あいつは悪魔王子!~悪魔王子召喚!?追いかけ鬼をやっつけろ!~ 

とらんぽりんまる

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誤解の契約!!

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「妖精の召喚魔法をしたつもりだったってこと?」

 悪魔王子が言う。
 ぴゅーっと冷たい風が二人の間に吹いた。

「そ、そう……可愛い素敵でかっこいい……妖精様……魔術クラブのみんなで……」

 いつも魔術クラブのみんなで妄想していた妖精の女の子とか……妖精王……。
 金髪で耳の長い綺麗な……妖精。

「子どもよ、お前が使った魔法陣は下位悪魔の召喚魔法だ」

「かい……? アサリの悪魔? シジミの悪魔?」

「アサリはスパゲッティがいいの。シジミは味噌汁……って違うわーーー! 下っ端の悪魔の事じゃ! ちなみに悪魔王子様は超超超超上級悪魔。あんな魔法陣では呼び出すことなど到底不可能のお前の雲の上の上の上の存在の御方なのじゃ!」

「じゃ……じゃあどうして……」

「なんかちょっと魔界に飽きちゃってさ。そんな時にさっきの召喚のゲートを見かけたから」

 アハハと軽く悪魔王子は笑う。

「飽きて……」

「うん。人間界に興味あるから、ちょっと君のところでお世話になろうかな~って思ったんだよね」

「お、お世話!? 無理無理!」

 悪魔王子が家に来たら、お父さんは失神してしまう! と光は思う。

「こら! 子どもよ何を言うか! お前の先程の召喚魔法の意味を知っているのか?」

「え? あの呪文の意味?」

「知らないで唱えたの?」

「う……うん」

 あれはおじいちゃんの魔導書に書いてあったものを読み上げただけだ。
 
「(意味なんかあったの?)」

「私の身も心も命も財産もあなたに捧げます」

「えっ!?」

「私はあなたの下僕となる。未来永劫、あなたの下僕となる……」

「う、うそでしょ!」

 なんという最悪な内容!

 ショックで光は固まってしまった。

「その契約で、僕は此処に来たんだよ」

「ご、ごめんなさい! じゃあ取り消しで! あはは! 無しでお願いします!」

 悪魔王子の軽い笑いと同じように光も笑いながら言う。

「そんなことできるわけないだろう!」

 しかし、まんじゅう悪魔おじさんは怒り出した。

「え……取り消しできないの?」

「まぁそりゃあね……召喚魔法陣の契約だからね~」

 悪魔王子はニコニコしたままヒドイ事を言う。

「うそ……うそぉ……どうしよう……」

 冷たい土の上に座ったまま、光はうなだれる。
 さっきまで、あんなに怖い目にあったのに……。
 更にとんでもない、問題が……。

「鬼に襲われて、今度は悪魔……」

「どっちにしても君の命はもうないよ」

「えっ!?」

「あの鬼はまだ動く、消滅していないだろ?」

「えっうそ……」

 確かに悪魔王子が蹴り飛ばした鬼はピクリと動かないが、まだそこにいる。

「君を食べるまで、永久に追いかけてくる」

 恐怖の言葉に、光の顔から血の気が引いた。

「どっどうしたらいいの!?」

「ふぅん……僕にはどうにかする義理もないしなー」

「ひどいっ! この悪魔!」

「うん、だから僕、悪魔」

 やっぱり、にっこり笑う悪魔王子。

「もう、もうやだあああああ!!」

 光は叫ぶ。

「(とりあえず鬼も悪魔ももう嫌だ! 逃げよう!)」

 光は必死でその場から、逃げ出したのだった。
  
 
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