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覚醒編

14話 兄弟の間には

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事が終わったのは、ちょうど食事を運んできた
メイドがノックして来た時だった。

コンコンッ。

「お食事を……」

「そこに置いておいてくれ」

「かしこまりました」

外には台車ごと置いていく。

「ルイス、大丈夫か?」

「もう、動けない……でも、どうして兄さんは
 あんな状態だったの?」

あんな状態とは、赤黒い斑点ができて高熱が出
ている事を言っている。

「それは…まぁいいじゃないか、これで隔離か
 ら自由になったんだしな…ルイスありがとな」

違う。
これはすぐに再発する。
今はただ一時的に直しただけにすぎない。

そんな事を知っているのは、ゲームの内容を手
掛けた裕太だからだった。

「兄さん、よく聞いて……あのね……」

「ここで何をしているんだ?」

聞き覚えのある声に、ハッと振り返ると、父王
が立っていたのだった。

息子を見舞いに来たのだが、すっかり治って、
弟と裸のままベッドに入っているなど、予想
もしていなかっただろう。

「ルイス、なぜここにいるんだ。部屋に戻り
 なさい。それにジェイムス、ルイスに会う
 なと言ったのを覚えているか?」

「はい…お父様……」

「どうしてですか?兄さんは病気だったので
 しょ?それなら僕が直せばいいじゃないで
 すか?」

「ルイス、黙りなさい。おい、連れていけ」

ついて来ていた兵士がルイスを掴むとそのま
ま連れていく。
何がどうなっているのか分からなかった。

母のエリスと一緒に食事を済ますと、強制的
に部屋へと戻された。

「ルイス、待ちなさい……。ジェイムスと仲
 がいいの?」

「兄さんと?はい……もちろんです、お母様」

「そう、でもね。あなたはこの国の次期国王
 なのよ?あまり兄を慕うのはやめなさい」

「どうしてですか?僕は……」

なぜそんな事を言うのだろう。
やっぱりこの世界でも、同性は認めてもらえ
ないのだろうか?

いや、聖女ならもう同性ですらないではない
か?

「お母様、実は……」

「ルイス、この赤いのはなに?」

「ん?赤いの?」

何を言っているのだろうと、指さされた首筋を
触ってみる。
別になにか変わった気もしないし、痛みもない。

そう考えてハッとなった。
さっきの行為の最中にジェイムス兄さんに吸わ
れた跡である事に……。

「えーっと虫にでも刺されたかな……」

「それを付けたのはジェイムスなのかしら?穢
 らわしい……弟の貴方に手を出していたの?
 怖かったでしょ?もう、二度と近づけさせな
 いわ」

「待って、お母様。僕は……」

言いかけて、言葉を失ったのだった。
冷たい視線に、汚いものを見る目でルイスを見て
いる事に気づいたからだった。

「なんでも……ないです」

「そう、そう言えば、公国のお嬢さんがもうすぐ
 使者と共にこの国にくるわ。是非とも縁を結ん
 でおきたいわね」

それは。ルイスの方からアプローチしろと言って
いるのだった。


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