【短編】How wonderful day

吉岡有隆

文字の大きさ
上 下
5 / 7

5

しおりを挟む
六月十日週刊文夏トップ

「養子自殺の件で自首した養親を逮捕――自殺教唆ではなかった?養子の目的は“幸せな家庭を経験する事”?

 道警本部は二日未明、岡田武(五十八)と岡田明美(五十二)夫婦を息子の岡田優也さん(二十五)を自殺に追いやった自殺教唆罪の容疑で逮捕した。

 二人の動機は当初優也さんの保険金目当てだったが、優也さんの遺書を読み良心の呵責から自首をしたと口述している。また、自殺に関しては事前に本人の希望があったと口述しており、優也さんが書いた遺書が優也さんの寝室から見つかっている。

 優也さんと岡田夫婦の最初の接点は“幸せの館”という匿名相談サイトだという事が岡田夫婦の口述により判明しており、そこで優也さんの相談を受けるうちに意気投合をし、優也さんと岡田夫婦は実際に会い成年養子縁組を結んだとされる。

 優也さんの死因は当初急性心筋梗塞と誤診をされていたが、岡田夫婦の自供によりトリカブト中毒による急性心不全と診断がされた。トリカブトは優也さん自身が自ら摂取をしたが、岡田夫婦は優也さんがトリカブトを摂取する事を知った上で黙認をしていたとされる。

 優也さんは過去に実の両親から虐待を受けていた事を生前岡田夫婦に相談していた。

 岡田夫婦には現在行方不明の実の息子がおり、その息子の借金の連帯保証人になった事から夫婦は金銭的に困窮していたとされる。そこでサイト上で優也さんに出会い、優也さん側から“死ぬ前に普通の家庭環境を経験させてくれるなら養子縁組を結んで保険金をあげる”と話を持ち掛けられたと岡田夫婦は口述している。

 優也さんは養子縁組を結ぶ前女性と結婚をしており間に長女も授かっているが、その後離婚をし長女は前妻に引き取られており、兄弟も以前両親の虐待により死亡しており、義理の父親は懲役刑、実の母親は他界し天涯孤独だった。

 遺書の内容には岡田夫婦に感謝をしているという優也さんの気持ちが記されており、“毒を盛られて保険金を掛けられても良いから、幸せな家庭の中で死にたい“と生前優也さんは岡田夫婦に語っていたという。優也さんはうつ病を患っていたとされる。

 逸脱した内容ではあるが、虐待サバイバーの精神的ケアが今後の社会の課題と考えられる…」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

四次元残響の檻(おり)

葉羽
ミステリー
音響学の権威である変わり者の学者、阿座河燐太郎(あざかわ りんたろう)博士が、古びた洋館を改装した音響研究所の地下実験室で謎の死を遂げた。密室状態の実験室から博士の身体は消失し、物証は一切残されていない。警察は超常現象として捜査を打ち切ろうとするが、事件の報を聞きつけた神藤葉羽は、そこに論理的なトリックが隠されていると確信する。葉羽は、幼馴染の望月彩由美と共に、奇妙な音響装置が残された地下実験室を訪れる。そこで葉羽は、博士が四次元空間と共鳴現象を利用した前代未聞の殺人トリックを仕掛けた可能性に気づく。しかし、謎を解き明かそうとする葉羽と彩由美の周囲で、不可解な現象が次々と発生し、二人は見えない恐怖に追い詰められていく。四次元残響が引き起こす恐怖と、天才高校生・葉羽の推理が交錯する中、事件は想像を絶する結末へと向かっていく。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

意味がわかるとえろい話

山本みんみ
ホラー
意味が分かれば下ネタに感じるかもしれない話です(意味深)

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

処理中です...