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魔術クラブ解散!?

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 三人の突然の言葉に、呆然とする光。

「ちょ、ちょどういう意味?」

「だから私らは、もう行かないから」

「な、なんでよ!? 今日こそやろうって決めてたじゃん!」

 言い返す光。
 掃除係に注目されているけど、今はそんなこと考えてられない。

「だから、もう、そういうのいいって言ってるの」

「いいってなに!?」

 怒る光に対して、三人の女子は冷たく言う。

「やってられないから、じゃーね」

「あっ! ラー! リィ! ルル! 魔術クラブはどうなるの?」

「解散だよ」

「魔術なんか、あるわけないから~!」

「追いかけ鬼も、こ、怖いし……」

 そう言うと三人とも、教室から出て行った。

「ムキー! ちょっと待ってよ! あ、掃除掃除。掃除はしっかりやらないと」

 くやしくて、すぐに走りだしたくなったけど、掃除はしっかりやり終えた。

 ◇◇◇

「はぁ~」

 学校から帰って、夕方。
 リビングのテーブルでココアを飲みながらため息をつく。
 光の家は、映画に出てくる魔女の家のように古い。
 あちこちに不思議な置物や、キラキラした鉱物が置いてある。

 『アンティーク』で、とても高価なものらしい。

 壁には、光が小さい頃に亡くなったおじいちゃんの肖像画。
 おじいちゃんは魔法や不思議が大好きで、ずっと研究をしていた。

 リビングだけではなく、屋根裏部屋には沢山の謎の本やアイテムがある。
 小さな頃に、光り輝く炎なんかを見せてくれた。
 光はそんな、おじいちゃんをそんけいしていて、いつかおじいちゃんのような魔法使いになりたいのだ。

 そしておじいちゃんの絵の横には、世界中を飛び回る冒険者のお母さんの似顔絵。
 光と、お父さんと、お母さんの三人の笑顔の絵。
 大事な大事な家族だ。

「光、ココアもう一杯飲むか? クッキーもまだあるよ」

「ん~……もういいかな」

 光の家では、お父さんが毎日ご飯を作ってくれたり、宿題を見てくれる。
 ちょっとお腹がでてるけど、メガネをかけた優しい大好きなお父さんだ。

「な~~お」

 黒猫のクロをなでて、光はまたため息をつく。

「どうした?」

「なんでもない……」

 いつもは十枚はクッキーを食べるのに、今日は五枚。
 お父さんは少し心配そうだ。

「そうかぁ? じゃあ今日の夕飯は光の大好きなオムライスにしようか!」

「え!? やった~!」

「あ、ケチャップの残りがすくないな……お父さん買い物に行ってくる」

「わかった~~あ、私も出かけるかも……」

「こんな時間から? 暗くなると追いかけ鬼が来るぞ~」

「もう~やめてよぉ。すぐ帰ってくるから」

「光のことは信用してるけど、気をつけるんだぞ」

 お父さんは笑いながら買い物かごを持って出て行った。
 クロと一緒にソファに寝転ぶ。
 時計は十六時。

 今日は、魔法クラブの四人で学校の裏山で召喚魔法をする予定だった。

「(今日の十七時が一番良い! ってずっと前から計画してたのに……)」

 光には突然、あの三人に言われた事が理解できない。
 たしかに、先週の放課後に準備のことで少し言い合いになったけど、光は次の日にはすっかり忘れていた。

「今年一番……ううん、百年に一番、今日が最適の日なのに!」

 出掛ける時間は、十八時までが学校の決まりだ。

「今なら……間に合う、やってみようかな?」
 
 光はリュックを背負い、スマホをポケットに入れて家を飛び出した。

「一人ぼっちになっても、魔術クラブは解散しない!」



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