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第二章 ダンジョン生活

ヴォルティスとボス戦

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 扉が開いて。
 もうそろそろ慣れたを通り越して見飽きた、ボス登場エフェクトが始まる。

 オークと、ゴブリン。
 それらが勢揃いした瞬間、ヴォルティスの姿が消えた。

 「えっ!?」

 驚く間もなく、ゴブリンが次々と床に倒れ付す。
 いつもの様に矢をつがえるどころか弓を構える間も許されなかった様で、衝撃で手放してしまったらしい弓が床に散乱していた。

 そして。

 「プギャー!」

 悲鳴を上げてオークまでもが床に転がった。
 ……が、ゴブリンもオークも消えないところを見ると、未だ息はあるらしい。

 オークをそのまま足蹴にして、中年オヤジのメタボ腹の様なオークの腹に片足を載せたまま、私をちらりと振り返った。

 “とっととゴブリンをって来い”って言うんですよね、分かります。

 ゴブリンもオークも鳩尾に一発強烈なのを喰らったらしく悶絶してらっしゃる。

 ……大変申し訳ないが、急所を一突きしてそれぞれ屠っていく。

 そして、最後にオークを。
 初めて自分でとどめを刺した。
 ……接待プレイの結果とはいえ、ボス戦のラストアタックで得た経験値は、これまでと比べ数倍近く貰えた。

 お陰で一気にレベルが上がる。

 宝箱をゲットして――コアのある“リビング”に戻る。
 ああ、やっぱりシャワーを浴びたい。

 「さて。パワーレベリングに付き合った報酬として、ドロップアイテムを出せ」
 ……ほー。そう来たか。

 確かにレベルアップを手伝ってもらったおかげで、実際レベルは大幅にアップしている。これを従魔とやろうとしたら私は一体何周するハメになっただろう?

 だけど、半ば強制イベント的なノリだったのもまた確かで……。

 別にドロップアイテムにそんなに執着はないけど何となく釈然としない。

 「ふん、仕方ないな。俺がソファを造り終えたら、バスルーム作りに協力してやろう。俺は魔物より余程繊細な魔法も使えるからな」

 ……ぐ。

 「シャワーを浴びたいのだろう? 土と火のが居れば湯船は作れるだろう。が、肝心の水はどうするつもりだ? 俺なら自力で4属性どころか光以外全ての属性の魔法が使えるぞ?」

 ……ぐぐっ、

 「そもそも、湯船程度ならまだしも、シャワーなんて細かい細工の要りそうなもの、魔物に作れるのか?」

 ぐぐぐぐぐっ……!

 「くっ……、気になってた事ばかり見事に突いて来たわね。あー、はいはい出しますよ!」

 けど、最終的にはこうして提供するハメになっている。

 私の衣食住を結局の所担ってくれているのはヴォルティスだし、彼のヤンデレスイッチにはなるべく触れたくないし。

 私はヴォルティスがソファ作りに没頭している間にキッチンに立つ。

 さて、今度は何を作るかな……。
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