弱いままの冒険者〜チートスキル持ちなのに使えるのはパーティーメンバーのみ?〜

秋元智也

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弱くても一緒に戦いたい

第九話 宝箱

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戦闘が始まってからどのくらいが経ったのだろう。

ナルサスは体内時間から計算して、もうかれこれ
60分ほどは戦っている感覚だった。

この疲れを知らない無限の力は常に回復をかけら
れているような感覚だった。

強さも段々増していく。

あきらかに有利になっていくように思えた。

ボスの硬い装甲は傷だらけになりところどころに
傷が残る。
そこを集中的に攻撃して体力を削る。

一気にトドメに入ると、ボスの方も一気に決めに
来たのだろう、護る事はせず正面からぶつかって
きた。

今のナルサスに敵うものなどいない。
そう思えるほど、強かった。

一刀両断にすると、やっと剣を拭い鞘にしまった。

「奏…終わったぞ……」

さっきまで隅でシールドを張ったままでいるご主人
へと駆け寄った。

バフが効いているせいでこの暗闇の中もはっきり見
える。

近くに行くと、自然とシールドが解けていた。

「奏……?かなで!!」

声をかけて触れると、前に倒れ込んでいく。
奏の身体を抱き止めると予想以上に疲労していた
ようだった。

レベルは1だと聞いていた。
だから戦いから遠ざけて、安全な場所にいてもら
ったはずだった。

だが、バフをかけるのも神崎のスキルなのだ。
スキルの乱用で一時的に体力と気力を消耗して気
を失っているのだと気づく。

ボスが倒された事で、奥に進む道が現れた。
このまま奥に行くべきか、それとも引き返すべき
か?

何度も戦闘時に危ない場面はあった。
その度に立て直せたのは奏のおかげだった。

引き返すにも、転送罠でこの場所へと来たので帰
り道が分からないのだった。

せめて、エリーゼがいてくれたら違っていたのか
もしれないが、そんな事を言ってはいられなかっ
た。

神崎を抱きかかえるとそのまま奥へと進む事にし
た。

戻れないなら先へと進むしかない。
そして奥の部屋に金色の宝箱を見つけたのだった。

バフが効いているのはあと少しだろう。

もし、バフが切れれば、視界もチートな力も全部
失ってしまう。

ナルサスとて、剣には自信がないわけではないが、
誰かを護りながらのダンジョン攻略はかなり難易度
が高くなる。

宝箱に手を伸ばすと開けてみる。

そこから出てきたのは、帰還のスクロールだった。

どこであろうと、自分の帰還したい場所へと帰還さ
せてくれる。
ダンジョンで使えば入り口へ飛ばされる。

まだ、この場所を全部探索はできていないが、奏の
この状態を見るに、一旦帰って仕切り直しにした方
が良さそうだった。

「しかし……俺たちだけで帰っていいものか……」

他に入っていたアイテムと言えば……。
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