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第三章 リゾートを作ろう!

従属を願う

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 「……くっ、あ……貴方様にお仕えさせて頂きたく存じます」

 気乗りしない相手に無理矢理従わされる屈辱と戦う俺。
 
 ……そんな雰囲気をセーブする事無く醸し出し、ぷるぷると身体を震わせながらも、ヴォルティスの前に膝を付き、頭を垂れる。

 「ふん、嫌々なのが丸分かりだな。俺自身は別にお前が居なくとも死ぬわけでもないし。居たら多少便利だろうが、本来ならお前をこのまま消す事だって出来るんだぞ?」

 それを不愉快そうに見下ろすヴォルティス。

 「俺自身で手を下す事も簡単だが、お前を殺すだけならこのままその辺りに捨てれば後は追手が勝手に始末してくれるだろうさ。お前にかけられた呪いに仕込まれた追跡の術式を辿ってな」

 「うっ……!」
 ピクリと耳がヘタり、尻尾がしんなりしてしまった。

 「……もう一度だけ聞いてやろう。先に言っておくが、これが最後のチャンスだ、何度もやり直してやる程俺はお人好しじゃないんでね。そこの甘っちょろい女と違って」

 「あ、甘っちょろいって……!」

 「甘いだろう? いつでも自分を殺せる力を持つ俺と平気な顔して寝食を共にして、さっきだって躊躇いもなく俺に血を吸わせるんだ。お前の血の甘さはその甘っちょろさからくるのかもな?」

 「いや、食事はともかく寝室は別よね? 共にしてないわよね? それにそもそも血をあげるのは生きるための交換条件だった訳だし……」

 必死になる私を生ぬるい目で見るヴォルティス。

 「――とまぁ、こう言う甘い女が無駄な殺生を厭うんでな。一度は目溢ししてやったんだ。しかし、外でそんな甘い事を言っていたらあっと言う間に搾取される側に転落するだろ?」

 さぁ、どうする?

 ヴォルティスが再度問う。

 「貴方様に、お仕えさせて頂きたく! お願いします!」
 先の話のせいか、顔を青ざめさせた少年がペコペコ頭を下げだした。

 「良いだろう。ではとっととその呪いの術式を取っ払うぞ、この場所をお前の追跡者に割り出される前にな」

 そう言って、少年に服を脱ぐよう指示する。
 「あ、じゃあ私向こうへ……」
 「問題ない、脱がせるのは上だけだ。用があるのはその彫り物だからな」
 「……ほりもの?」

 酷く薄い、筋肉はついているのに折れそうな体には肋がうっすら浮かんでいた。
 人の肌と変わらない、その左胸よりの、ちょうど心臓のある辺りに痛々しく刻まれた、小難しい紋様。

 そして肩下の二の腕には「16番」と番号が……

 「これ、書いたんじゃないよね?」
 油性ペンとかで書いたようには見えない。

 「――そっちは焼き印だろう」
 その指摘に、少年の顔が苦しげに歪んだ。
 
 
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