58 / 99
覚醒編
28話 別れの挨拶
しおりを挟む
黙ってしまったルイスにケントは聖女を攫って
自国へと帰ると言い出したのだった。
「俺はこのまま国に帰るよ。国王が死んで原因
もわからず戸惑っているところに、俺が……
唯一の王位継承権を持った王が現れれば民衆
の期待は俺に向くだろう?隣国同士仲良くや
れると思わないか?まぁ、聖女に逃げられた
国としての汚名を着て貰う事になるがな」
「それって聖女を連れ出すって事?無理だよ?」
「無理じゃね~よ。教会への根回しは済んでるん
だ。教皇が聖女を連れてくれば、すぐにでもこ
こを出る。ルイスお前はどうするんだ?このま
まこの国を乗っ取る気がないなら、一緒にくる
か?」
ケントはルイスの唯一の友人と言える存在だと書
かれていた。
だが、それもゲームだった時までだ。
実際に現実になって仕舞えばはちゃめちゃな男
なのだ。
実の家族を手にかけたのだ。
ルイスも未遂だったが、その計画に一枚噛んで
いるのも否めない。
「僕は…行かない。何があっても僕はジェイム
ス兄さんの側に居たいから」
「ふ~ん、まぁいいけど。じゃ~な。俺を止め
るなら今だぞ?」
「止めないよ。自分のやった責任は自分で取る
のが普通でしょ?ケント、これまでいい友人
ではなかったけど…それでも、誰かの犠牲の
上に成り立つ平和なんて長くは続かないよ」
「まさかルイスからそんな言葉が出るとはな…
…元気でな」
立ち去っていくケントを見送ると、アスラと二
人っきりになってしまった。
この状況ではすごく気まずい。
「王子だったんだな……って事は兄さんっていう
の第一王子のジェイムス殿下か……まさか冒険
者としてダンジョンにいるとは思わねーよな…
……あわよくばあのポーション作って貰おうと
思ったのによっ!」
「それってこの前使った奴?」
「そう、威力半端なかったからな~。それに眠ら
せるやつもあれ、速攻だっただろ?あんなもん
見た事ねーよ」
「それなら誰でも作れるよ?まぁ、教えないけど」
「だよな~」
一瞬、目が輝いたが、すぐに落ち込んだのだった。
それもそうだろう。
どこにでもある薬草で作ったものだと聞いたらさ
ぞ驚く事だろう。
誰もが同じ材料を入手する事には困らない。
ただ、ちょっと違うのは作った時の効能だろう。
同じもので作って違いが出る理由は、その製法に
ある。
時間がかかる催眠効果のある薬品は誰にでも作れ
る。
煙を浴びた瞬間即座に眠ってしまうような強力な
ものは聖女として目覚めてから作ったものだった。
要は聖女補正という奴だった。
実際に作ってから使うまでは半信半疑だったが、
実際目にして威力を理解したのだった。
「これなら、渡せるけど?」
それは回復ポーションだった。
重度の怪我にも対応可能な代物だった。
普通の怪我用ポーションと違うのは、あきらか
だった。
自国へと帰ると言い出したのだった。
「俺はこのまま国に帰るよ。国王が死んで原因
もわからず戸惑っているところに、俺が……
唯一の王位継承権を持った王が現れれば民衆
の期待は俺に向くだろう?隣国同士仲良くや
れると思わないか?まぁ、聖女に逃げられた
国としての汚名を着て貰う事になるがな」
「それって聖女を連れ出すって事?無理だよ?」
「無理じゃね~よ。教会への根回しは済んでるん
だ。教皇が聖女を連れてくれば、すぐにでもこ
こを出る。ルイスお前はどうするんだ?このま
まこの国を乗っ取る気がないなら、一緒にくる
か?」
ケントはルイスの唯一の友人と言える存在だと書
かれていた。
だが、それもゲームだった時までだ。
実際に現実になって仕舞えばはちゃめちゃな男
なのだ。
実の家族を手にかけたのだ。
ルイスも未遂だったが、その計画に一枚噛んで
いるのも否めない。
「僕は…行かない。何があっても僕はジェイム
ス兄さんの側に居たいから」
「ふ~ん、まぁいいけど。じゃ~な。俺を止め
るなら今だぞ?」
「止めないよ。自分のやった責任は自分で取る
のが普通でしょ?ケント、これまでいい友人
ではなかったけど…それでも、誰かの犠牲の
上に成り立つ平和なんて長くは続かないよ」
「まさかルイスからそんな言葉が出るとはな…
…元気でな」
立ち去っていくケントを見送ると、アスラと二
人っきりになってしまった。
この状況ではすごく気まずい。
「王子だったんだな……って事は兄さんっていう
の第一王子のジェイムス殿下か……まさか冒険
者としてダンジョンにいるとは思わねーよな…
……あわよくばあのポーション作って貰おうと
思ったのによっ!」
「それってこの前使った奴?」
「そう、威力半端なかったからな~。それに眠ら
せるやつもあれ、速攻だっただろ?あんなもん
見た事ねーよ」
「それなら誰でも作れるよ?まぁ、教えないけど」
「だよな~」
一瞬、目が輝いたが、すぐに落ち込んだのだった。
それもそうだろう。
どこにでもある薬草で作ったものだと聞いたらさ
ぞ驚く事だろう。
誰もが同じ材料を入手する事には困らない。
ただ、ちょっと違うのは作った時の効能だろう。
同じもので作って違いが出る理由は、その製法に
ある。
時間がかかる催眠効果のある薬品は誰にでも作れ
る。
煙を浴びた瞬間即座に眠ってしまうような強力な
ものは聖女として目覚めてから作ったものだった。
要は聖女補正という奴だった。
実際に作ってから使うまでは半信半疑だったが、
実際目にして威力を理解したのだった。
「これなら、渡せるけど?」
それは回復ポーションだった。
重度の怪我にも対応可能な代物だった。
普通の怪我用ポーションと違うのは、あきらか
だった。
19
お気に入りに追加
185
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
ゲーム世界の貴族A(=俺)
猫宮乾
BL
妹に頼み込まれてBLゲームの戦闘部分を手伝っていた主人公。完璧に内容が頭に入った状態で、気がつけばそのゲームの世界にトリップしていた。脇役の貴族Aに成り代わっていたが、魔法が使えて楽しすぎた! が、BLゲームの世界だって事を忘れていた。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
ある日、人気俳優の弟になりました。
樹 ゆき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
転生したら弟がブラコン重傷者でした!!!
Lynne
BL
俺の名前は佐々木塁、元高校生だ。俺は、ある日学校に行く途中、トラックに轢かれて死んでしまった...。
pixivの方でも、作品投稿始めました!
名前やアイコンは変わりません
主にアルファポリスで投稿するため、更新はアルファポリスのほうが早いと思います!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる