弱いままの冒険者〜チートスキル持ちなのに使えるのはパーティーメンバーのみ?〜

秋元智也

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異世界へ

第十三話 スカートは履きたくない!

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朝になると、部屋へと朝食が運ばれてきたのだった。

顔を洗うための水で手も一緒に洗う。
トイレは部屋を出ると、部屋の前で待機していた使用人が
案内してくれた。

まさか部屋の前でずっと待機していたわけではないよなぁ?

何かあれば呼べばいいと、ベッドの側にはベルが置かれて
ある。

こんな広い屋敷でベルって……
一体どこまで聞こえるのだろう。

気になって鳴らしてみると、すぐに駆けつけて来てくれた。

流石にすぐに謝って帰ってもらった。

「はぁ~、びっくりしたぁ~!」

まさかすぐに駆けつけて来るとは思いもしなかった。
きっとドアの前に立っているのだろう。

流石に夜中には居なかったが、明け方には所定の位置に来
ていたのだった。

流石にこれは気まずい。
常にドアの前に聞き耳を立てらえているようで、なんとも
気まずい。

そして、一番気まずいのは、アンネが神崎の為に用意して
くれた服だった。

それがあるせいで部屋から出られずにいるのだった。

身長も近いという事で、アンネは自分のドレスを持って来
させたのだった。
どれも派手で綺麗ではあるのだが、どうにも袖を通す気に
はなれない。

何が悲しくてスカートを履く羽目になるのだろう。

「すいませ~ん、執事とかの服ってないんですか?」
「お嬢様からドレスを着せるようにと仰せつかっておりま
 す。もし、よろしければお化粧をお手伝いさせて下さい」
「いいです!結構ですから!」

こういったわけで、全く話にならないのだった。

もう、これでは部屋に籠るしかない。せめてエリーゼに
でも会えれば……少しはまともな服を持ってきてくれそう
なのだが…

領主の護衛騎士というのだから、忙しいのだろう。

窓から外を眺めると、走り込みをしている男達に混じって
女性騎士も一緒になって走っていた。
終わったら、腹筋と腕立て伏せ、そして素振りに移る。

「騎士って大変なんだな~」

ぼんやり眺めていたが、ハッと気づくと後ろに影が落ちた。

「お部屋からなかなか出て来ないので心配しましたよ?」
「アンネさま!」
「さまなど入りませんわ。庭に行きませんか?」
「それなんだけど……服はこれしか持ってなくて…」
「わたくしのドレスは気に入りませんでしたか?」
「そうじゃなくて……ズボンがいいんだ。ほら、そこの執事
 の人が来ているような服がいいんだけど……」

説得を試みるも、渋い顔をされた。

「仕方ありませんわね!執事の服を持ってきて」
「はい、かしこまりました」

アンネの言葉には素直だった。

やっと普通の服を着れる。
そう思ったのだった。


庭に出ると、色とりどりの花が咲き乱れていた。

「うわぁ~、綺麗ですね~」
「はい、自慢の庭園なんです」

アンネが嬉しそうに話すので、釣られるように笑顔にな
った。
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