君と共に在りたい

秋元智也

文字の大きさ
上 下
44 / 44

しおりを挟む
「寛貴、前!!」
「こんなところまで付いてくるなんて。死ぬに死ねなくなったなぁ」
「ばーか。死ねないに決まってるだろ?」
きっと、拓実の死期が近いことがわかってるんだと思う。
だからこんな危険な仕事を受けてくるんだと思う。
今度は寛貴のが先に死ねるように、、、
そんな事、誰が許すかよ。死ぬときは一緒だって言ったじゃん。
誰が一人で死んでやるかよ。巻き込んでやる。
拓実は寛貴を一人残して逝ってしまった。
でも、それは残された方から見たらただの偽善でしかない。
俺はそんな事思わない。
わがままだって構わない。一緒に逝こう。
それがどんなところだって二人でなら辛くねーだろ?
その場に立っているのは寛貴ただ一人になった。
「やっぱりつえーなぁ」
「何いってるの?調子が悪いんでしょう?」
「うん。あれ以来生気が吸えなくなっちゃた。」
「!?」
「ごめん。体を動かすのももう、無理かも。ただ、今は寛貴の側にいたい」
「いいよ。眠っても。ずっと側に居るから」
拓実の体を抱き締めると寛貴はそのまま目を閉じた。
このまま死んでしまおうか?
そうすれば離れなくて済むから。
きっと、拓実もそれを望んでるよね?
拓実の体はいつのまにか猫の姿に戻り呼吸もしなくなっていた。
それを抱いていた寛貴は安らかに目を閉じたままじっとしている。
腹や肩に食らった弾丸は多分致命的だったなーと思いながら。
このまま一緒に死ねるのならそれも悪くはない。
置いていかれた20年が余りにも長すぎた。
今、行くから、、、。
最期にふと、笑みがこぼれた。
二人はいつかまた出会えるだろうか?
いや、運命はまた、二人を出会わせるだろう。
悲しいばかりじゃなく、生き抜く力として引き寄せあうだろう。          




                            ー    E  N  D   ー
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

あなたが好きでした

オゾン層
BL
 私はあなたが好きでした。  ずっとずっと前から、あなたのことをお慕いしておりました。  これからもずっと、このままだと、その時の私は信じて止まなかったのです。

台風の目はどこだ

あこ
BL
とある学園で生徒会会長を務める本多政輝は、数年に一度起きる原因不明の体調不良により入院をする事に。 政輝の恋人が入院先に居座るのもいつものこと。 そんな入院生活中、二人がいない学園では嵐が吹き荒れていた。 ✔︎ いわゆる全寮制王道学園が舞台 ✔︎ 私の見果てぬ夢である『王道脇』を書こうとしたら、こうなりました(2019/05/11に書きました) ✔︎ 風紀委員会委員長×生徒会会長様 ✔︎ 恋人がいないと充電切れする委員長様 ✔︎ 時々原因不明の体調不良で入院する会長様 ✔︎ 会長様を見守るオカン気味な副会長様 ✔︎ アンチくんや他の役員はかけらほども出てきません。 ✔︎ ギャクになるといいなと思って書きました(目標にしましたが、叶いませんでした)

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

処理中です...