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弱くても一緒に戦いたい
第一話 剣術
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神崎が目を覚ますと、ナルサスはすでに起きてどこか
に行った後だった。
身体がまだ幼いせいか手足の短さに未だに慣れない。
服を着ると外に出て顔を洗う。
庭では、剣の素振りをしているナルサスを見つけた。
真剣な目つきで何度も素振りをしていた。
それが終わると型なのか剣を振り下ろすとくるっと回
って薙ぎ払う。
その後もスムーズな動きで剣を繰り出していく。
「ナルサスはすごいですね?やっぱり剣のが得意なん
ですか?」
「奏…、まぁ、皇子として育てられたからな…どんな
武器でも使えるようには教えられている」
「へぇ~、それって俺にもできます?」
「それは…奏も前に出て戦うと言う事か?」
「そう言うわけじゃないけど。護身術というか……」
「まぁ、構わない。教えよう…」
気前よく教えてくれる事になった。
まずは剣の持ち方。
そして姿勢、突き出し方、切り裂きそのまま薙ぎ払う。
「これだけは気をつけてください、突きはよっぽのど
事がない限りはしない事」
「どうしてですか?」
「突きは刺さった後に抜けなくなる場合があるんだ。
連戦で戦う時に剣が抜けませんじゃ困るだろう?」
「なるほど…」
少し離れた屋敷の窓から大きな声が聞こえてきた。
「カナデくーん、食事の準備ができたそうだからキ
ッチンにくるようにと言ってましたよー」
「はーい、ありがとう、すぐに行くよ!」
メイドの声を聞きながらここまでとして、キッチン
へと向かった。
今日は領主さまもいるらしく、一緒に食事をとる事
になった。
「あの、すいません。彼は……」
「あぁ、エリーゼから聞いているよ、奴隷を買った
そうだね?それでどうかね?」
「はい……すっごく頼りになります」
「そうか……それはいい買い物をしたものだ。奴隷
だからと言って床で食べなさいとは言わんよ。カ
ナデくんがしたいようにしなさい」
「はい、ありがとうございます。ナルサス椅子に座
って」
「……はい」
マナーはしっかりしていた。
さすが皇族といったところだった。ナルサスの出自
は言っていないが、きっとエリーゼ経由で聞いてい
る事だろう。
「カナデくん、一つ忠告をしておくよ、そして奴隷
の君には覚えて置いて貰わなければならない事が
ある。それは戦争奴隷の場合は……自分の国に帰
ってはいけないよ」
「えっ…それはなんでですか?」
神崎は咄嗟に聞いてしまう。
自分の故郷すら帰れないのか?
主人が連れて行くなら帰っても、一目見るだけでも
良いのではないか?
そう、言いそうになった。
すると突然エリーゼが口を開いて言う。
「その理由はね、謀反を企てる恐れがあるからなん
だよ。特に君のような身分がある者の場合主人を
殺して故郷の仲間と結託することも考えられると
いうわけだよ」
「……あっ」
確かに……でも、ナルサスはそんな事しない。
そう言いたかったが、まだ会って1日だ。
そこまでの信頼もなければ、絶対にそんな事はない
と言い切る事は出来なかった。
に行った後だった。
身体がまだ幼いせいか手足の短さに未だに慣れない。
服を着ると外に出て顔を洗う。
庭では、剣の素振りをしているナルサスを見つけた。
真剣な目つきで何度も素振りをしていた。
それが終わると型なのか剣を振り下ろすとくるっと回
って薙ぎ払う。
その後もスムーズな動きで剣を繰り出していく。
「ナルサスはすごいですね?やっぱり剣のが得意なん
ですか?」
「奏…、まぁ、皇子として育てられたからな…どんな
武器でも使えるようには教えられている」
「へぇ~、それって俺にもできます?」
「それは…奏も前に出て戦うと言う事か?」
「そう言うわけじゃないけど。護身術というか……」
「まぁ、構わない。教えよう…」
気前よく教えてくれる事になった。
まずは剣の持ち方。
そして姿勢、突き出し方、切り裂きそのまま薙ぎ払う。
「これだけは気をつけてください、突きはよっぽのど
事がない限りはしない事」
「どうしてですか?」
「突きは刺さった後に抜けなくなる場合があるんだ。
連戦で戦う時に剣が抜けませんじゃ困るだろう?」
「なるほど…」
少し離れた屋敷の窓から大きな声が聞こえてきた。
「カナデくーん、食事の準備ができたそうだからキ
ッチンにくるようにと言ってましたよー」
「はーい、ありがとう、すぐに行くよ!」
メイドの声を聞きながらここまでとして、キッチン
へと向かった。
今日は領主さまもいるらしく、一緒に食事をとる事
になった。
「あの、すいません。彼は……」
「あぁ、エリーゼから聞いているよ、奴隷を買った
そうだね?それでどうかね?」
「はい……すっごく頼りになります」
「そうか……それはいい買い物をしたものだ。奴隷
だからと言って床で食べなさいとは言わんよ。カ
ナデくんがしたいようにしなさい」
「はい、ありがとうございます。ナルサス椅子に座
って」
「……はい」
マナーはしっかりしていた。
さすが皇族といったところだった。ナルサスの出自
は言っていないが、きっとエリーゼ経由で聞いてい
る事だろう。
「カナデくん、一つ忠告をしておくよ、そして奴隷
の君には覚えて置いて貰わなければならない事が
ある。それは戦争奴隷の場合は……自分の国に帰
ってはいけないよ」
「えっ…それはなんでですか?」
神崎は咄嗟に聞いてしまう。
自分の故郷すら帰れないのか?
主人が連れて行くなら帰っても、一目見るだけでも
良いのではないか?
そう、言いそうになった。
すると突然エリーゼが口を開いて言う。
「その理由はね、謀反を企てる恐れがあるからなん
だよ。特に君のような身分がある者の場合主人を
殺して故郷の仲間と結託することも考えられると
いうわけだよ」
「……あっ」
確かに……でも、ナルサスはそんな事しない。
そう言いたかったが、まだ会って1日だ。
そこまでの信頼もなければ、絶対にそんな事はない
と言い切る事は出来なかった。
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