弱いままの冒険者〜チートスキル持ちなのに使えるのはパーティーメンバーのみ?〜

秋元智也

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賢者の実験

第十六話 仲間の訃報

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冒険者とは、ダンジョンなどに潜り素材集めや、
魔物退治など、未到の地へ赴いてあらかじめどの
ような危険があるのかを調べて来たりする危険な
職業とされていた。

だからこそ、冒険者にはランクが決められており
高ランクになれば、どのような依頼もこなせるよ
うになる。

初めは登録したばかりでは、Fランクから始まり
何度か依頼を多くこなしていくうちにランクが
上がって、実力もついて行く。

それを、一気に上げるような事はよっぽどの事が
ない限り、ありえないと言っていい。

それが決まりで、冒険者を安全かつ、無事に戻ら
せる為の指標としているのだった。

「ここが冒険者ギルドか?」
「デカい建物の癖に中は結構汚ねーじゃん?」

受付けを見て鼻で笑うのはさっき入って来たばか
りの青年だった。

冒険者はガラが悪いとはよく言われるが、その青
年も負けてはいない。

「ここで冒険者登録が出来るって聞いたんだけど
 ー?」
「はい。冒険者登録は初めてですか?」

受付の女性はいたって平然とした態度で話しかけ
る。

「あぁ、この後二人でどこか行かない?」
「今は仕事中なので、登録で宜しかったですか?」
「だから~終わってからでいいっていってんじゃ
 ん~」
「よせ、竜。」
「チッ……つまんねーの」

少しホッとしたのか、受付の女性は話を続けた。

「登録に必要な書類はこちらです。名前と職業を
 お書きください。パーティーを組むのでしたら
 そちらに記入も。」
「あぁ」

長野が名前と自分の使える魔法を蘭に記入した。
一応、3人の名前を書く。

長野仁…人間。火属性魔法。
上島竜…人間。水属性魔法。
江口洋介…人間。肉体強化。

そうして退出すると、何もない場所からカードが
出て来た。

「では、そちらに触れて下さい。そうすれば完了
 です」
「これに触ればいいのか?なんか王宮にあったや
 つと一緒じゃね?」

まあるい水晶に触れるとそこに文字が出てカード
に刻まれていった。

すると、いきなり一枚のカードが真っ赤になった。

「これは………」

受付の女性の顔色が変わる。

「えーっと、申し上げにくいのですが……」
「あぁ、もう一人はちょっと席を外していてな…」
「それなのですが、この名前の人物はすでに亡くな
 っているのですが……登録なされるのですか?」

江口のカードだけ色が違う。

二人のカードは普通に登録はできたが、そこには犯
罪歴の蘭に何か文字が付け加えられていた。

それは、読めない文字で書かれており、二人には理
解出来ていなかった。

これはギルド職員だけが見ればわかるものだった。

そして、パーティーメンバーがすでに亡くなってい
るという事を伝えると、慌てたように二人は帰って
行ったのだった。

本当なら犯罪歴のあるものを冒険者とは認められな
いのだが、彼らのカードには異世界からの召喚歴と
いうのが付け加えられていたため、カードを発行し
たのだった。

これは国の管轄の為無下に扱えないのだった。
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