第二王子に転生したら、当て馬キャラだった。

覚醒編

2話 目覚め

真っ白な世界にたった一人で立っていた。

「ここは……僕は、死んだの……かな」

心残りとしてはジェイムス兄さんの事だった。
自分がそばにいたせいで、セシリアなら解毒でき
るはずの毒に蝕まれて亡くなってしまうなんて。

全部自分のせいではないか？
無理にでもジェイムスとセシリアをくっつけるべ
きだったのではないか？

ジェイムスに愛される立場を誰にも譲りたくなか
った。

たったそんな小さな感情のせいで、失ってしまっ
たのだ。
これがいくら物語りといえど、もう戻らない。

「現実だったら僕が男に抱かれるなんてあり得な
　い話だよな」

この綺麗な見た目だからこそだろう。
感度のいい若い身体は、性欲に忠実だった。

男の象徴まで立派だったし、綺麗だった。
口に含む事には抵抗があったが、それでも、苦に
ならないくらいにいい匂いと立派なモノだった。

あんなにピンクで可愛いはずはない。
普通ならもっとグロいものなのだ。

「あぁ、もうちょっとだけ……一緒に生きていた
　かったな」

「そなた、まだ死んではおらぬぞ？」

突然聞こえた声に驚くと、周りを見回したのだっ
た。
だが、どこにもいない。

「空耳？」

「なんじゃ、聞こえておるのなら空耳じゃないわ。
　全く人間というやつは姿が見えぬと信じぬのか？」

そういうと、目の前に光が集結して人の形を成して
いった。

「これで信じたか？わしはこの世界の神じゃ。お主
　は今、高熱にうなされておる。身体はお主の兄が
　献身的に看病しておるぞ？」

「どうして……僕は腕を切り裂いて……それで…」

「なんじゃ？お主知っておるのではないか？聖女の
　覚醒じゃよ」

聖女が覚醒した際、しばらく生死を彷徨う。
そして一週間後に目覚めると、神聖魔法が使えるよ
うになっていたというアレだった。

「えぇっぇーーー！聖女って、僕男ですけど……」

「そうじゃな。わしも分かっておるわ！じゃがな～、
　聖女とはどうやって覚醒するか知っておるか？」

「それは純粋な祈りです」

「そうじゃ。今のセシリアには無理じゃ。一番純粋
　な思いをしておるのがそなただったのじゃ。これ
　からは、世界がいっぺんするぞ？聖女の覚醒じゃ
　からのう。」

神と名乗った女性？は言いたい事をいうと、ピンッ
と指を弾いた。

その瞬間、一気に風が起きて吹き飛ばされるような
感覚に陥った。


そして、気がつくとベッドの上で眠っていたのだと
気づいた。


ちょうどそのタイミングでドアが開くと、入ってき
たジェイムスは持っていたお盆を床に落とした。

「ルイスっ！目が覚めたのか？」

男前だったジェイムスの顔は少しやつれて見えたの
だった。