ダンジョン・ホテルへようこそ！ ダンジョンマスターとリゾート経営に乗り出します！

第三章 リゾートを作ろう！

酪農と畜産、そしてリゾートとは

　私含め、手伝いのゴブリン達が養鶏の仕事に慣れてきた頃。

　「そろそろ次へ行きたいね」

　次は牛のミルクと肉。それから豚の肉。
　豚は生ゴミ・残飯処理係としても優秀だ。

　……生ゴミ含めごみ処理係にはスライムが居るんだけどね。奴らは食っても何か副産物を生じる訳でもないので。
　いや、生ゴミ以外はむしろそれがありがたいんだけど。
　豚は太らせれば後で美味しく食べられるからね！

　とはいえ。デカいとはいえ鶏くらいならゴブリンの体格と腕力でも何とかなったけど、牛や豚はな……。

　いや、豚はね。食べてしまう子達は3ヶ月の子供だから、まだそこまで大きくはならない。
　けど、その食べてしまう子達を生み出すための繁殖用の大人豚、特に雄豚なんかはかなりの巨体を誇る。

　少なくとも私程度、突進なんか仕掛けられたら良くて大怪我、悪くて死ぬ、そんな未来しか見えない。

　だから……

　「うーん、オークじゃ牛は良くても、豚の面倒は……なぁ」
　豚頭のオークに食用の豚の世話をさせるのは……こう……ね、どうなの？　って思うから。

　「なら、オーガかな」

　ちなみにこのダンジョンで出現するオーガは、ダンジョンの敵キャラな内はアレだったけど、テイムしたら意外と理性的だった。

　容姿は、肌の色こそ青・赤・緑と様々だったけど、体格的にはしゅっと細身の細マッチョに、なんと着流しの着物を着ていた。……継ぎ接ぎだらけのボロではあったけど。

　だから、テイムしたオーガ達には新しく綺麗な着物をあげたら喜んでくれた。

　そして彼らに酪農と畜産業務を任せる。
　勿論統括するのはサナだ。

　「うん、サナはあれだ。ガルディアダンジョンの農林大臣ねね！」

　木の実やキノコの森を作成しながらサナに振る。
　……後で収集係を誰に任せるか決めないと。
　この後は魚の養殖用の水槽も欲しいんだよなぁ……。

　うん、これはオークの仕事でも良いかな。
　いやぁ、初っ端のオーク相手のボス戦が最早懐かしい。

　しかし、これで食事に困る事はもう無いんだろうけど。

　「肝心のリゾート部分が全くの手付かずなのよね」

　畑やら森やら作ってるここは、マスターのプライベートスペースなので。

　一般の冒険者が訪れるスペースは、多少階層は増えたがそれだけ。
　リゾート部分が本当に全くの手つかずなのである。

　一応、サナやシンくんに聞いてみた事はあったんだよ？
　けどね？

　「リゾート、ですか？　……よく分かりません」
　「貴族の保養なら……お嬢様らはよく夏は池にボート浮かべてたか。元主は……悪巧みばかりしてそういうのには見向きもしなかったな。ああ、賭博の類いは好んだが……」

　なんて回答しか帰ってこなかったのである。

　リゾートとは何か。まずはそこから始めないといけないらしい。