ダンジョン・ホテルへようこそ! ダンジョンマスターとリゾート経営に乗り出します!

彩世幻夜

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第三章 リゾートを作ろう!

ダンジョンは万能、魔力さえあれば

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 「ほわー、凄いですぅ!」

 売られてこのダンジョンに来た、その時のシンくんとの旅路。それを除けば一度も生まれ故郷の村から出た事が無いと言うサナが、まず真っ先にその光景に感嘆の言葉を漏らした。

 エレベーターで降りてきたのだが、一般客の使う出入り口に一番近いのは、リーズナブルな民宿とホテルのある界隈だ。

 この目の前を横切る通路を右に行けば安宿が、左に行けば高級宿がある。湖周りを除けば、夏の軽井沢の朝の様な、少し涼しい位の気温と湿度。

 「あれがボートですか……。あっちは釣りが出来るんですね?」
 「そうだよ。後でやってみる?」
 「はい! あ、でもお金は……」
 「今日はプレオープンすらまだまだの、最初の視察だからね。使い勝手とか後で色々話を聞く事になるけど、それでも良かったら好きなだけどうぞ?」
 「はいっ、ありがとうございます!」

 サナは嬉しそうだ。

 しかし……。
 民宿の中を覗いてみる。

 「いや、そりゃ一生懸命、素人知識ながら必死に図面引いたし、色々イメージ固めてから作ったけどさ」

 トイレはすでに洋式水洗ウォシュレット付便器完備、部屋も畳がしっかり、お布団入りの押し入れ付きで。
 洋室もベッドやソファ、テーブルに水回りまで完備。

 流石にサービス良くある、と言うか日本では当たり前だったおもてなし項目の一つの、クシやらハブラシやらといった消耗品は別に用意する必要がありそうだったが……

 「ふむ、そのへんのアイテムの工場もPフロアに増設しないと駄目か。従業員もどうするかなー」

 ちょっと良い香りのする肌に優しい石鹸とか売り出したら……女性客増えないかな?
 よし、ハーブ石鹸を開発しよう。
 早速ハーブ畑を用意しなくては。

 その後、安宿も高級宿も視察したけど、どれも消耗品以外は全て完璧に揃っていて。

 「消耗品を全部ダンジョンブランドで揃えて……、従業員の教育が済めば、すぐにも営業開始できそうね」

 とは言え。まだこれは宿だけの話。

 「ただ温泉につかって美味しい物を食べたいだけの客はこれで十分掴めるでしょうけど、そんな年寄臭い退屈な旅じゃ、若者はすぐに飽きてしまうでしょうね」

 ならば。

 「何か若者にとって魅力的な物を投入しないと……」

 海……は……な。ナンパしたい男達は喜びそうだけど、せっかく宿のアメニティ等で心を掴んだ女性客が離れていってしまいそうなシチュエーションはなるべく避けたい。

 いや、何を作っても一定数はナンパ野郎は紛れて来るだろうけど、浜辺の水着は色々危うい。

 さて、どうするかな。
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