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魔術クラブ捜査開始!

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 今日もまた、学校が始まる。
 魔術クラブバッジはいつも身に着けなくても、持っている事で効果が身体に移ってくるらしい。

「んー? 魔術クラブのバッジ? くれるのか? ありがと」

 サッカークラブで来れなかった空太にもバッジをあげる。
 みんなに見えない教室のすみっこで、バッジをズボンにしまいながら空太が言った。

「この模様、光のじいちゃんにもらったカードと一緒だな」

「えー知ってる? おじいちゃんの部屋にあったんだけどさ。天使の加護の紋章なんだって」

 コソッと光が耳元で話す。

「うん、これは鬼の意地悪を跳ね返す強さをくれるよってカードをもらった」

「へぇーそんな事があったんだ」

「鬼ごっこでいっつも追いかけられてばっかで、イヤになって途中で帰った時に家の前で声をかけられたんだよ」

 空太の家は、前は光の隣にあった。
 でも今は少し離れたマンションに引っ越したのだ。

「知らなかった」

 空太はもっと小さな頃、身体が小さくて気弱な面もあって意地悪される事も多かった。
 幼なじみの光は空太が意地悪されているところを見かけたらすぐに助けに行っていたけど、いつもその場面にいられるわけじゃない。

「俺、このカードもらってしばらく持ってたんだけど、ある日どっかに失くしちゃった……でも役目を終えたんだよって言われたんだよな」

 失くした事がショックだった事が空太の顔でわかった。
 でも空太はサッカーを習い始めて沢山練習するうちに足も速くなって、背も伸びて、何を言われても負けない男子になった。

「空太はもう強いから本当に、役目を終えたってことなんだね」

「へへっなんだよ急に」

 褒められて照れたように空太は頭をかいた。

「へぇ、空太君は光のおじいちゃんと仲良しだったんだねぇ」

 二人の話を聞いて、ニコリと笑う麻那人が現れた。

「麻那人……そうだぜ! 仲良かった! お前もか?」

「僕は残念ながらお会いしたことはないんだ」

「なんだぁそうかよ。まぁ俺は幼なじみ歴が一番長いからな!」

 ふふん! と得意げになる空太。

「ラー達とそんなに変わらないよ? 私は赤ちゃんの頃から保育園でいっぱいお友達いたからね」

 光の言葉に、ぐぐっとなる空太。

「みんな仲良しのお友達でいいね。空太君、今度おじいちゃんのお話を僕に聞かせてよ」

「うーん。実は、この模様くらいしか特別な話はないんだ」

 あはは、と空太は笑う。

「そっか」

「(おじいちゃんの話を麻那人は聞きたいんだ?)今度、私が話すよ」

 光が言った。

「うん、楽しみだな」

 麻那人と光、二人で見合って微笑む。
 その間に割って空太が入り込んだ。
  
「おい! 麻那人!」

「ん?」

「昼休みは俺とサッカーしようぜ!!」
 
 ビシィ! と空汰が言う。

「サッカーか。空太君誘ってくれてありがとう。うん、楽しみだな」

「空太でいいぜ! 麻那人」

「ん?」

「光は呼び捨てだろ! 俺も呼び捨てでいいぜ」

「うん。わかったよ空太」

 麻那人が微笑むと、空太も照れたように笑った。
 光は少しだけ情報収集をしてほしいな、と思ったのだが麻那人がクラスの男子と仲良くするのはいいことだし、と思った。
 今日の給食もペロリと食べて、麻那人は校庭にサッカーをしに行った。

「男子って元気ね」

 ラーが言う。
 本当はラーもドッジボールが大好きなのだけど、モデルをやるようになってからは昼休みは教室にいるようになった。

「みんなの話聞いてたらさ~追いかけ鬼の歌は誰がどこで歌ったかわかんないって」

 リィはもう、みんなに聞き込みをしてくれたようだった。
 追いかけ鬼は『都市伝説』
 始まりを追うことはさすがにできないだろう。

「とりあえず手当たり次第に聞いてみよっか!」

 光は教室を見渡した。
 校庭に行く子はクラスの半分ほど。
 図書館に行く子はその半分。
 残りは教室でおしゃべりしたり、本を読んだりしている。

「ど……どうやって聞こう」

 ルルが困ったように聞いた。
 
 光もそれをずっと考えていた。
 いつもだったら『みんな聞いてーー! 追いかけ鬼のこと知ってる!?』と聞いてたはずだ。
 でもあまり騒ぎにならない方がいい。

「一人ずつ聞いてみよう」
 
 光の提案だ。
 
「わかった」

 ラーもうなずく。

「あたし、隣のクラスに行ってみるわ。ルル行こう」

「うん」

 リィとルルが一緒に隣のクラスへ行った。
 五年生は三クラスあって、光達は一組だ。
 昼休みだけでは二組だけで精一杯。

 みんなそれぞれ頑張った。
 だけど五年一組、二組で追いかけ鬼の情報を知っている人はいなかった。
 麻那人はサッカーがすごく上手だ! とその後クラスで話題になった。


 
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