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異世界へ

第二十四話 奴隷という名の仲間

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牢の鍵を開けて貰うと、中に入った。
やっぱり中も排泄用のバケツがあるだけなので匂いが
酷かった。

「あの…俺はカナデといいます。神崎奏、この世界の
 事は全く分からないんです。いきなりこの世界に落
 とされたので……俺と一緒に戦ってくれませんか?
 もちろん奴隷としてではなく、ちゃんと解放するつ
 もりです。それじゃだめですか?」
「奴隷を解放する?」
「はいっ、俺の世界には元々奴隷なんていないんです。
 だから、俺は奴隷としてではなく、普通に友人にな
 りたいんです」
「ふっ……甘い考えだな……」

笑うと少し幼く感じた。
そしてこっちをまっすぐに見ると、ギッと睨みつけた。

「奴隷は解放するなっ、俺は敗戦国の皇子だ。もし、
 我が兵士が生きていれば、ここを出て再起を図るや
 もしれんぞ?」
「この国が嫌なら他で冒険者をすればいいですね」
「おい……俺の話を聞いてるのか?」
「はい、聞いてますよ?俺は、別に国にはこだわって 
 ないんです」

ハッキリと言い切る神崎に、奴隷の男は緊張が解けた
のか、手を差し出してきた。

「俺でよければ……買ってくれ。ただ、俺は戦闘しか
 出来んがな…夜の相手や、買い物中の似合う、似合
 わないなど知らん。」
「そんな事はしなくていいよ。戦闘時に俺を護って欲
 しい。それだけでいい。あとは何もしなくていいよ」
「わかった。俺はカルダ国第一王子、ナルサス・カルダ
 だ。よろしくな」
「こちらこそ」

お互いが納得した事で、丁度エリーゼが戻ってきた。

「カナデくん、もし決めきれないなら、別の商会に
 行ってもいいんだぞ?」
「いえ、彼で大丈夫です。」
「そうか、ならここからは重要な事があるから彼も
 きて貰うよ」

さっきの小太りの男が来ると、ナルサスの腕には頑 
丈な鎖がはまっていた。

魔法陣の中央に座らされると今度は神崎の血を一滴
垂らす。
すると光出して、首に紋様が刻まれたのだった。

「これで奴隷の主人である繋がりが出来ました」

エリーゼが前に出るとナルサスを掴み床に膝つかせ
た。

「カナデくん。こっちに…この紋様に触れながら同
 じ事言うんだ。」
「はい」

ナルサスの紋様と同じ紋様が神崎の腕にも出てきた。
そしてエリーゼの言った通りにナルサスの紋様に触
れると神崎の紋様も同時に光出した。

『汝、主人の事を誰かに口外しようとした時は自害
 せよ』

「汝。主人の事を誰かに口外しようとした時は自害
 せよ」

『汝、主人の命令は絶対と心得よ』

「汝。主人の命令は絶対と心得よ」

それから瞬く続くと、やっと終わったのだった。

「あの。この服のままは流石に……」
「それもそうだな、動きやすい服を頼む」
「はい、では料金をいただきますが?」
「構わない。カナデくんの言う通りに…」
「分かりました」

一応見れる服を着るとそのついでに水浴びでもして
来たのだろうか、髪が濡れていた。
そのまま、身支度が終わると武器屋へと向かったの
だった。











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