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第二章 ダンジョン生活
進化しました?
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つぶらな黒い瞳の愛らしいその子は、手乗りサイズのハムスター……キンクマちゃんに似ていたけれど、毛色はキンクマちゃんのベージュよりだいぶ赤に寄った色をしていた。
ゴールデンハムスターの茶色とも違う。色だけ言えば雄鶏の鶏冠のような赤。
「ホットマウスじゃないか。……これは変異種じゃないな。寒くない場所なら割とどこにでも居る火鼠モンスターだ」
……うん。時折鼻息の代わりに鼻から火の粉が散ってる。
けど、洞窟ダンジョンに炎系モンスターは……。
しかもこのサイズ、地面を歩かせたらうっかり踏み潰しそうでコワい。
調理の火種をお願いするのがメインになりそうだなぁ……。
「よし、決めた! 君の名前は紅星ね」
「ちゅー!」
これで風、土、火と揃った。……基本属性コンプリートまで残るは水、か。
「けど、私の血を飲んでないのに何で?」
「だからそれを聞きたいんだ。お前、料理に何かしたか? 飯を食えば体力は戻るが魔力は普通は大して戻らん。……その為の吸血なのだからな。吸血では体力はさして戻らんが、魔力と、回復力が爆発的に上がる。……怪我もしてないから回復力がどうだかは分からんが、魔力の回復が著しい」
「いや、調理風景はあんたも見てたでしょ。この世界ではとうかは知らないけど、私の元の世界的には特別な事は何もしてない……どころか手抜き料理の域なんだけどね。調味料も食材も設備も、最低限しかないから」
「あ、お前、スキルは……。――あぁ、分かった。ジョブが進化してやがる、コイツのせいだな」
……は?
「掃除人からランクアップして家事達人に変わってる。……新しいスキルも増えてる。このスキルの効果だろうな。お前の作る料理には回復効果や補助効果が付くらしいぞ」
私のステータスをマスター権限で覗き見したヴォルティスがジト目で私を見る。
「デタラメ女め……」
「何よ」
「分かってるか? ダンジョンマスターの俺の魔力が増えればその分は大半ダンジョンに充てられる。それだけダンジョンが進化するんだ。一応進化には俺の意向が反映される。それを、お前は自分の血を差し出すのではなく料理で可能にした。そして、その食材はダンジョン産だ」
つまり。犠牲なく、永久機関に近しいシステムを稼働可能にしたも同然――らしい。
それも、私の血を差し出すならば、健康を慮る意味でもペースは抑えられ気味だったけど。
料理なら、そんな必要も無く。
「良いだろう。お前の部屋を用意してやろうじゃないか」
ヴォルティスはニヤリと笑って言った。
「もう、ダンジョンから出してやらねぇからな」
あれ。私、なんかおかしなスイッチ押しちゃった?
ちょ、ヤンデレスイッチとか、冗談だよね!!??
ゴールデンハムスターの茶色とも違う。色だけ言えば雄鶏の鶏冠のような赤。
「ホットマウスじゃないか。……これは変異種じゃないな。寒くない場所なら割とどこにでも居る火鼠モンスターだ」
……うん。時折鼻息の代わりに鼻から火の粉が散ってる。
けど、洞窟ダンジョンに炎系モンスターは……。
しかもこのサイズ、地面を歩かせたらうっかり踏み潰しそうでコワい。
調理の火種をお願いするのがメインになりそうだなぁ……。
「よし、決めた! 君の名前は紅星ね」
「ちゅー!」
これで風、土、火と揃った。……基本属性コンプリートまで残るは水、か。
「けど、私の血を飲んでないのに何で?」
「だからそれを聞きたいんだ。お前、料理に何かしたか? 飯を食えば体力は戻るが魔力は普通は大して戻らん。……その為の吸血なのだからな。吸血では体力はさして戻らんが、魔力と、回復力が爆発的に上がる。……怪我もしてないから回復力がどうだかは分からんが、魔力の回復が著しい」
「いや、調理風景はあんたも見てたでしょ。この世界ではとうかは知らないけど、私の元の世界的には特別な事は何もしてない……どころか手抜き料理の域なんだけどね。調味料も食材も設備も、最低限しかないから」
「あ、お前、スキルは……。――あぁ、分かった。ジョブが進化してやがる、コイツのせいだな」
……は?
「掃除人からランクアップして家事達人に変わってる。……新しいスキルも増えてる。このスキルの効果だろうな。お前の作る料理には回復効果や補助効果が付くらしいぞ」
私のステータスをマスター権限で覗き見したヴォルティスがジト目で私を見る。
「デタラメ女め……」
「何よ」
「分かってるか? ダンジョンマスターの俺の魔力が増えればその分は大半ダンジョンに充てられる。それだけダンジョンが進化するんだ。一応進化には俺の意向が反映される。それを、お前は自分の血を差し出すのではなく料理で可能にした。そして、その食材はダンジョン産だ」
つまり。犠牲なく、永久機関に近しいシステムを稼働可能にしたも同然――らしい。
それも、私の血を差し出すならば、健康を慮る意味でもペースは抑えられ気味だったけど。
料理なら、そんな必要も無く。
「良いだろう。お前の部屋を用意してやろうじゃないか」
ヴォルティスはニヤリと笑って言った。
「もう、ダンジョンから出してやらねぇからな」
あれ。私、なんかおかしなスイッチ押しちゃった?
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