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科学実験クラブとスライム作り!
しおりを挟む今日は金曜日!
金曜の放課後はクラブ活動がある。
光も五年生になって二回目のクラブだ。
麻那人もちゃっかり科学実験クラブに入ったので、同じクラブの空太とリィと四人で理科室へ向かう。
ちなみにラーはダンスクラブ。ルルは手芸クラブだ。
「今日はー! スライムを作ります」
クラブの先生は、隣のクラスのメガネをかけた佐藤カヨコ先生だ。
小学生の子どもがいる佐藤先生は、科学が大好きで話も面白い。
「やったー!」
科学実験クラブは大人気のクラブだ。
特に今回のスライム作りは年に二回やる大人気の実験。
「スライムやった!」
空太も大騒ぎ。
「楽しみだったんだよね」
リィも嬉しそう。
「私も!」
もちろん光も楽しみだった。
「スライム……?」
麻那人はキョトンとしている。
佐藤先生が黒板に材料を書いて、説明を始めた。
「はーい。そうしたらまず、紙コップにホウ砂とぬるま湯を入れてホウ砂水を作ります」
みんな紙コップに配られたホウ砂とぬるま湯を混ぜる。
「次に違う紙コップに洗濯のりと水を入れて、好きな色の絵の具を入れて割りばしでよく混ぜてくださ~い」
色んな色の絵の具があるので、みんな何色にしようか迷う。
「俺は絶対、水色! スライムったら水色だろ! 空色だしな!」
空太はすぐに決めて水色の絵の具を混ぜ始めた。
「あたしは~どうしよ……あたしも水色にしよっかな。綺麗だし」
リィは空太から水色の絵の具を受け取って絵の具を混ぜた。
「私はどうしよう。水色もいいよね、でもピンクも可愛いし……オレンジもいいな……あ~でも黄色にしようかな」
「光は黄色が好きなの?」
「うん。なんか黄色見るとキラキラしてるっていうか元気が出るから好きなんだ!」
「光の色だね」
「えへへ、うん」
光が黄色い絵の具を混ぜた。
自分の名前も光だし、光はヒマワリの花も大好きだ。
「僕は黒にしよう」
「えっ」
ちょっとびっくりする光。
三十人いるクラブで黒にしたのは麻那人だけだった。
「それでは~洗濯のりを入れた方にホウ砂水を少しずつ入れて割り箸で素早く混ぜていってくださいね。固まるまで繰り返して、好みの硬さになったら取り出したら、手でよく揉んで完成ですよ!」
先生の言うとおりに、みんなが始める。
あちこちでキャーキャーと楽しそうな声があがった。
「わぁ! 固まってきたよ」
「本当だ」
光の黄色いスライムも固まってくる。
一生懸命に混ぜながら、少しホウ砂水を入れてを繰り返した。
「ホウ砂には、洗濯のりの中の成分のポリビニルアルコールというものをつなぐ働きがあるから固まってくるんですね」
先生の話もみんな聞こえていないかのように夢中だ。
「できたぁ!」
また、あちこちでできたスライムをみんなで伸ばしてびろ~~~んとして笑い声が響く。
「服につかないようにね!」
佐藤先生がみんなに注意する。
「私もできた!」
「僕も」
光が黄色いスライムを見せ、麻那人も真っ黒なスライムを見せた。
「あはは、黄色と黒でさ~二人で危険!危険!って看板みたい」
リィに笑われる。
「危険って何よぉ」
「はは、たしかにそうかもね」
言い返す光に麻那人は笑う。
空太も出来上がって、みんなで伸ばして遊んだ。
「これは面白い。作戦に使えるかもしれないなぁ」
真っ黒なスライムを机の上で伸ばして引っ張っりながら麻那人は言う。
「え?」
「ぺってぽりんに売ってないかな……あそこは雑貨も置いてるし……」
その微笑みはたしかに危険だ、と光は思った。
「二人の黄色と黒を混ぜたら、何色になるんだろうねぇ」
スライムで遊んでいる二人に、リィが言った。
「それは黒になるでしょ~」
「そっか。あたし美術とかはよくわかんないからさ~空太、あたしの水色同士混ぜてみる?」
リィは笑って、すぐに空太と方へ行った。
「……光と闇をぶつけたら、どうなるのかな?」
なんとなく光が自分の黄色いスライムと、麻那人の黒いスライムを見比べて思う。
「天使と悪魔が……という話ではなくて、光の力と闇の力を無理に合わせると爆発が起きるかな」
「ば、爆発?」
「簡単に言うとね、相反して過剰に力が暴走してバーンさ」
物騒な話に光は唖然としてしまった。
「ま、麻那人……天使の加護の紋章……! 大丈夫なの!?」
コソコソとでも慌てて光は聞く。
「あぁ、僕なら全然大丈夫さ。だって僕は……」
安心しながら光も言う。
「「悪魔王子だから」」
小さな二人の声がハモった。
そしてその日の放課後に、光は麻那人と一緒に『駄菓子屋ぺってぽりん』に行った。
「ふぅ~ん……洗濯のりとぉ~……ホウ砂ねぇ~~~」
そう言って女の子が持ってきてくれたのは、なんだか容器の中でうごめいてる洗濯のりとぶつぶつ何か声が聞こえてくるホウ砂だった。
「これでスライムを作ろう」
「うひぃ……」
紙コップと割り箸も買って、屋根裏部屋でスライム作りをした。
お父さんにもういらなくなったお鍋をもらって、鍋いっぱいに作る。
「色は透明でいいの?」
「うん」
麻那人が何を考えているのか光にはわからなかった。
「逃げ出さないようにしないとね」
ぽこぽこうごめくスライムが逃げ出さないように、フタをしてガムテープで閉じた。
素敵なカーペットが汚れないように、新聞紙の上にスライム鍋を置く。
なかでうねうね動いている。
「うわぁ……本物のスライムじゃん……」
ゲームに出てくるモンスターを光は思い浮かべる。
「ちょっと言うこと聞くように、しつけないとなぁ」
「これ何に使うの?」
「まだ秘密~」
パタパタと二人の上をファルゴンが飛ぶ。
「麻那人様、ちょっと魔界に行っておりましたぁ」
神社で姿を消してから、数日いないと思っていた。
「情報収集ありがとう……まさか僕の居場所を伝えてはいないだろうね」
「も、もちろんでございます!」
麻那人に見つめられて、慌てて左右に揺れるファルゴン。
「……麻那人、こっちにいる事をお父さんに言ってないの?」
「まぁ、その話は今はいいじゃない。で? 情報は?」
「情報ってなんの?」
光にはなんの事だかわからない。
「とりあえず、チョコアイスを食べさせてくれぇ光。沢山飛んで疲れたのだ」
「もう~」
夕飯前だけど、すっかりチョコアイスが気に入ってしまったファルゴンのためと自分達の分もアイスを三つ持ってきた光だった。
ファルゴンの情報とはいかに。
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