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第二章 ダンジョン生活

ダンジョンで日光浴

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 「……青空だ」

 新層の水辺ゾーンは、水こそキレイな物だったけど、ダンジョン的には人工の地下水路の様で、岩肌ではなくコンクリートか切り出した岩を磨き上げたかのような壁が続き、薄暗さは洞窟と大して変わらずだった。

 出て来る魔物は水棲魔物だけど、強さ的にはゴブリンと大差ない魔物が大半だった。

 しかし、そこから一つ下った五層に初めて入った時、私は思わず天を仰いでいた。

 この世界に来て初めて見る、どこまでも広がる青い空。
 浮かぶ2つの太陽は、以前にダンジョンの入り口から少しばかり垣間見たけど、基本ずっと洞窟内で暮らしていた私は、その久しぶりすぎる開放感に、自然とテンションが上がった。

 まぁ、周りは森で、基本都会っ子育ちの私にはあまり馴染みの無い環境ではあったけど。やっぱり人間、太陽が必要なんだなと実感する。……2つもは……ちょっと要らない気もするけど。

 「ダンジョンとは世の理とは別の理で成り立っている。……聞いた事はあったが、まさか偽物の太陽まで再現するか」

 隣でヴォルティスがげんなりしている。

 「……やっぱり吸血鬼は太陽が苦手?」
 「太陽? ……ああ、テランとライズの事か? 弱点と言えるほど苦手ではないが、好む者は少ないな。まぁ、ニセモノだけあって問題は無いが、気分は良くないな」

 忌々しそうに空に輝く2つの太陽――こちらでは比較的大きい方をテラン、もう一方をライズと呼ぶらしいが――を忌々しそうに睨んだ。


 こんなに気持ち良いのに。

 「ちゅー!」

 ……魔物さえ、出なければ。
 「ひ、ひいぃぃぃ! コウセイ、遠慮はいらないわ、全力で焼き尽くしなさい!」

 森エリアだからなのか、この層で出現する魔物は全て――虫、だった。

 東京に生きていて。出会う虫なんかたかが知れてる。
 その中でも特に脅威なのはスズメバチ各種他肉食蜂、及び某Gなる黒い家庭内害虫か。

 が、ビーなんてここでは雑魚魔物扱いだ。
 取り敢えずコウセイに残骸一つ残さず焼き払って貰えば良いだけだから。
 他にも、大きなガの群れや蜘蛛など。

 もう見るだけでも耐え難いエリアだった。
 ……唯一の救いはあのGなる悪魔は出現しなかった事だろうか。

 うう、せっかく日向ぼっこ出来そうな素敵エリアなのに、出てくる魔物が最悪だよ……!

 だけど、この時私はまだ新たなボスが何かを当然まだ知らずに居た。

 ――そして、6層に辿り着き、叫び声を上げることになる。

 「チェンジ! 5層と6層、モンスターチェンジして! 強さは変えなくていいから! 必要なら血でも何でもあげるから! ご、ゴキなんか滅びろー!」
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