不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~

とらんぽりんまる

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エピローグ:不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥を愛してる!

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 一週間後。
 テラスでのランチの後に、スマホを見ながらキャッキャする女生徒四人。
 彩子と被害者になった二人、無事だった一人のグループだ。

「きゃははは! や~だぁ~~」

 今は可愛らしいパズルゲームをしているらしい。
 それを桃花と紅緒、四天王と茜が眺めていた。

 元々令嬢の三人も、スマホゲームが好きだったからこそのトラブルだったのだ。
 素直に話をしてみれば、三人は優しく受け入れて、彩子はすぐに仲良くなって明るくなった。

 実は彩子の後ろの席で、ノートパソコンを見つめているのは制作者・田原英介。
 二人がいつか出会える日が来るのかは、わからない。
 
「楽しく過ごしているみたいで良かった」

「ああ」

 桃花の笑顔を見つめて、紅緒も微笑む。
 
「野崎先生も相変わらず、自分の信念を曲げてないみたいじゃ~ん☆」

「はは。俺達の検査入院の休みも、喧嘩のせいだと思って説教食らったしな」

 被害者である三人、野崎先生にも、紅緒達が平和を守っているとは伝えていない。

 だから先生にとっては、これからも指導が必要な不良の『総長飛鳥』なのだ。

「いいじゃねぇか! 我らが総長飛鳥は、総長じゃなきゃな!!」

「まぁな。ああいう先生もいないとな」

「ゲームの制作者も、いじける事なく新しいゲームをまた作ってるみたいだね~~。恋愛のゲームを作るために学校にも通うようになったって……なんか理想のカップルを幻想のなかで見たらしいよー! 誰を見たんだかね」

 茜が不思議そうに、アイスティーを飲んだ。

 確かに田原はノートパソコンを叩きながら、テラスにいるカップルを観察しているようだった。

 彼は紅緒を何度も見ているが、隣にいる桃花のヘルメット前髪メガネ姿を見て首をかしげている。
 記憶は消したつもりだが、なにかイメージが残っているのかもしれない。
 
「解決して本当によかった!」

 解決――何よりそれが嬉しい桃花が、微笑む。

「あぁ、そうだな」

 紅緒もそれを見て、微笑んだ。
 
 行方不明事件は、解決した。
 紅緒と四天王『紅刃斬』がいなければ、事件は更に悪化し最悪の結果になっただろう。

「しかし、姫の力には俺達も驚いた。まさかあの状態の女生徒や、総長の怪我まで治してしまうとは……さすがだ」

「必死だったからなんで……今は全然、安定しないんです」

「それでも素晴らしい力です、姫」

 桃花は苦笑いするが、みんなを助けた桃花を見る辰砂の瞳は優しい。

「我らが桃花姫の活躍は、素晴らしかったよねぇ~☆ 俺も惚れちゃいそうだった☆」

「さ、珊瑚くん!?」

「おい、珊瑚」

 珊瑚のウインクを遮るように、紅緒が顔をしかめる。

「え~でも今のところは~紅お兄ちゃんが溺愛してるだけでさ、二人は付き合ってないんでしょ?」

「いや、だからそれはだな」

 紅緒としては、目を覚ましたばかりの桃花に、答えを急かしたくない優しさだったのだが……。
 しかしあれから忙しく、二人きりになれる時間もない。

「地味子、今日は俺が修行の後に迎えに行ってやるぞ」

 何も聞いていなかったのか、パフェを食べ終えた柘榴が笑顔で桃花に言う。

「おい柘榴!? なんでお前が!?」

「え? なんとなく? だけどさ~。ただ地味子は性格はやっぱ地味だし、守ってやるなら俺が一緒にいてやってもいいかなって思うだけだぜ! 総長飛鳥! いいだろ?」

「いいだろって……よくねぇだろ!」

「え? なんで?」

 柘榴は全くの、無自覚のようだ。
 紅緒と桃花の関係にも、気付いていない。

「では、柘榴との帰宅後は姫が苦手だと言っていた英語を、個人授業で教えよう」

 辰砂のメガネが光る。
 
「は? 辰砂……個人授業ってお前まで……」

「総長、悪いが姫の家庭教師は俺だ。彼女は俺達……俺にとっての姫でもある。姫、必ず次のテストでは総長を抜いた1位を目指そう」

「え!? えっと、あの……家庭教師はお願いしたいんですけど……」
 
 桃花は慌ててしまう。
 
「桃花ちゃん、じゃあ明日の土曜日はデートしよ☆ 水族館でも映画でも! 惚れちゃいそうってマジだよ」

「えっえっ!? あの」

「おい珊瑚ふざけんなよ」

「頑張る桃花ちゃんに~結構胸キュンさせられちゃったんだよね☆そこは紅緒に、邪魔される筋合いないじゃん?」

 いつもの軽いおふざけじゃないような視線を、珊瑚が向けた。

「ぐっ……珊瑚、おまえ……」

「お姉ちゃん! じゃあ日曜日は僕とスイーツ作りしない~?」

「苺くん、どうしたの急に」

「僕だって、可愛くて優しくて強くって、そんな不死鳥の巫女のお姉ちゃんが大好きだもん! 負けてたまるか!」

「い、苺!? お前まで!?」

「おやおや~桃は年下まで~面白くなってきたね」

 キヒヒと楽しそうに茜が笑う。

「茜ちゃん!」

「おい! いい加減にしろ、お前ら!! 桃花はなぁ! 俺の……!!」

「「「「「俺の?」」」」」

 桃花以外、全員の声がハモった。

「あぁ~くっそ! お前らに先に言うわけあるか、行くぞ桃花!」

「えぇ!? わぁっ!」

 紅緒は立ち上がると、桃花の手を取って走り出す。

「なんだよ総長! サボりかよ!」

「――なわけあるか! 悪いあやかしの気配を察したんだよ! 桃花と二人で退治だ!!」

 護符で生徒達には目眩ましをした後に、お姫様抱っこしたまま、紅緒はテラスを飛び降りる。

「きゃあっ! 本当だ、悪いあやかしの気配……!」

「あぁ、俺は悪いあやかしを退治する、あやかし総長飛鳥だからな!!」

 爽やかな風と落ちる勢いに煽られる――でも怖くない。
 
「うん……! あのね紅緒くん……私、私ね」

「なんだ? 桃花」

「紅緒くんが、大好き……!!」

 誰よりも大好き!!
 誰よりも愛してる……!!
 そう思ってお姫様だっこしてくれる紅緒の首元に、強く抱きついた。

「あぁ、お前は俺の花嫁だ……!!」

 キラッキラの笑顔で、二人微笑む。

 紅緒も桃花を抱きしめたまま、校庭に着地し駆け出した。
 桃花と紅緒のあとには、まるで不死鳥が飛び立ったような綺麗な炎が煌めく。

 やっと再会できた二人の恋は始まったばかり!
 
 不死鳥の巫女・桃花と総長飛鳥紅緒と四天王の闘いはこれからも、続く――!!
 


 ~不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~・完~


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感想 27

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みんなの感想(27件)

仲良しおじさん
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とらんぽりんまる
2023.10.02 とらんぽりんまる

仲良しおじさん様
わぁお祝いのお言葉ありがとうございますー!!
とても嬉しいです(〃∇〃)
これからドキドキ学園バトルが始まります~~
ラブも❤❤(〃ω〃)
総長飛鳥は女子の妄想するイケメン男子……になればいいなと思って書きました(*´艸`*)❤❤
感想ありがとうございます!!

解除
樹結理(きゆり)
ネタバレ含む
とらんぽりんまる
2023.09.24 とらんぽりんまる

きゆり様
最終話までお付き合いどうもありがとうございました!!m(_ _)m

無事に解決いたしました!!
でもまだ蒼玉達との戦いは続く……!

桃花は四天王達にも溺愛されちゃいそうです(*´艸`*)
楽しかったですと言ってもらえてとっても嬉しいですありがとうございます(TOT)
最後までお付き合い頂きありがとうございました!!

解除
樹結理(きゆり)
ネタバレ含む
とらんぽりんまる
2023.09.20 とらんぽりんまる

きゆり様
いらっしゃいませー!!
沢山お読み頂きありがとうございましす(*´ェ`*)

謎の少女、なんか迫力があって怖いです(@_@;)
茜は絶対に早く付き合えよ~って思ってますね(*´艸`*)
総長飛鳥、溺愛しております

感想ありがとうございます!とても嬉しいです(*´ェ`*)

解除

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