれ、洗濯機に乾燥機だって!
 ……流石に革鎧や勿論金属鎧は無理らしいけど、布製の服なら下着から上着まで自動で洗ってくれて、乾かしてくれる機械だって!
 一回ワンコインみたいだよ、試してみない?」

 早速たった今脱ぎ散らかした汗まみれの服をドラムに放り込み、書いている案内通り、備え付けられた粉の洗剤を入れる。

 「さ、待つ間に汗流しちゃお……って、え、何、これ。や、ホント何これ、広っ!」

 10程もあるシャワーブースに、内風呂、サウナに水風呂、ジャグジー。そして外には露天風呂が3つ。

 「凄く良い香り……」
 「見て、お湯に色々浮かんでいるわ」

 内風呂にはカモミールの花が、ジャグジーにはりんごの果実が浮かんでいて、その香りが風呂場に充満していた。

 「……これ、汚れた体のまま入るのは気が咎めるわね。さっさと汗を流しちゃいましょう」
 「そうね」

 「何これ、シャワー? ……これ、こんなのあるなら冒険者宿でも付けてくれないかしら。宿代が多少高くなっても良いから……」
 「備え付けのこれ、髪や体を洗う洗剤、凄くいい香りよ! それに洗い上がりが素晴らしいわ! これ欲しい!」

 そしてお湯に浸かる。

 「ふあぁ~、気持ち良い……。お風呂ってこんなに気持ち良いんだ、初めて知ったよ」
 「うん、疲れがお湯に溶けて消えてく感じ……」

 ゆっくり温泉を楽しんだ後は。

 「ふあー、ドライヤーって便利!」
 「この化粧水とか乳液とかヤバイよ、肌がツルスベフワモチだよ!」
 「洗濯も終わってる!」

 ――結論。

 「ご飯の後でも一回来よう」
 「出来れば明日の朝も来よう」

 そう決めて、部屋に戻るのだった。
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