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なんであんたが!?
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「はぁ! はぁ! たっただいまっっはぁ」
安全運転の範囲で、自転車をぶっ飛ばして急いで帰ってきた光。
「どこ行ってたんだ~? 心配したよ」
台所からお父さんの声が聞こえる。
良い香りが玄関までするので、料理中だろう。
「(家に入る前に、何度も振り返ったけど誰もいなかった。き、きっと大丈夫!)」
玄関にヘルメットを置いて、うがいと手洗いを念入にする。
そして温かいホッとするリビングに入った。
「あぁ、お父さんのオムライスいい匂い~!」
お父さん特製の卵がトロットロのオムライス。
バター香るケチャップライスには鶏肉がたっぷり!
隠し味にトリュフっていう高級なキノコ風味のお塩を使っていてレストランにも負けない味!
「おかえり! お先に頂いてたよ~」
「え!?」
聞き覚えのある男の子の声。
でも、空太ではない!
なんと、そこにはニコニコとテーブルに座ってオムライスを食べる悪魔王子!?
「う~~ん、うまぁ~~い」
大きなスプーンで口いっぱいに頬張る悪魔王子。
悪魔王子!
悪魔王子!!
「な、なななななななな!! あんたっ!?」
「美味しいなぁ、こんな美味しいオムライスは初めて食べたよ! 最高だね!」
大喜びで、悪魔王子はトロットロオムライスをまたほおばる。
「そうかい? 喜んでもらえて嬉しいよ! おかわりするかい?」
特製オムライスを褒められてお父さんはゴキゲンルンルンだ。
「お、お父さんなにやってんのぉ!?(そ、そいつは悪魔なんだよ!?)」
「ん? オムライス作ってたけど……?」
驚きまくりの光を見て、不思議そうなお父さん。
「ぜひ! おかわりしまーす!」
「ぜひ! じゃないよー!! な、なんであんたがここに!?」
混乱しながら叫ぶ光。
「こらこら! なんてこと言うんだい。今日から来るって話をしてたじゃないか」
「え!? お父さん!? どういう事!?」
聞いてないよ! と光は思う。
「お父さんの大の親友の息子の亜久・麻那人君だよ」
悪魔王子はさっきまでのマントやスーツを着ていない。
ちょっと、良いところの坊っちゃん風でワイシャツにベストにズボン。
普通の人間の男の子みたいだ。
「どうも、麻那人だよ。よろしくね光」
「は、はぁ~~!? あ、あんたっお父さんに何をしたのよ!?」
つい怒鳴ってしまう光。
「こら! 光! 麻那人君に失礼を言うんじゃない! ごめんね~麻那人君」
「いえ、全然。びっくりさせちゃったかな……」
困り顔のお父さんに、あははっと笑う麻那人。
「前から話をしていたのに、困った子だなぁ」
「お、お父さん! 親友って誰!? 名前を言ってよ?」
「ん? う~ん? えっとぉ……あれ?」
お父さんは、思い出せないような顔をする。
「亜久・大雄ですよ。おじさん」
「あー! そうだよ! 大雄に怒られるな! ど忘れしちゃうなんて! あっはっは! さぁ光の分も作るから待っていなさい」
お父さんは『大雄を忘れるなんてなぁ』と言いながらも、ルンルンで台所に向かう。
「あ……あ、あんた……」
「このコンソメスープも絶品だなぁ……うん! このサラダのドレッシングも最高だ!」
「いや~、そんなに褒めてもらえて嬉しいよ。この家が自分の家だって思ってすごしてね」
台所から顔を出してお父さんが言う。
「はぁい! 僕も嬉しいなぁ!」
ずっこけそうになる光。
「じ、自分の家って! 一体どこの部屋で寝るつもり!?」
「屋根裏部屋を借りる事にするよ」
「えっ」
「あそこはなかなか見ものだった。僕から見てもすごいものがわんさかだ」
屋根裏部屋はおじいちゃんのアトリエだ。
本棚には本がびっしり、不思議なアイテムもたくさんある。
「だめーー! なんで、あんたが! ダメだよ!」
「こら! 光! 意地悪しない!」
「い、意地悪なんかじゃ……(だって、だってこいつは悪魔王子で……あそこは大事なおじいちゃんの部屋で……私がもう少し大きくなったら……あの部屋を私の部屋にしようって思ってたのに……)」
今はお父さんの隣の部屋が光の部屋だ。
中学生になったら、という約束だったのにと光はくちびるを噛む。
「ダメなのに……」
こんらんする事ばっかりで、とうとう光の目から涙があふれる。
「あ……」
「おじいちゃんの部屋……なのにぃ」
悪魔王子は、立ちっぱなしで泣き始めた光の元に来て指で涙をそっと拭いた。
「……泣かないで」
顔が近くで、悪魔王子の目がキラッとした。
真剣な顔にちょっとびっくりでドキッとした光。
「じゃあ君と僕の部屋ってことにしない?」
「え?」
「二人の部屋だ。オッケー?」
「う、うん……」
「よろしくね光」
「うん……って! なんか丸め込まれてる!?」
「さぁできたぞ! オムライス! 麻那人君のおかわりも!」
「やったぁ! さあ食べよ!」
「う、うん……」
叫びそうになったけど、ちょうどお父さんのオムライスができたので光はテーブルに座った。
一口食べたらとろけて幸せ~。
「美味しいね」
「うん」
「さぁみんなで乾杯しようか」
「「「乾杯~~」」」
お父さんも混ざって、にぎやかな夕飯になった。
「(え……!? 悪魔王子といっしょに暮らす!?)」
そう思いながらも、オムライスを食べるとやっぱり美味しくて幸せになる光だった。
安全運転の範囲で、自転車をぶっ飛ばして急いで帰ってきた光。
「どこ行ってたんだ~? 心配したよ」
台所からお父さんの声が聞こえる。
良い香りが玄関までするので、料理中だろう。
「(家に入る前に、何度も振り返ったけど誰もいなかった。き、きっと大丈夫!)」
玄関にヘルメットを置いて、うがいと手洗いを念入にする。
そして温かいホッとするリビングに入った。
「あぁ、お父さんのオムライスいい匂い~!」
お父さん特製の卵がトロットロのオムライス。
バター香るケチャップライスには鶏肉がたっぷり!
隠し味にトリュフっていう高級なキノコ風味のお塩を使っていてレストランにも負けない味!
「おかえり! お先に頂いてたよ~」
「え!?」
聞き覚えのある男の子の声。
でも、空太ではない!
なんと、そこにはニコニコとテーブルに座ってオムライスを食べる悪魔王子!?
「う~~ん、うまぁ~~い」
大きなスプーンで口いっぱいに頬張る悪魔王子。
悪魔王子!
悪魔王子!!
「な、なななななななな!! あんたっ!?」
「美味しいなぁ、こんな美味しいオムライスは初めて食べたよ! 最高だね!」
大喜びで、悪魔王子はトロットロオムライスをまたほおばる。
「そうかい? 喜んでもらえて嬉しいよ! おかわりするかい?」
特製オムライスを褒められてお父さんはゴキゲンルンルンだ。
「お、お父さんなにやってんのぉ!?(そ、そいつは悪魔なんだよ!?)」
「ん? オムライス作ってたけど……?」
驚きまくりの光を見て、不思議そうなお父さん。
「ぜひ! おかわりしまーす!」
「ぜひ! じゃないよー!! な、なんであんたがここに!?」
混乱しながら叫ぶ光。
「こらこら! なんてこと言うんだい。今日から来るって話をしてたじゃないか」
「え!? お父さん!? どういう事!?」
聞いてないよ! と光は思う。
「お父さんの大の親友の息子の亜久・麻那人君だよ」
悪魔王子はさっきまでのマントやスーツを着ていない。
ちょっと、良いところの坊っちゃん風でワイシャツにベストにズボン。
普通の人間の男の子みたいだ。
「どうも、麻那人だよ。よろしくね光」
「は、はぁ~~!? あ、あんたっお父さんに何をしたのよ!?」
つい怒鳴ってしまう光。
「こら! 光! 麻那人君に失礼を言うんじゃない! ごめんね~麻那人君」
「いえ、全然。びっくりさせちゃったかな……」
困り顔のお父さんに、あははっと笑う麻那人。
「前から話をしていたのに、困った子だなぁ」
「お、お父さん! 親友って誰!? 名前を言ってよ?」
「ん? う~ん? えっとぉ……あれ?」
お父さんは、思い出せないような顔をする。
「亜久・大雄ですよ。おじさん」
「あー! そうだよ! 大雄に怒られるな! ど忘れしちゃうなんて! あっはっは! さぁ光の分も作るから待っていなさい」
お父さんは『大雄を忘れるなんてなぁ』と言いながらも、ルンルンで台所に向かう。
「あ……あ、あんた……」
「このコンソメスープも絶品だなぁ……うん! このサラダのドレッシングも最高だ!」
「いや~、そんなに褒めてもらえて嬉しいよ。この家が自分の家だって思ってすごしてね」
台所から顔を出してお父さんが言う。
「はぁい! 僕も嬉しいなぁ!」
ずっこけそうになる光。
「じ、自分の家って! 一体どこの部屋で寝るつもり!?」
「屋根裏部屋を借りる事にするよ」
「えっ」
「あそこはなかなか見ものだった。僕から見てもすごいものがわんさかだ」
屋根裏部屋はおじいちゃんのアトリエだ。
本棚には本がびっしり、不思議なアイテムもたくさんある。
「だめーー! なんで、あんたが! ダメだよ!」
「こら! 光! 意地悪しない!」
「い、意地悪なんかじゃ……(だって、だってこいつは悪魔王子で……あそこは大事なおじいちゃんの部屋で……私がもう少し大きくなったら……あの部屋を私の部屋にしようって思ってたのに……)」
今はお父さんの隣の部屋が光の部屋だ。
中学生になったら、という約束だったのにと光はくちびるを噛む。
「ダメなのに……」
こんらんする事ばっかりで、とうとう光の目から涙があふれる。
「あ……」
「おじいちゃんの部屋……なのにぃ」
悪魔王子は、立ちっぱなしで泣き始めた光の元に来て指で涙をそっと拭いた。
「……泣かないで」
顔が近くで、悪魔王子の目がキラッとした。
真剣な顔にちょっとびっくりでドキッとした光。
「じゃあ君と僕の部屋ってことにしない?」
「え?」
「二人の部屋だ。オッケー?」
「う、うん……」
「よろしくね光」
「うん……って! なんか丸め込まれてる!?」
「さぁできたぞ! オムライス! 麻那人君のおかわりも!」
「やったぁ! さあ食べよ!」
「う、うん……」
叫びそうになったけど、ちょうどお父さんのオムライスができたので光はテーブルに座った。
一口食べたらとろけて幸せ~。
「美味しいね」
「うん」
「さぁみんなで乾杯しようか」
「「「乾杯~~」」」
お父さんも混ざって、にぎやかな夕飯になった。
「(え……!? 悪魔王子といっしょに暮らす!?)」
そう思いながらも、オムライスを食べるとやっぱり美味しくて幸せになる光だった。
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