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第四話
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ベッドから降りると、外はまだ薄暗かった。
側に着替え用の服が置いてあったのでそれに着替えると自分のぼろぼろの
服のポケットから鍵を取り出した。
「一体どうなったらこんなにぼろぼろになるんだよ…」
一人愚痴ると立ち上がった。
少し眠ったせいかスッキリしている。
こっそりと部屋を出るとソファーで眠っているようだった。
横を通り過ぎると玄関で靴を履き外へでる。
「そういえばここも…あいつら居ないんだな~」
寝ている間も嫌な空気に包まれる事もなかった。
いつも絡みついてくような嫌な空気もなく、澱んでいなかったのだ。
人が多いところではよくある現象で、体調を崩しやすい。
正確には色々なモヤがのしかかってきて動けなくなるのだ。
「嫌なやつなのに…あいつの側は空気が汚れてないんだな…」
家に帰ると横になった。
今日は疲れ過ぎて変な妄想までするなんて重症なのかもしれない。
しかも、知り合いでもない奴の家で…嫌過ぎる。
恥でしかない!いや、見られてない分、忘れてしまうのがいいだろう。
しかし、あの黒い大きなモノはなんだったのだろうか?
いつものとは全く違う物体だった気がするけど、うまく思い出せない。
いつかのように、記憶を全部無くした時の様に思い出そうとしてもできない。
何もない空間をさらうだけだった。
「一体どうしたんだろう?あの服もそうだ…何かがあったに違いないのに…」
それに…あのこびり着いていた血の痕も気になる。
恵の身体には傷ひとつない。
しかし、どう見てもあの破れかたや血の付着具合は引き裂かれた様な…。
思い出そうとしても何かを忘れているような感覚しかない。
白いモヤがかかって思い出せない。
横になって考えて入るが、そのうち眠さに負けて瞼をそっと閉じた。
朝が来るといつものように学校へと向かう。
高校さえ卒業すれば親もとから離れられる。
母は恵を見るたびに病んでいく気がする。
何もないところを怖がり、たまに恵の周りでだけ起こるポルターガイスト現象。
部屋を出るだけで何事もなかったように鎮まりかえり、それは全て恵にかまっ
て欲しい影達の仕業だった。
物を落としたり、ガラスが揺れたり、タンスが倒れて来た事だってあった。
そんな時に限って母が側にいる時で、単身赴任の父はただの偶然だろうと言って
いるが、母は恵のせいだと言い張ったのだった。
そのせいで一緒に暮らすのは断念せざるを得なかった。
今でも少しは寂しいが、一人になれると気楽でもあった。
クラスでも誰かと話す事もないし、誰からも咎められなくて気楽だ。
「おい、ちょっと付き合え!」
そう、気楽だったのだが…その沈黙を打ち破るように不機嫌そうな顔がこちらを
睨んでいた。
側に着替え用の服が置いてあったのでそれに着替えると自分のぼろぼろの
服のポケットから鍵を取り出した。
「一体どうなったらこんなにぼろぼろになるんだよ…」
一人愚痴ると立ち上がった。
少し眠ったせいかスッキリしている。
こっそりと部屋を出るとソファーで眠っているようだった。
横を通り過ぎると玄関で靴を履き外へでる。
「そういえばここも…あいつら居ないんだな~」
寝ている間も嫌な空気に包まれる事もなかった。
いつも絡みついてくような嫌な空気もなく、澱んでいなかったのだ。
人が多いところではよくある現象で、体調を崩しやすい。
正確には色々なモヤがのしかかってきて動けなくなるのだ。
「嫌なやつなのに…あいつの側は空気が汚れてないんだな…」
家に帰ると横になった。
今日は疲れ過ぎて変な妄想までするなんて重症なのかもしれない。
しかも、知り合いでもない奴の家で…嫌過ぎる。
恥でしかない!いや、見られてない分、忘れてしまうのがいいだろう。
しかし、あの黒い大きなモノはなんだったのだろうか?
いつものとは全く違う物体だった気がするけど、うまく思い出せない。
いつかのように、記憶を全部無くした時の様に思い出そうとしてもできない。
何もない空間をさらうだけだった。
「一体どうしたんだろう?あの服もそうだ…何かがあったに違いないのに…」
それに…あのこびり着いていた血の痕も気になる。
恵の身体には傷ひとつない。
しかし、どう見てもあの破れかたや血の付着具合は引き裂かれた様な…。
思い出そうとしても何かを忘れているような感覚しかない。
白いモヤがかかって思い出せない。
横になって考えて入るが、そのうち眠さに負けて瞼をそっと閉じた。
朝が来るといつものように学校へと向かう。
高校さえ卒業すれば親もとから離れられる。
母は恵を見るたびに病んでいく気がする。
何もないところを怖がり、たまに恵の周りでだけ起こるポルターガイスト現象。
部屋を出るだけで何事もなかったように鎮まりかえり、それは全て恵にかまっ
て欲しい影達の仕業だった。
物を落としたり、ガラスが揺れたり、タンスが倒れて来た事だってあった。
そんな時に限って母が側にいる時で、単身赴任の父はただの偶然だろうと言って
いるが、母は恵のせいだと言い張ったのだった。
そのせいで一緒に暮らすのは断念せざるを得なかった。
今でも少しは寂しいが、一人になれると気楽でもあった。
クラスでも誰かと話す事もないし、誰からも咎められなくて気楽だ。
「おい、ちょっと付き合え!」
そう、気楽だったのだが…その沈黙を打ち破るように不機嫌そうな顔がこちらを
睨んでいた。
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