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特Aクラスと総長飛鳥
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総長飛鳥……?
なんとも恐ろしいあだ名だ。
「(総長って族とかチームとか……? 都会って怖い)」
「それにしても、地味な子……まぁいいわ。総長飛鳥には近づかないことね」
「あっ……」
桃花は焦るが、話しかけてくれた女子生徒は唖然とする桃花を不審な目で見てどこかへ行ってしまった。
先程の化け物犬の事は誰も何も話していない……。
「(まさか幻覚……?)」
いや、でも総長飛鳥はあの犬を退治したのだ。
彼のあの力は一体なんなんだろうか。
桃花はただでさえ転校初日で緊張しているのに、脳内はもうパニックだ。
ヨロヨロと桃花は学校へ向かった。
「(それにしても……この学園……大きすぎない?)」
巨大な名門学園『紅炎学園』
自分が通う学園だと言うのに、桃花は学園の事をあまりよく知らない。
予備知識を増やして不安になるよりは飛び込もうと思っていたし、こちらに来れば説明してくれる人がいると言われて来た。
落ち着いて見回すと、同じ制服を着ているがなんだか皆が品が良い。
車で通学している生徒もいる。
「(ここって……もしかしてセレブ学園なんじゃ……)」
ただでさえ田舎出身なのに、セレブ達に囲まれたら!
また不安で泣きそうになる桃花だったが、なんとか自分を励まして職員室まで歩く。
「はいはい、お待ちしておりましたよ~! 朱雀さん!」
職員室の奥にある豪華な学園長室。
笑顔で出迎えてくれた学園長先生。
いかにもな、お腹のでっぷりしたスーツ姿の中年男性だ。
受験での成績が桃花は特に良かったらしく特Aクラスということだ。
「(特Aクラスなら、不良の総長はいないよね……)」
まぁ彼が何年生なのかもわからないし、今後関わることはない……と思いたい。
色々と説明してくれるというのは学園長のことかと思ったのがだ、パンフレットを渡されただけ。
「紅炎学園には、理事長がいてね。放課後に君にお話があるそうだ」
「え? 理事長が私に?」
「うんうん。まぁそういうわけで放課後に呼び出しがあると思うので」
「はい……」
じゃあわざわざ理事長が今後の説明を?
今日は緊張の連続だな、と桃花は心でため息をつく。
そんな桃花に一人の女性が近づいた。
「私が担任の野崎愛梨です。よろしくね朱雀さん」
「よ、よろしくお願いします」
野崎愛梨先生。
綺麗な若い女の先生だ。
スカートのスーツがよく似合ってる。
きっと人気があるだろう。
「さぁ教室へ行きましょう」
紅炎学園の中はまるで神殿のようだ。
白い壁に輝く大理石のような広い廊下を歩く。
もう教室に入る時間なんだろう、廊下には誰もいない。
田舎の小学校はこじんまりとした木造校舎だったのでキョロキョロしてしまう。
「ここが1年特A組の教室よ。あまり緊張しないで大丈夫よ」
「は、はい!」
ダテ眼鏡をかけ直し、ヘルメット前髪を整えた。
緊張がピークだ!
ガラッと教室のドアを開けて、野崎先生が入っていく。
みんなが一斉に注目したのがわかって、冷や汗が出る。
教壇に行くまでにもジロジロヒソヒソ。
学ランの男子に紅いセーラー服の女子。
『え、地味~』
『紅炎学園に、あんな田舎っぽい子が?』
『貧乏くさくね?』
という声が聞こえた。
「さぁ、みんな転校生よ。仲良くしてあげてね」
野崎先生が、カツカツと桃花の名前を黒板に書いた。
「す、す、朱雀桃花です……あ、あのどくしょ……どく、どくすが趣味です。よ、よろしくお願いします!」
あぁ! 噛みまくってしまったしどくすって何!? と思い嫌な汗が背中を流れる。
クラスメイトの視線と失笑が痛い。
分厚い前髪のまま下を向く。
今だけはこのヘルメット前髪に助けられた気がした。
「あ、ありがとう……ど、読書よね! えっと……じゃあ、みんな拍手~~!!」
とりあえずみんなの小さな拍手が響く。
「あなたの席は窓際の……って、飛鳥君!!」
野崎先生の声が響く。
「ふえ?」
飛鳥と呼ばれた少年は、コッペパンを食べている。
「あ……あ、あの人……」
まさに、朝に出くわした総長飛鳥!
赤のメッシュが揺れて、先生に怒られても普通にまだ食べている。
「どーして! 朝の学活でパンを食べてるんですか!!」
「腹減ったんで」
「ご飯は寮で食べてきてください!」
「食べてきたけど、すぐ腹減るから……」
ダルそうに、彼はまだコッペパンを食べている。
「でも、ダメ~~でしょ!!」
「でも俺、腹が空いたら何もできねーから……」
飛鳥はそのまま、残りのコッペパンを一口で食べ終えると、缶コーヒーを啜った。
まわりの女子が『素敵~~』とキャッキャと騒ぎ出した。
やっぱり顔はかなり整っていて美少年だ。
「こ、こら~あなた達、騒がない~!」
先生が困ったように注意するが、女子達は『きゃあ飛鳥くんカッコいい!』とますますファンクラブのように騒ぎ立てる。
もしかして、総長飛鳥は恐いって……誤解なのかな?
「(意外と可愛いマスコットキャラだったり……?)」
「あなた達静かに!」
騒ぐ生徒のなかには先生を困らせるような意地悪も混じっているように感じた。
「静かに! 今は学活よ!」
「(先生、大変そう……)」
桃花がそう思った時。
「うるせぇえええ! お前ら静かにしろぉ!!」
学校中に響き渡るような怒声。
ビリビリビリ……!! っと脳に響く迫力。
一瞬で猫のように逆毛が立つような衝撃だった。
叫んだのは、もちろん飛鳥。
騒ぎの原因の張本人なのだが……。
女子たちは『きゃっ』と静まり、桃花は驚きでひっくり返りそうなった。
すごい怒声で邪気が祓われたように、静まり返る教室。
「(び、びっくりしたけど……怒鳴ったのは、先生を助けるため? ……ま、まさかね不良だし、パン食べてたし……)」
「も、もう~~~! 教室では怒鳴りません! い、いくら学年首席だったり立場があっても決まりは守らないと!」
「はいはい。もう食べ終わったからさ」
先生に怒られてもあっけらかんとしている。
「(え……今、学年首席って言った……?)」
「……じゃあ朱雀さんは自分の席に……あ、飛鳥君の隣です」
「へ!?」
あまりのショックで変な声が出る。
「あ?」
飛鳥の一言。
桃花の脳内で『ひぃ!』と恐怖の叫びが響く。
桃花の気持ちとは反対に『えーなんであの子が』とブツブツ文句が聞こえてくる。
恐る恐る隣に座って、チラッと飛鳥を見た。
「あぁ……朝の」
「ど、どうも……」
だけど意外にも、飛鳥は優しく笑ったのであった。
「また会ったな」
「あ……あのさっきはありがとうございました」
「いや、別に。ふあ……ねむ」
謎の言葉を残して、飛鳥は机に突っ伏して寝始めた。
「(な、なんて自由人……)」
こんな人の隣で桃花の新生活はどうなってしまうのだろうか?
なんとも恐ろしいあだ名だ。
「(総長って族とかチームとか……? 都会って怖い)」
「それにしても、地味な子……まぁいいわ。総長飛鳥には近づかないことね」
「あっ……」
桃花は焦るが、話しかけてくれた女子生徒は唖然とする桃花を不審な目で見てどこかへ行ってしまった。
先程の化け物犬の事は誰も何も話していない……。
「(まさか幻覚……?)」
いや、でも総長飛鳥はあの犬を退治したのだ。
彼のあの力は一体なんなんだろうか。
桃花はただでさえ転校初日で緊張しているのに、脳内はもうパニックだ。
ヨロヨロと桃花は学校へ向かった。
「(それにしても……この学園……大きすぎない?)」
巨大な名門学園『紅炎学園』
自分が通う学園だと言うのに、桃花は学園の事をあまりよく知らない。
予備知識を増やして不安になるよりは飛び込もうと思っていたし、こちらに来れば説明してくれる人がいると言われて来た。
落ち着いて見回すと、同じ制服を着ているがなんだか皆が品が良い。
車で通学している生徒もいる。
「(ここって……もしかしてセレブ学園なんじゃ……)」
ただでさえ田舎出身なのに、セレブ達に囲まれたら!
また不安で泣きそうになる桃花だったが、なんとか自分を励まして職員室まで歩く。
「はいはい、お待ちしておりましたよ~! 朱雀さん!」
職員室の奥にある豪華な学園長室。
笑顔で出迎えてくれた学園長先生。
いかにもな、お腹のでっぷりしたスーツ姿の中年男性だ。
受験での成績が桃花は特に良かったらしく特Aクラスということだ。
「(特Aクラスなら、不良の総長はいないよね……)」
まぁ彼が何年生なのかもわからないし、今後関わることはない……と思いたい。
色々と説明してくれるというのは学園長のことかと思ったのがだ、パンフレットを渡されただけ。
「紅炎学園には、理事長がいてね。放課後に君にお話があるそうだ」
「え? 理事長が私に?」
「うんうん。まぁそういうわけで放課後に呼び出しがあると思うので」
「はい……」
じゃあわざわざ理事長が今後の説明を?
今日は緊張の連続だな、と桃花は心でため息をつく。
そんな桃花に一人の女性が近づいた。
「私が担任の野崎愛梨です。よろしくね朱雀さん」
「よ、よろしくお願いします」
野崎愛梨先生。
綺麗な若い女の先生だ。
スカートのスーツがよく似合ってる。
きっと人気があるだろう。
「さぁ教室へ行きましょう」
紅炎学園の中はまるで神殿のようだ。
白い壁に輝く大理石のような広い廊下を歩く。
もう教室に入る時間なんだろう、廊下には誰もいない。
田舎の小学校はこじんまりとした木造校舎だったのでキョロキョロしてしまう。
「ここが1年特A組の教室よ。あまり緊張しないで大丈夫よ」
「は、はい!」
ダテ眼鏡をかけ直し、ヘルメット前髪を整えた。
緊張がピークだ!
ガラッと教室のドアを開けて、野崎先生が入っていく。
みんなが一斉に注目したのがわかって、冷や汗が出る。
教壇に行くまでにもジロジロヒソヒソ。
学ランの男子に紅いセーラー服の女子。
『え、地味~』
『紅炎学園に、あんな田舎っぽい子が?』
『貧乏くさくね?』
という声が聞こえた。
「さぁ、みんな転校生よ。仲良くしてあげてね」
野崎先生が、カツカツと桃花の名前を黒板に書いた。
「す、す、朱雀桃花です……あ、あのどくしょ……どく、どくすが趣味です。よ、よろしくお願いします!」
あぁ! 噛みまくってしまったしどくすって何!? と思い嫌な汗が背中を流れる。
クラスメイトの視線と失笑が痛い。
分厚い前髪のまま下を向く。
今だけはこのヘルメット前髪に助けられた気がした。
「あ、ありがとう……ど、読書よね! えっと……じゃあ、みんな拍手~~!!」
とりあえずみんなの小さな拍手が響く。
「あなたの席は窓際の……って、飛鳥君!!」
野崎先生の声が響く。
「ふえ?」
飛鳥と呼ばれた少年は、コッペパンを食べている。
「あ……あ、あの人……」
まさに、朝に出くわした総長飛鳥!
赤のメッシュが揺れて、先生に怒られても普通にまだ食べている。
「どーして! 朝の学活でパンを食べてるんですか!!」
「腹減ったんで」
「ご飯は寮で食べてきてください!」
「食べてきたけど、すぐ腹減るから……」
ダルそうに、彼はまだコッペパンを食べている。
「でも、ダメ~~でしょ!!」
「でも俺、腹が空いたら何もできねーから……」
飛鳥はそのまま、残りのコッペパンを一口で食べ終えると、缶コーヒーを啜った。
まわりの女子が『素敵~~』とキャッキャと騒ぎ出した。
やっぱり顔はかなり整っていて美少年だ。
「こ、こら~あなた達、騒がない~!」
先生が困ったように注意するが、女子達は『きゃあ飛鳥くんカッコいい!』とますますファンクラブのように騒ぎ立てる。
もしかして、総長飛鳥は恐いって……誤解なのかな?
「(意外と可愛いマスコットキャラだったり……?)」
「あなた達静かに!」
騒ぐ生徒のなかには先生を困らせるような意地悪も混じっているように感じた。
「静かに! 今は学活よ!」
「(先生、大変そう……)」
桃花がそう思った時。
「うるせぇえええ! お前ら静かにしろぉ!!」
学校中に響き渡るような怒声。
ビリビリビリ……!! っと脳に響く迫力。
一瞬で猫のように逆毛が立つような衝撃だった。
叫んだのは、もちろん飛鳥。
騒ぎの原因の張本人なのだが……。
女子たちは『きゃっ』と静まり、桃花は驚きでひっくり返りそうなった。
すごい怒声で邪気が祓われたように、静まり返る教室。
「(び、びっくりしたけど……怒鳴ったのは、先生を助けるため? ……ま、まさかね不良だし、パン食べてたし……)」
「も、もう~~~! 教室では怒鳴りません! い、いくら学年首席だったり立場があっても決まりは守らないと!」
「はいはい。もう食べ終わったからさ」
先生に怒られてもあっけらかんとしている。
「(え……今、学年首席って言った……?)」
「……じゃあ朱雀さんは自分の席に……あ、飛鳥君の隣です」
「へ!?」
あまりのショックで変な声が出る。
「あ?」
飛鳥の一言。
桃花の脳内で『ひぃ!』と恐怖の叫びが響く。
桃花の気持ちとは反対に『えーなんであの子が』とブツブツ文句が聞こえてくる。
恐る恐る隣に座って、チラッと飛鳥を見た。
「あぁ……朝の」
「ど、どうも……」
だけど意外にも、飛鳥は優しく笑ったのであった。
「また会ったな」
「あ……あのさっきはありがとうございました」
「いや、別に。ふあ……ねむ」
謎の言葉を残して、飛鳥は机に突っ伏して寝始めた。
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