43 / 75
43話 説教
しおりを挟む
無断での外泊から帰って来てからは、父親の説教
があった。
たまに美咲も無断で外泊する事があるのに、歩夢
は初めてだったせいか、説教が長く感じる。
「歩夢、分かったか?外泊するときはだな~しっ
かり連絡を入れてだな~」
「……」
「もう、その辺にしたら?この年齢で初めての外
泊なんでしょ?」
まどかさんの言葉に父親の幸樹も渋々言葉を濁す。
「そうだな……それまで何もなかったんだ、今回
はこのくらいにするか……だがな、郁也くんが
凄く心配してたんだぞ?兄弟がこんなに打ち解
けるなんてなぁ~。俺は嬉しいぞ」
「そうね、あんなに毎日ほっつき歩いていた郁也
が真面目に勉強を見て、兄弟の心配をするなん
て…なんだか信じられないわ」
「それでだ、歩夢……どこに泊まってたんだ?」
『この年だし、やっぱり彼女でもできたか?』
「そんな事を聞くもんじゃないわ、ね~歩夢くん」
『この年なら彼女がいてもおかしくないわね。郁
也のように男女構わず手を出さないといいけど』
昔、息子が家に男を連れ込んで母親と鉢合わせし
た思い出があるらしく、まどかさんはあまり深く
追求してこなかった。
興味津々の父親には困ったものだった。
「綾野ん家だよ……」
「綾野くんか、仲がいいもんな~。向こうのご両
親にもちゃんと挨拶してきたか?」
「今は旅行中だって…もういいでしょ……」
そういうと部屋に戻った。
昼前なのに、どっと疲れた気がする。
コンコンッ。
「歩夢、いいか?」
「はーい」
部屋の外から聞こえてくる声に返事を返すと、声
の主が入ってくる。
「別に入っていいなんて言ってないんですけど…」
「説教されたみたいじゃん?」
「そうですね…それで!郁也兄さんは慰めにでも
来たの?」
「まぁ、そんなところだ。」
かってにずかずかと入って来ると歩夢の横に座っ
てくる。
ベッドが軋み、揺れるが無視して横になる。
「今日からまた勉強手伝うぞ?」
『そんな無防備だと困るんだけどなぁ~。シャツ
一枚だと捲るだけでいいんだよな~、あ、臍が
見えてるっ!』
パッとシャツを引っ張ると丸まった。
「そう言えば、全部聞こえてるんだっけ……気を
つけねーと嫌われるな…こりゃ」
「気持ち悪く……ないの?」
「別に?便利でいいじゃん。相手の思ってる事が
わかるっっていいじゃん。考えるだけで通じる
んだろ?俺はいいと思うぞ?」
「……」
のそっと起き上がると、机の方に移動した。
その横にちゃっかり郁也が座る。
勉強している間は大体が横で眺めながら見ている
事が多い。
手が止まると、そこの問題のヒントを出す感じだ
った。
あとは、区切り毎に頭を撫でられたり、腰や膝、
太腿を撫でられる事もあったのだった。
があった。
たまに美咲も無断で外泊する事があるのに、歩夢
は初めてだったせいか、説教が長く感じる。
「歩夢、分かったか?外泊するときはだな~しっ
かり連絡を入れてだな~」
「……」
「もう、その辺にしたら?この年齢で初めての外
泊なんでしょ?」
まどかさんの言葉に父親の幸樹も渋々言葉を濁す。
「そうだな……それまで何もなかったんだ、今回
はこのくらいにするか……だがな、郁也くんが
凄く心配してたんだぞ?兄弟がこんなに打ち解
けるなんてなぁ~。俺は嬉しいぞ」
「そうね、あんなに毎日ほっつき歩いていた郁也
が真面目に勉強を見て、兄弟の心配をするなん
て…なんだか信じられないわ」
「それでだ、歩夢……どこに泊まってたんだ?」
『この年だし、やっぱり彼女でもできたか?』
「そんな事を聞くもんじゃないわ、ね~歩夢くん」
『この年なら彼女がいてもおかしくないわね。郁
也のように男女構わず手を出さないといいけど』
昔、息子が家に男を連れ込んで母親と鉢合わせし
た思い出があるらしく、まどかさんはあまり深く
追求してこなかった。
興味津々の父親には困ったものだった。
「綾野ん家だよ……」
「綾野くんか、仲がいいもんな~。向こうのご両
親にもちゃんと挨拶してきたか?」
「今は旅行中だって…もういいでしょ……」
そういうと部屋に戻った。
昼前なのに、どっと疲れた気がする。
コンコンッ。
「歩夢、いいか?」
「はーい」
部屋の外から聞こえてくる声に返事を返すと、声
の主が入ってくる。
「別に入っていいなんて言ってないんですけど…」
「説教されたみたいじゃん?」
「そうですね…それで!郁也兄さんは慰めにでも
来たの?」
「まぁ、そんなところだ。」
かってにずかずかと入って来ると歩夢の横に座っ
てくる。
ベッドが軋み、揺れるが無視して横になる。
「今日からまた勉強手伝うぞ?」
『そんな無防備だと困るんだけどなぁ~。シャツ
一枚だと捲るだけでいいんだよな~、あ、臍が
見えてるっ!』
パッとシャツを引っ張ると丸まった。
「そう言えば、全部聞こえてるんだっけ……気を
つけねーと嫌われるな…こりゃ」
「気持ち悪く……ないの?」
「別に?便利でいいじゃん。相手の思ってる事が
わかるっっていいじゃん。考えるだけで通じる
んだろ?俺はいいと思うぞ?」
「……」
のそっと起き上がると、机の方に移動した。
その横にちゃっかり郁也が座る。
勉強している間は大体が横で眺めながら見ている
事が多い。
手が止まると、そこの問題のヒントを出す感じだ
った。
あとは、区切り毎に頭を撫でられたり、腰や膝、
太腿を撫でられる事もあったのだった。
1
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
当たって砕けていたら彼氏ができました
ちとせあき
BL
毎月24日は覚悟の日だ。
学校で少し浮いてる三倉莉緒は王子様のような同級生、寺田紘に恋をしている。
教室で意図せず公開告白をしてしまって以来、欠かさずしている月に1度の告白だが、19回目の告白でやっと心が砕けた。
諦めようとする莉緒に突っかかってくるのはあれ程告白を拒否してきた紘で…。
寺田絋
自分と同じくらいモテる莉緒がムカついたのでちょっかいをかけたら好かれた残念男子
×
三倉莉緒
クールイケメン男子と思われているただの陰キャ
そういうシーンはありませんが一応R15にしておきました。
お気に入り登録ありがとうございます。なんだか嬉しいので載せるか迷った紘視点を追加で投稿します。ただ紘は残念な子過ぎるので莉緒視点と印象が変わると思います。ご注意ください。
お気に入り登録100ありがとうございます。お付き合いに浮かれている二人の小話投稿しました。
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
【完結】魔法薬師の恋の行方
つくも茄子
BL
魔法薬研究所で働くノアは、ある日、恋人の父親である侯爵に呼び出された。何故か若い美人の女性も同席していた。「彼女は息子の子供を妊娠している。息子とは別れてくれ」という寝耳に水の展開に驚く。というより、何故そんな重要な話を親と浮気相手にされるのか?胎ました本人は何処だ?!この事にノアの家族も職場の同僚も大激怒。数日後に現れた恋人のライアンは「あの女とは結婚しない」と言うではないか。どうせ、男の自分には彼と家族になどなれない。ネガティブ思考に陥ったノアが自分の殻に閉じこもっている間に世間を巻き込んだ泥沼のスキャンダルが展開されていく。
姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王
ミクリ21
BL
姫が拐われた!
……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。
しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。
誰が拐われたのかを調べる皆。
一方魔王は?
「姫じゃなくて勇者なんだが」
「え?」
姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる