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理事長室で
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メイドの夕子は屋敷には入らず笑顔で見送ってくれた。
桃花、紅緒と四天王が屋敷に入ると、すぐに秘書のような男が来て絨毯の敷いてある立派な廊下を案内してくれす進み歩く。
理事長室に入ると、長身の紅色のスーツの男がそこにいた。
白髪で老人ではあるが整った顔をして眼力が強くて迫力がある。
紅緒に少しだけ似てる……と桃花は思った。
「やぁ……来たね」
威厳のある顔が意外にも、微笑んだ。
「来たね、じゃねーよ」
紅緒が、呆れたように溜息をつく。
「まぁ座りたまえ。朱雀桃花さん。今日は貴女が主役だ。我が紅炎学園へようこそ私は理事長の飛鳥紅雷です」
「は、はい……」
言われるがままに、豪華なソファに座る桃花。
「(すごい部屋にソファ……理事長のオーラがすごいし……ドキドキする……)」
「桃花さんに紅茶とケーキを。あと、いつも腹が空いている成長期の男子達にサンドイッチとコーラでも喰わせてやってくれ」
「じゃあ、俺は追加でパンケーキとホットドッグも頼む! 腹減った」
桃花の隣に座った紅緒が言った。
「じゃあ俺は焼きそばとオレンジジュース!!」
と、柘榴。
「俺はブラックコーヒーとザッハトルテお願いしま~~す。此処のケーキは滅多に喰えないし☆ラッキー☆」
と、珊瑚。
「では、おにぎりの鮭と梅をお願いします」
と辰砂。
「ぼーくはタピオカミルクティー! タピオカ2倍マシ!」
と苺。
あふれる食欲は抑えられないようだ。
「まったく……理事長室はカフェじゃないんだぞ」
「理事長、大丈夫です。ご用意いたします」
「すまんな。頼む」
理事長の秘書らしき男は全てをメモして部屋を出て行った。
なんだか全てが信じられない状況だ。
「さて桃花さん。謎の多いまま、紅炎学園への入学ありがとう、そしておめでとう」
「は、はい……こちらこそ入学させて頂きありがとうございます……」
なんて言えばいいのかわからないし、緊張は更に増す。
「君は今朝の襲撃から始まり……この子達の戦闘を見たね」
「はい」
「じいさん、桃花は何も知らないんだぜ。朝の襲撃も犬一匹だったが、俺がいなかったらどうなってたと思うんだよ!」
紅緒は怒っているように声を荒らげた。
「当然ながら、彼女には手厚い警護をしていたよ。村にいた時からずーっとね」
「え……っ!?」
「御両親にも心配ないと伝えている。女の子が一人で遠い村からバスや飛行機に乗ってホテルに泊まり此処までくる。全て見守っていた。我が飛鳥財閥のプロの警備隊がね」
桃花には全くわからない事だった。
一人で何度も道を聞いたり、不安になりながら辿り着いたのに……まさか見守られていたとは……。
「(少し……助けてほしかったな……)」
「それでは、朝に彼女が襲われて総長が助けたという事件は……?」
辰砂がメガネのフレームを押し上げた。
「運命という可能性を試してみたのだ」
「おい! じじい! それで桃花が怪我をしていたらどうするつもりだったんだよ! 俺の察知では警備隊はいなかった……監視はしていても離れていたはずだ」
紅緒には、警備隊の存在がわかるようだ。
「ふふ、さすがだな。しかし彼女は怪我一つしていない。紅緒。お前が助けた、違うか?」
「それはそうだが……」
「まさに運命を感じたよ……君たちのね」
「ど、どういう事なんですか? 紅緒くん達が戦ってるのも見ました。あやかしって? まだ、みんな子供なのに子供達が大勢いる学校でどうして危険な戦いをしてるんですか?」
「いい質問だ、桃花さん。……紅緒達の闘いは戦争の縮図なんですよ」
「せんそうの……しゅくず?」
「私や紅緒……この子達もみんな、あやかしです。いえ、正しくは人間と混血をした、半分人間のあやかし。つまり人間の味方です」
「人間の味方……」
その言葉にホッとする。
「今日、貴女が出逢った男は人間と敵対するあやかしです」
「え」
「大人達で全面戦争すれば、甚大な被害が出る。この学園都市を舞台に見かけは族の抗争のようですが世界の均衡を保つ縮小された戦いをしているのです。紅緒達が負ければ、均衡は崩れる。一気に彼らは此の世界を自分達のものにする戦争を起こすでしょう。だから紅緒達は闘い続け、私達大人はそのサポートをしている」
「そ、そんな……闘いを子供に? ……ひどい」
「それは俺達の宿命で使命だと思ってる。みんな望んでやっている。気にするな桃花」
紅緒も四天王達も、力強い瞳で微笑んだ。
「紅緒くん、みんな。……でも学園や学園都市に住む人達は危険ではないんですか?」
「巻き込まれる心配は……ゼロではありません。でも、それはどこでも同じ。紅緒達が守っているこの地区の方が安全性が高いんですよ。あやかしが原因と思われる事件は日々全国どこででも起きているのです」
「私が知らないだけ……ですか?」
「そうです」
桃花は下を向く。
「じゃあ何故、桃花を此の学園に呼んだんだ? 何も知らない一般人じゃないか」
「お前は覚えていないか、紅緒」
「……覚えていないけど……でも何か……感じる」
隣に座った紅緒から見つめられ、桃花はドキンとする。
でも桃花も何か感じるのだ。
「……それは私も……どうしてか……何か」
また肩が熱くなる。
「君たちは過去に会っている。お互いを助け合った過去がある」
理事長室に、理事長の言葉が響いた。
桃花、紅緒と四天王が屋敷に入ると、すぐに秘書のような男が来て絨毯の敷いてある立派な廊下を案内してくれす進み歩く。
理事長室に入ると、長身の紅色のスーツの男がそこにいた。
白髪で老人ではあるが整った顔をして眼力が強くて迫力がある。
紅緒に少しだけ似てる……と桃花は思った。
「やぁ……来たね」
威厳のある顔が意外にも、微笑んだ。
「来たね、じゃねーよ」
紅緒が、呆れたように溜息をつく。
「まぁ座りたまえ。朱雀桃花さん。今日は貴女が主役だ。我が紅炎学園へようこそ私は理事長の飛鳥紅雷です」
「は、はい……」
言われるがままに、豪華なソファに座る桃花。
「(すごい部屋にソファ……理事長のオーラがすごいし……ドキドキする……)」
「桃花さんに紅茶とケーキを。あと、いつも腹が空いている成長期の男子達にサンドイッチとコーラでも喰わせてやってくれ」
「じゃあ、俺は追加でパンケーキとホットドッグも頼む! 腹減った」
桃花の隣に座った紅緒が言った。
「じゃあ俺は焼きそばとオレンジジュース!!」
と、柘榴。
「俺はブラックコーヒーとザッハトルテお願いしま~~す。此処のケーキは滅多に喰えないし☆ラッキー☆」
と、珊瑚。
「では、おにぎりの鮭と梅をお願いします」
と辰砂。
「ぼーくはタピオカミルクティー! タピオカ2倍マシ!」
と苺。
あふれる食欲は抑えられないようだ。
「まったく……理事長室はカフェじゃないんだぞ」
「理事長、大丈夫です。ご用意いたします」
「すまんな。頼む」
理事長の秘書らしき男は全てをメモして部屋を出て行った。
なんだか全てが信じられない状況だ。
「さて桃花さん。謎の多いまま、紅炎学園への入学ありがとう、そしておめでとう」
「は、はい……こちらこそ入学させて頂きありがとうございます……」
なんて言えばいいのかわからないし、緊張は更に増す。
「君は今朝の襲撃から始まり……この子達の戦闘を見たね」
「はい」
「じいさん、桃花は何も知らないんだぜ。朝の襲撃も犬一匹だったが、俺がいなかったらどうなってたと思うんだよ!」
紅緒は怒っているように声を荒らげた。
「当然ながら、彼女には手厚い警護をしていたよ。村にいた時からずーっとね」
「え……っ!?」
「御両親にも心配ないと伝えている。女の子が一人で遠い村からバスや飛行機に乗ってホテルに泊まり此処までくる。全て見守っていた。我が飛鳥財閥のプロの警備隊がね」
桃花には全くわからない事だった。
一人で何度も道を聞いたり、不安になりながら辿り着いたのに……まさか見守られていたとは……。
「(少し……助けてほしかったな……)」
「それでは、朝に彼女が襲われて総長が助けたという事件は……?」
辰砂がメガネのフレームを押し上げた。
「運命という可能性を試してみたのだ」
「おい! じじい! それで桃花が怪我をしていたらどうするつもりだったんだよ! 俺の察知では警備隊はいなかった……監視はしていても離れていたはずだ」
紅緒には、警備隊の存在がわかるようだ。
「ふふ、さすがだな。しかし彼女は怪我一つしていない。紅緒。お前が助けた、違うか?」
「それはそうだが……」
「まさに運命を感じたよ……君たちのね」
「ど、どういう事なんですか? 紅緒くん達が戦ってるのも見ました。あやかしって? まだ、みんな子供なのに子供達が大勢いる学校でどうして危険な戦いをしてるんですか?」
「いい質問だ、桃花さん。……紅緒達の闘いは戦争の縮図なんですよ」
「せんそうの……しゅくず?」
「私や紅緒……この子達もみんな、あやかしです。いえ、正しくは人間と混血をした、半分人間のあやかし。つまり人間の味方です」
「人間の味方……」
その言葉にホッとする。
「今日、貴女が出逢った男は人間と敵対するあやかしです」
「え」
「大人達で全面戦争すれば、甚大な被害が出る。この学園都市を舞台に見かけは族の抗争のようですが世界の均衡を保つ縮小された戦いをしているのです。紅緒達が負ければ、均衡は崩れる。一気に彼らは此の世界を自分達のものにする戦争を起こすでしょう。だから紅緒達は闘い続け、私達大人はそのサポートをしている」
「そ、そんな……闘いを子供に? ……ひどい」
「それは俺達の宿命で使命だと思ってる。みんな望んでやっている。気にするな桃花」
紅緒も四天王達も、力強い瞳で微笑んだ。
「紅緒くん、みんな。……でも学園や学園都市に住む人達は危険ではないんですか?」
「巻き込まれる心配は……ゼロではありません。でも、それはどこでも同じ。紅緒達が守っているこの地区の方が安全性が高いんですよ。あやかしが原因と思われる事件は日々全国どこででも起きているのです」
「私が知らないだけ……ですか?」
「そうです」
桃花は下を向く。
「じゃあ何故、桃花を此の学園に呼んだんだ? 何も知らない一般人じゃないか」
「お前は覚えていないか、紅緒」
「……覚えていないけど……でも何か……感じる」
隣に座った紅緒から見つめられ、桃花はドキンとする。
でも桃花も何か感じるのだ。
「……それは私も……どうしてか……何か」
また肩が熱くなる。
「君たちは過去に会っている。お互いを助け合った過去がある」
理事長室に、理事長の言葉が響いた。
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