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聖剣と聖女と聖木と
33話 懐胎
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ルイスの指示通り、後方へ飛ぶと、薬品を出し惜
しみせず一気に投下した。
そこはもう、見るも無惨な戦場と化したのだった。
敵軍主力部隊全滅。
魔法師団壊滅。
全滅とまでは行かなくとも生きている魔法師も部
位欠損で瀕死だと言う。
国王のケントだけは生き残ったと噂に聞いた。
そして、戦いはあっという間に幕を閉じたのだっ
た。
「ルイスくん、君はすごいことをしたんだよ!」
「えーっと、スランさん?僕は別に何も…ドラち
ゃんが背に乗せてくれたおかげだし、それを育
てたのもハイド先生だから……」
「謙遜しないでよ。君の活躍は兵士の噂でも過大
評価だと言う人もいるようだけど、そんな事な
いよ!見ていた人には分かっている事だからね。
それでどうだろう、この国に仕える気はないか
い?」
「それはごめんだな……俺らは自由になったんだ。
どこかに縛られる気はない!」
「兄さん……うん、僕も同感かな。兄さんと静か
に暮らせれればそれでいいよ」
それにそろそろ、お腹も膨らんできていた。
隠し通すのも難しいだろう。
「なら、せめていくつか依頼させてくれ。褒賞は
もちろん弾ませてもらうよ」
「兄さん…」
「分かった。それなら俺が受けよう」
戦争からの復興に多額の資金がかかる。
そこで、功労者に贈られる金一封を辞退したのだ。
だが、国の体裁を考えると、冒険者に手柄を立て
られ、しかも褒賞をも受け取っては貰えなかった
のだ。
情けない事この上なかった。
庶子であるスランが妹のイーナと共に王室に入る
事になった。
功労者である、ルイスを連れ帰った功績とイーナ
の病気を突き止めなおした礼も兼ねているらしい。
「庶民の分際で貴族の仲間入りとはな……それに
あの下民、魔物を操っていたらしいじゃないか
実に奇妙な」
「それですが、育てたらしいですぞ?」
「なんと!卑しい事を……」
貴族の間では、ルイスは良くは思われていなかっ
た。
貴族の私兵が活躍する場を横取りしたのだから、
よく思うはずもなかった。
街の郊外にある、大きな屋敷を貰ったジェイムス
とルイスは数人のメイドを雇ったのだった。
全部自分たちでやろうと思ったのだが、ルイスが
今動き回れる状態ではなくなってしまったのだっ
た。
「お腹も大きくなって来たな?どれどれ?聞こえ
るかな~」
「まだ早いってば~」
「男の子かな?それとも女の子かな~、どっちも
ルイスに似て可愛いんだろうな~」
「僕は兄さんに似て金髪だったらいいな。きっと
綺麗なんだろうなって……/////」
「俺の事そんな風に見てたのか?」
「え、あっ…いや、うん。すっごく綺麗だなって」
照れながら言うルイスを抱きしめると唇を奪う。
長く、深く口づけを交わすとすっかりトロンとし
た表情を浮かべてくる。
「ルイス……あんまりそんな顔をするなって……
止まらなくなるだろう?」
そう言いながらベッドへと運んでいく。
まだ日が真上にある時間だと言うのに、止められ
なかった。
お腹に負担にならないようにとルイスを抱え上げ
ると自分の上に載せたのだった。
しみせず一気に投下した。
そこはもう、見るも無惨な戦場と化したのだった。
敵軍主力部隊全滅。
魔法師団壊滅。
全滅とまでは行かなくとも生きている魔法師も部
位欠損で瀕死だと言う。
国王のケントだけは生き残ったと噂に聞いた。
そして、戦いはあっという間に幕を閉じたのだっ
た。
「ルイスくん、君はすごいことをしたんだよ!」
「えーっと、スランさん?僕は別に何も…ドラち
ゃんが背に乗せてくれたおかげだし、それを育
てたのもハイド先生だから……」
「謙遜しないでよ。君の活躍は兵士の噂でも過大
評価だと言う人もいるようだけど、そんな事な
いよ!見ていた人には分かっている事だからね。
それでどうだろう、この国に仕える気はないか
い?」
「それはごめんだな……俺らは自由になったんだ。
どこかに縛られる気はない!」
「兄さん……うん、僕も同感かな。兄さんと静か
に暮らせれればそれでいいよ」
それにそろそろ、お腹も膨らんできていた。
隠し通すのも難しいだろう。
「なら、せめていくつか依頼させてくれ。褒賞は
もちろん弾ませてもらうよ」
「兄さん…」
「分かった。それなら俺が受けよう」
戦争からの復興に多額の資金がかかる。
そこで、功労者に贈られる金一封を辞退したのだ。
だが、国の体裁を考えると、冒険者に手柄を立て
られ、しかも褒賞をも受け取っては貰えなかった
のだ。
情けない事この上なかった。
庶子であるスランが妹のイーナと共に王室に入る
事になった。
功労者である、ルイスを連れ帰った功績とイーナ
の病気を突き止めなおした礼も兼ねているらしい。
「庶民の分際で貴族の仲間入りとはな……それに
あの下民、魔物を操っていたらしいじゃないか
実に奇妙な」
「それですが、育てたらしいですぞ?」
「なんと!卑しい事を……」
貴族の間では、ルイスは良くは思われていなかっ
た。
貴族の私兵が活躍する場を横取りしたのだから、
よく思うはずもなかった。
街の郊外にある、大きな屋敷を貰ったジェイムス
とルイスは数人のメイドを雇ったのだった。
全部自分たちでやろうと思ったのだが、ルイスが
今動き回れる状態ではなくなってしまったのだっ
た。
「お腹も大きくなって来たな?どれどれ?聞こえ
るかな~」
「まだ早いってば~」
「男の子かな?それとも女の子かな~、どっちも
ルイスに似て可愛いんだろうな~」
「僕は兄さんに似て金髪だったらいいな。きっと
綺麗なんだろうなって……/////」
「俺の事そんな風に見てたのか?」
「え、あっ…いや、うん。すっごく綺麗だなって」
照れながら言うルイスを抱きしめると唇を奪う。
長く、深く口づけを交わすとすっかりトロンとし
た表情を浮かべてくる。
「ルイス……あんまりそんな顔をするなって……
止まらなくなるだろう?」
そう言いながらベッドへと運んでいく。
まだ日が真上にある時間だと言うのに、止められ
なかった。
お腹に負担にならないようにとルイスを抱え上げ
ると自分の上に載せたのだった。
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