25 / 80
第二章 ダンジョン生活
ヴォルティスとボス戦
しおりを挟む
扉が開いて。
もうそろそろ慣れたを通り越して見飽きた、ボス登場エフェクトが始まる。
オークと、ゴブリン。
それらが勢揃いした瞬間、ヴォルティスの姿が消えた。
「えっ!?」
驚く間もなく、ゴブリンが次々と床に倒れ付す。
いつもの様に矢をつがえるどころか弓を構える間も許されなかった様で、衝撃で手放してしまったらしい弓が床に散乱していた。
そして。
「プギャー!」
悲鳴を上げてオークまでもが床に転がった。
……が、ゴブリンもオークも消えないところを見ると、未だ息はあるらしい。
オークをそのまま足蹴にして、中年オヤジのメタボ腹の様なオークの腹に片足を載せたまま、私をちらりと振り返った。
“とっととゴブリンを殺って来い”って言うんですよね、分かります。
ゴブリンもオークも鳩尾に一発強烈なのを喰らったらしく悶絶してらっしゃる。
……大変申し訳ないが、急所を一突きしてそれぞれ屠っていく。
そして、最後にオークを。
初めて自分でとどめを刺した。
……接待プレイの結果とはいえ、ボス戦のラストアタックで得た経験値は、これまでと比べ数倍近く貰えた。
お陰で一気にレベルが上がる。
宝箱をゲットして――コアのある“リビング”に戻る。
ああ、やっぱりシャワーを浴びたい。
「さて。パワーレベリングに付き合った報酬として、ドロップアイテムを出せ」
……ほー。そう来たか。
確かにレベルアップを手伝ってもらったおかげで、実際レベルは大幅にアップしている。これを従魔とやろうとしたら私は一体何周するハメになっただろう?
だけど、半ば強制イベント的なノリだったのもまた確かで……。
別にドロップアイテムにそんなに執着はないけど何となく釈然としない。
「ふん、仕方ないな。俺がソファを造り終えたら、バスルーム作りに協力してやろう。俺は魔物より余程繊細な魔法も使えるからな」
……ぐ。
「シャワーを浴びたいのだろう? 土と火のが居れば湯船は作れるだろう。が、肝心の水はどうするつもりだ? 俺なら自力で4属性どころか光以外全ての属性の魔法が使えるぞ?」
……ぐぐっ、
「そもそも、湯船程度ならまだしも、シャワーなんて細かい細工の要りそうなもの、魔物に作れるのか?」
ぐぐぐぐぐっ……!
「くっ……、気になってた事ばかり見事に突いて来たわね。あー、はいはい出しますよ!」
けど、最終的にはこうして提供するハメになっている。
私の衣食住を結局の所担ってくれているのはヴォルティスだし、彼のヤンデレスイッチにはなるべく触れたくないし。
私はヴォルティスがソファ作りに没頭している間にキッチンに立つ。
さて、今度は何を作るかな……。
もうそろそろ慣れたを通り越して見飽きた、ボス登場エフェクトが始まる。
オークと、ゴブリン。
それらが勢揃いした瞬間、ヴォルティスの姿が消えた。
「えっ!?」
驚く間もなく、ゴブリンが次々と床に倒れ付す。
いつもの様に矢をつがえるどころか弓を構える間も許されなかった様で、衝撃で手放してしまったらしい弓が床に散乱していた。
そして。
「プギャー!」
悲鳴を上げてオークまでもが床に転がった。
……が、ゴブリンもオークも消えないところを見ると、未だ息はあるらしい。
オークをそのまま足蹴にして、中年オヤジのメタボ腹の様なオークの腹に片足を載せたまま、私をちらりと振り返った。
“とっととゴブリンを殺って来い”って言うんですよね、分かります。
ゴブリンもオークも鳩尾に一発強烈なのを喰らったらしく悶絶してらっしゃる。
……大変申し訳ないが、急所を一突きしてそれぞれ屠っていく。
そして、最後にオークを。
初めて自分でとどめを刺した。
……接待プレイの結果とはいえ、ボス戦のラストアタックで得た経験値は、これまでと比べ数倍近く貰えた。
お陰で一気にレベルが上がる。
宝箱をゲットして――コアのある“リビング”に戻る。
ああ、やっぱりシャワーを浴びたい。
「さて。パワーレベリングに付き合った報酬として、ドロップアイテムを出せ」
……ほー。そう来たか。
確かにレベルアップを手伝ってもらったおかげで、実際レベルは大幅にアップしている。これを従魔とやろうとしたら私は一体何周するハメになっただろう?
だけど、半ば強制イベント的なノリだったのもまた確かで……。
別にドロップアイテムにそんなに執着はないけど何となく釈然としない。
「ふん、仕方ないな。俺がソファを造り終えたら、バスルーム作りに協力してやろう。俺は魔物より余程繊細な魔法も使えるからな」
……ぐ。
「シャワーを浴びたいのだろう? 土と火のが居れば湯船は作れるだろう。が、肝心の水はどうするつもりだ? 俺なら自力で4属性どころか光以外全ての属性の魔法が使えるぞ?」
……ぐぐっ、
「そもそも、湯船程度ならまだしも、シャワーなんて細かい細工の要りそうなもの、魔物に作れるのか?」
ぐぐぐぐぐっ……!
「くっ……、気になってた事ばかり見事に突いて来たわね。あー、はいはい出しますよ!」
けど、最終的にはこうして提供するハメになっている。
私の衣食住を結局の所担ってくれているのはヴォルティスだし、彼のヤンデレスイッチにはなるべく触れたくないし。
私はヴォルティスがソファ作りに没頭している間にキッチンに立つ。
さて、今度は何を作るかな……。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し
gari
ファンタジー
突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。
知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。
正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。
過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。
一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。
父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!
地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……
ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!
どうする? どうなる? 召喚勇者。
※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。
異世界で神様に農園を任されました! 野菜に果物を育てて動物飼って気ままにスローライフで世界を救います。
彩世幻夜
恋愛
エルフの様な超絶美形の神様アグリが管理する異世界、その神界に迷い人として異世界転移してしまった、OLユリ。
壊れかけの世界で、何も無い神界で農園を作って欲しいとお願いされ、野菜に果物を育てて料理に励む。
もふもふ達を飼い、ノアの箱舟の様に神様に保護されたアグリの世界の住人たちと恋愛したり友情を育みながら、スローライフを楽しむ。
これはそんな平穏(……?)な日常の物語。
2021/02/27 完結
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
神の使いでのんびり異世界旅行〜チート能力は、あくまで自由に生きる為に〜
和玄
ファンタジー
連日遅くまで働いていた男は、転倒事故によりあっけなくその一生を終えた。しかし死後、ある女神からの誘いで使徒として異世界で旅をすることになる。
与えられたのは並外れた身体能力を備えた体と、卓越した魔法の才能。
だが骨の髄まで小市民である彼は思った。とにかく自由を第一に異世界を楽しもうと。
地道に進む予定です。
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
じいちゃんから譲られた土地に店を開いた。そしたら限界集落だった店の周りが都会になっていた。
ゆうらしあ
ファンタジー
死ぬ間際、俺はじいちゃんからある土地を譲られた。
木に囲まれてるから陽当たりは悪いし、土地を管理するのにも金は掛かるし…此処だと売ったとしても買う者が居ない。
何より、世話になったじいちゃんから譲られたものだ。
そうだ。この雰囲気を利用してカフェを作ってみよう。
なんか、まぁ、ダラダラと。
で、お客さんは井戸端会議するお婆ちゃんばっかなんだけど……?
「おぉ〜っ!!? 腰が!! 腰が痛くないよ!?」
「あ、足が軽いよぉ〜っ!!」
「あの時みたいに頭が冴えるわ…!!」
あ、あのー…?
その場所には何故か特別な事が起こり続けて…?
これは後々、地球上で異世界の扉が開かれる前からのお話。
※HOT男性向けランキング1位達成
※ファンタジーランキング 24h 3位達成
※ゆる〜く、思うがままに書いている作品です。読者様もゆる〜く呼んで頂ければ幸いです。カクヨムでも投稿中。
異世界楽々通販サバイバル
shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。
近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。
そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。
そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。
しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。
「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる