君と共に在りたい

秋元智也

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獲物

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振り向くとさっきのぶつかったひょろっとした男が立っていた。
「男が居るなら誘うんじゃねーよ」
力でかなわないと思うと捨て台詞をはいて立ち去ってしまった。
「なっ・・・何すんだよ。邪魔してんじゃねーよ」
「だってどんな人間かもわからないのについていっちゃだめでしょ」
「~~~」
「ほら、女の子なんだし。自分を大切にしなきゃ」
「どうしてくれるんだよ。せっかくの飯だったのに~」
涙目で訴えると、その場に座り込んだ。お腹も空いた、そして獲物も逃がした。
最悪の一日だった。
「ご飯?人間を食べるつもりだったの?」
「!!」
そこで、はっと気がついた。ヤバイと。
この事がばれると駆除の対象にされてしまうので気を付けるように言われてたんだっけ?
「なっ、何かの聞き違いだろ?」
「指位なら食べてもいいよ。」 
「えっ、あっ、はぁ?」
「だから、俺のせいで食べ損ねちゃったんだよね?ほら!」
言うと指を口の前に突き出した。
クンクンといい匂いが漂ってくる。さっきまではそんなにわからなかったがこれはこれで有りかも。
「じゃー食わせてくれよ」

男の家に転がり込むとキスを交わした。唾液が尾を引くのも苦にもせず性急に体を求めた。
「食べるって言ってたから指を無くす覚悟、したんだけど?」
「誰がそんなもん食べるって言ったんだよ。生気を貰うだけだよ」
「そんなことならお安いご用意なのに」
「なら、いっぱい満たしてくれよ」
それ以上はお互い言葉は要らなかった。男にとっては久しぶりの人肌だった。いや、人ではないか。
なぜか離しがたい気がしてならなかった。
過去に大事な人を無くして以来の満足感であった。
面影が似ている。そんな気がして後を追いかけたのだった。
一度は巻かれてしまったけど、どうしても諦めきれずに探して、見つけた時は横に変な男がいたので力ずくで追い払った。そして今は俺の腕の中。
いっそこのまま閉じ込めてしまおうか?
まずは本人に確認して出てくと言うなら縛ってでも閉じ込めてしまおうと不適な事を企んでいた。
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