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第十三章
王太子による社交の極意講座
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「やあ、初めまして、でいいのかな。執務でよく見る名前だから、初めて会う気がしないんだけど。弟の婚約者だと言うのに挨拶が遅れてすまない」
……つい先日、ノアも成人したけれど。
日本では20歳が成人――つい最近18歳に法律が変更されたけど――だから、それより早い成人年齢の為、まだまだ子供っぽさの残るノア。
しかし、王太子は二十歳半ばの立派な大人である。
王子様だけあってイケメンだけど、ノアとは方向性が違う。
文官肌の人だから、特別筋肉質と言う訳ではないけれど、骨格からしてがっしりとした大人の男らしい青年だ。
そしてその王太子の隣にもう一人。
どことなく王太子に似てはいるけれど、こちらは完全に体育会系の筋肉質な身体つきをしている。
「ああ。俺は第二王子のルディウスだ。……ああ、正式名称の名乗りは今は勘弁してくれ」
「おっと、そういえば僕も自己紹介をしていなかったな。王太子のリオンハルトだ」
――そして、私の隣には勿論ノア。
麗しの王族兄弟揃い踏みである。
「……それと、すまないがもう少し待ってくれ。妹も呼んだんだがまだ来てなくてな」
なんと。
この眩しすぎるメンツに更に王女様まで加わるそうな。
「取り敢えず、何もしないで待つのも時間が勿体ないし、ダンスの稽古でもするか?」
……そんなわけで。
はい、王子三兄弟相手にくるくると円舞曲を一曲ずつ踊りました。
いつもの練習じゃ、影執事やノアとばかり組んでいたから、まぁ新鮮でしたが、足を踏まないよう細心の注意を払いながらの連続ダンスはなかなかキビシイものでした……。
最後、王太子とダンスを踊っている最中に、王女様はやって来た。曲ももう終わりだったから、最後まで踊りきって。
「貴女が? ……ふぅん、冴えない子ね」
挨拶しようとした、王女のいの一番の台詞がコレだった。
「こら、リーチェ!」
王太子の同腹の妹とあって、まず王太子から叱責が飛んだ。
……が、どうやらその叱責が逆効果であったらしい。
怒られてシュンとして、けれど次の瞬間には膨れて私を睨みつける。
「けど、本当の事だわ! あの放蕩者の娘だと言うのに社交界の事が分からないですって? そんなの、お兄様に近付く為の方便でしょう! いい事、お兄様はお忙しいのよ。詰まらない事で煩わせないで頂戴」
と、ちらちら“王太子”の様子を横目で伺いつつ私に説教の体を装い暴言をぶつけてくる。
あー、分かった。この娘、ブラコンか。私は巻き込まれた被害者か。
まぁ、分かるよ。お兄様格好良いもんね。
でもね。私は王太子には欠片の興味もないんだよ。
いや、いち領主を継ぐ立場で、次代の為政者としての王太子には勿論興味はあるけど、それ以上の気持ちは一切無いんだ。
私は思わず遠い目をしてしまう自分を自制し切れなかった。
……つい先日、ノアも成人したけれど。
日本では20歳が成人――つい最近18歳に法律が変更されたけど――だから、それより早い成人年齢の為、まだまだ子供っぽさの残るノア。
しかし、王太子は二十歳半ばの立派な大人である。
王子様だけあってイケメンだけど、ノアとは方向性が違う。
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そしてその王太子の隣にもう一人。
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「ああ。俺は第二王子のルディウスだ。……ああ、正式名称の名乗りは今は勘弁してくれ」
「おっと、そういえば僕も自己紹介をしていなかったな。王太子のリオンハルトだ」
――そして、私の隣には勿論ノア。
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「……それと、すまないがもう少し待ってくれ。妹も呼んだんだがまだ来てなくてな」
なんと。
この眩しすぎるメンツに更に王女様まで加わるそうな。
「取り敢えず、何もしないで待つのも時間が勿体ないし、ダンスの稽古でもするか?」
……そんなわけで。
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いつもの練習じゃ、影執事やノアとばかり組んでいたから、まぁ新鮮でしたが、足を踏まないよう細心の注意を払いながらの連続ダンスはなかなかキビシイものでした……。
最後、王太子とダンスを踊っている最中に、王女様はやって来た。曲ももう終わりだったから、最後まで踊りきって。
「貴女が? ……ふぅん、冴えない子ね」
挨拶しようとした、王女のいの一番の台詞がコレだった。
「こら、リーチェ!」
王太子の同腹の妹とあって、まず王太子から叱責が飛んだ。
……が、どうやらその叱責が逆効果であったらしい。
怒られてシュンとして、けれど次の瞬間には膨れて私を睨みつける。
「けど、本当の事だわ! あの放蕩者の娘だと言うのに社交界の事が分からないですって? そんなの、お兄様に近付く為の方便でしょう! いい事、お兄様はお忙しいのよ。詰まらない事で煩わせないで頂戴」
と、ちらちら“王太子”の様子を横目で伺いつつ私に説教の体を装い暴言をぶつけてくる。
あー、分かった。この娘、ブラコンか。私は巻き込まれた被害者か。
まぁ、分かるよ。お兄様格好良いもんね。
でもね。私は王太子には欠片の興味もないんだよ。
いや、いち領主を継ぐ立場で、次代の為政者としての王太子には勿論興味はあるけど、それ以上の気持ちは一切無いんだ。
私は思わず遠い目をしてしまう自分を自制し切れなかった。
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