上 下
16 / 45

不思議な駄菓子屋でお買い物

しおりを挟む
 
 駄菓子屋の店員さんが、姿を見せた。

 背が低くて髪が真っ白……でもおばあちゃんではない。
 長い髪に牡丹の花を刺して、ピンク色の着物を着て白いフリルのエプロンをした女の子だ。
 瞳がキラキラしてて可愛い。
 
「こんにちは!」

「こ、こんにちは(私と同じくらいに見える?)」

 悪魔王子が挨拶したので、光も挨拶した。
 
「はい、こんにちは~。珍しいお客さんだねぇ~~ちょっと、いやかなりおどろいてるよ~」



 ゆっく~りなしゃべりかた。
 でもにっこりしている。

「(おどろいてるようには見えないけど……)」

「僕らは人間だよ。お菓子を買ってってもいい?」

「(いや、あんたは悪魔でしょ!)」

「そりゃ~あ、もちろん買ってってよぉ~。でも人間の子供に払えるかい~?」

「お代はなに?」

「(……この女の子は人間じゃないんだよね……じゃあ、やっぱり人間の命が代金……?)」

 余裕な麻那人の後ろで、光はドキドキソワソワだ。

「そうだね~~せっかくの人間の子どもだし~~~キラッキラの楽しい気持ちをもらおうかな」

 ニコニコしたまま女の子は言う。

「な、なにそれ!?」

「ふふふ! いいよ、僕は今すっごく楽しいからね。いくらでも出てくるよ。はい」

 おどろく光を横にして、悪魔王子は小銭を渡すように手を女の子店員の方へ向ける。

「ほ~い」

「ほらほら、いっぱい出るよ!」

 キラキラとした光の粒がコインのように、女の子の手に落ちた。

「え!? どゆこと!?」

「だから、僕の楽しい気持ちさぁ~」

 なんだか麻那人まで喋り方が移ってる!?

「あ~~らすごいねぇ~。でも此処は~駄菓子屋だよ~。こんなに払ったって大きな丸い高級ケイクなんか~ないんだよ~~」

「(丸い高級ケイクって、ホールのケーキかな……? あれがお金のかわりになるのぉ!?)」

「駄菓子がほしいんだ。お釣りはいらないよ。じゃあこの子と二人で買い物するね」

「変な子だ~~あんた~~本当に人の子かい?」

「へへっまぁ人の子だね。じゃちょっと買い物させてよね」

「どうぞ~~」

「(バレそうじゃん!)」

 疑われてヒヤッとするけど、麻那人は笑ったままだし、店員さんはそれ以上何も言わない。

 麻那人は、店内を見渡して狭い店内を歩く。
 たしかに駄菓子が置いてある。
 でも、見慣れたような駄菓子だが……。
 パッケージや名前は似てるけど、何かが違うお菓子ばかり。

「……へるへるへるね……? イヤンイヤンつけないぼー……なんか変」

 キョロキョロしてしまう光。

「この飴玉いいね。これを……えっと六個ください」

 麻那人は、大きなガラスの瓶に入った飴玉を指差す。

 大きくて丸い飴玉が、キラキラしたフィルムでまかれている。

 両端がキュッとなってリボンみたい。
 可愛くて綺麗な飴玉だ。

「あはは~いいね。コレ食べてたら、あんしん。あんし~ん」

「だよね」

 パカッとフタを開けて、六個取り出すと女の子は紙袋に入れてくれた。

「はぁ~いどうぞ。ありがとうね~」

「どーも~」

 またキョロキョロしていると、瓶に入ったマシュマロがうごいた!?
 古い天井のすみっこに何かいるような気がした。
 おもわず、麻那人に近寄ってしまう。

「じゃあまた来まーす」

「はぁ~い。ありがとさん。またきてね~~」

 一緒に店から出て、振り返るともう汚いレンガの壁しかなかった。

「どえーーーー!?」

 実際に目に見てもおどろきで、あんぐり口を開けてしまう。

「ふふ、口に虫が入りそうだよ」

 面白そうに、麻那人が笑う。

「あっやだ! もう~だれだってビックリするよ!」

「まぁ、そうだよね」

「あの子は悪魔?」

「いいや、あの子は、この壁を気に入っている神様のお使いみたいな感じかな。この壁すごいなぁ」

 何がすごいのかわからないが、この汚い壁はすごいらしい。
 
「か、神様? 悪魔もいて、神様もいるの?」

「そりゃいるよ。人間だって、いろんな人種がいるし国も違うでしょ」

「……うん。そういうもの?」

「そういうものだよ」

 わかるような、わからないような……。

「精霊様もいる?」

「いるいる。妖精もいるよ」

「ふ~ん……(あぁ……妖精様もいるのに! どうして魔法陣間違えちゃったの!?)」

「あはは、それなのに悪魔召喚の魔法陣をえらぶなんてさー光は面白いよね」

 同じことを麻那人に突っ込まれてしまう。

「もう! それは知らなかっただけだもん」

「あはは、まぁ僕は、今がすっごく楽しいから良かったと思うよ」

「……楽しい……」

「うん。光と一緒だと、なんでもすごく楽しいよ」

「えっ……」

 麻那人の笑顔がまぶしく感じた。
 こんな、なんでも真っ直ぐに言ってくる人ってあんまりいないと光は思う。

「(いや、人じゃない。悪魔だし……でもでも、なんかドキドキする!?)」

 照れくさくなって、あっちを向いた。

「じゃ、じゃあ行こう」

「うん」

 でもちょっとだけ、悪魔王子と一緒にいるのも楽しくなってきた光だった。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」  静寂をかき消す、衛兵の報告。  瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。  コリウス王国の国王––レオン・コリウス。  彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。 「構わん」……と。  周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。  これは……彼が望んだ結末であるからだ。  しかし彼は知らない。  この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。  王妃セレリナ。  彼女に消えて欲しかったのは……  いったい誰か?    ◇◇◇  序盤はシリアスです。  楽しんでいただけるとうれしいです。    

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

夫から国外追放を言い渡されました

杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。 どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。 抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。 そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

処理中です...