君と共に在りたい

秋元智也

文字の大きさ
上 下
22 / 44

死病

しおりを挟む
4人は森の奥へ奥へと入っていくとだんだんと違和感を感じ始めていた。
見た目と違って奥が深いのだ。違う、感覚が鈍ってきているのだ。
迷わないように確認して印を刻みながら進んでいるのに、全く進んだ気がしない。
先ほど仲間の一人が休憩中に一人で先を見に行ったがそれ以降帰ってこない。
離れるべきじゃなかったか?軽く舌打ちをすると残りの2人と共に先へ進んでいく。
「いい香りがしますねー」
「確かに、花の香りですね」
「何の事だ?」
正嗣には全くわからない。ただの森の臭いにしては余りにも籠ったような嫌な雰囲気しかなく、2人のいう香りはさっぱりわからなかった。
「ちょっと用を足してきます」
そう言って一人が茂みに入っていった。
「あまり離れるなよ!」
「わかってやすよ」
そして10分たっても、戻っては来なかった。
「一体どうなってるんだ?ここは。」
イライラしだしていた。こんなはずではなかったと思っても後の祭りである。
「悪かったな」
「いやだな。謝らないでください。俺達が選んだ事っすから」
「それにしてもどうなってるんだ❗くそっ。」
怒鳴り付けた時、微かに銃声の音がした。
これは寛貴に間違いない。音をたどろうと立ち上がった。すると連れの男は なかなか立ち上がらない。
不思議に思って覗き込むと顔面蒼白になって震えだした。
「いったいどうしっ、、、!!」
「すいません。俺、ダメかもしれないです」 
腕を見つめて硬直する仲間を見てあぜんとなった。そこには黒い痣が出来ていたのだ。それも、少しずつ侵食されていっている。こんなに早くに進行するなど聞いたことがなかった。目の前で起きていることが悪い夢であってほしいと願った。理不尽な現実に憤りを感じた。
「一思いにお願いします」
「しかし、まだ、、、」
「もう、助かりません。それに進行が聞いていたより速いんです。正嗣さんが無事でよかったっす」
「すまん。巻き込んでしまって」
正嗣は一思いに、苦しまずに済むように一瞬で楽にしたのだった。
「いったいどうなってやがるんだ❗ちゃんと説明してもらうぞ寛貴ぁー」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】運命さんこんにちは、さようなら

ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。 とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。 ========== 完結しました。ありがとうございました。

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――

天海みつき
BL
 族の総長と副総長の恋の話。  アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。  その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。 「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」  学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。  族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。  何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

キンモクセイは夏の記憶とともに

広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。 小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。 田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。 そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。 純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。 しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。 「俺になんてもったいない!」 素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。 性描写のある話は【※】をつけていきます。

幼馴染は僕を選ばない。

佳乃
BL
ずっと続くと思っていた〈腐れ縁〉は〈腐った縁〉だった。 僕は好きだったのに、ずっと一緒にいられると思っていたのに。 僕がいた場所は僕じゃ無い誰かの場所となり、繋がっていると思っていた縁は腐り果てて切れてしまった。 好きだった。 好きだった。 好きだった。 離れることで断ち切った縁。 気付いた時に断ち切られていた縁。 辛いのは、苦しいのは彼なのか、僕なのか…。

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

処理中です...