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異世界へ
第九話 絶望ならの希望
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また一人になってしまった。
神崎は再び森の中を彷徨う事になった。
食べるものはパンと干し肉だけ。
ずっとこんな食事では飽きてしまう。
どこか街にでも行って稼ぐ方法を見つけなければな
らない。
だからと行って、自分一人では戦えない。
レベル1という低いままでは、何もできないのだった。
唯一出来る自衛が自分の周りにシールドを発生させる
事だった。
しかし、その強度も分からないし、どれだけ耐久があ
るのかも不明なままだった。
「このままじゃ、レベルを上げるよりも飢え死にしそ
うだな」
食糧が尽きれば流石に無理だ。
肉はあっても生のままではお腹を壊すだけ。
「一生ここに居なきゃいけないのかよ……」
悪夢のような考えが頭に過った。
イジメなら我慢すればいい。
大学生になれば、離れるしそれまでの辛抱だと思えた。
が、こんな森の中じゃ何もない。
希望すらないのだ。
どこまで続いているのかさえも分からない。
そして、問題なのは、今の姿だった。
もし元の世界に帰れたとして、自分の身体はどうなって
いるのだろうか?
もう、戻れない。
そう考えた方が正しいのかもしれない。
「今日中に森を抜けるぞ!諦めるな俺!絶対に生き抜く
んだ!」
自分に喝を入れると再び歩き出した。
小川の流れる音が聞こえてくると、少し安心する。
そのまま川を伝って下流に降りていけばきっと街がある。
昔の日本でもそうだった。
河川のある場所に村や街ができていく。
人が生活するにしても、農地にしても、作物には水が欠か
せないからだった。
だが、問題は川の付近では野生の動物も寄ってくるとい
う事だった。
水を使うのは、人間だけではないのだ。
隠れながらゆっくり警戒して歩く。
犬系の動物だったりしたら危険なのだ。
鼻が効くと、そばにいるだけで気づかれてしまう恐れが
あるからだった。
きゃぁぁっぁーー!!
森の奥から悲鳴が聞こえて来た。
こんなところにも人間がいるのかと思うと、急いで向か
う。
この世界に来て初めての人間が死体だったなんて絶対に
嫌だ。
側まで来ると襲われている最中だった。
馬車の中には誰かが乗っているようだった。
そして、護衛らしい人は数人地面に倒れたまま動かない。
「盗賊かな……」
どうしたらいい?
神崎が戦いに出ても、きっと足手纏いにしかならないだ
ろう。
なら、何が出来る?
護衛の騎士は前と後ろを警戒している様子だった。
弓を全部防ぎ切るくらいなのだからきっと強いのだろう。
が、この状況ではジリ貧だろう。
石を掴むと盗賊の頭へと投げた。
「おい、そこにいるのは誰だぁ~出てこい!」
すぐさま出ていくと馬車の方へと走った。
「強いんですよね?この馬車は俺が絶対に守ります!そし
たら、心置きなく戦えますか?」
「君は……子供?任せてもいいんだな?」
「はい、絶対に誰も通しません!」
「分かった、信じよう」
そう言うと、一気に前に走って行った。
神崎は馬車全体にシールドを張った。
後方から弓矢が飛んできたが、全部シールドに弾かれ地面
に刺さった。
「おい、どうなってやがる!」
「弓が届きません」
「なんだとう?」
怒りに震えた頭はそのまま撤退するのが正解だったのだろう。
が、頭に血が登った状態では正しい判断はできなかった。
目の前に迫る脅威に足を救われると、命を落とす事となった。
さっきの騎士が攻撃に転じたからだった。
護りに徹していなかったら、こんなに強かったのかと改めて
思うほど見事な腕だった。
神崎は再び森の中を彷徨う事になった。
食べるものはパンと干し肉だけ。
ずっとこんな食事では飽きてしまう。
どこか街にでも行って稼ぐ方法を見つけなければな
らない。
だからと行って、自分一人では戦えない。
レベル1という低いままでは、何もできないのだった。
唯一出来る自衛が自分の周りにシールドを発生させる
事だった。
しかし、その強度も分からないし、どれだけ耐久があ
るのかも不明なままだった。
「このままじゃ、レベルを上げるよりも飢え死にしそ
うだな」
食糧が尽きれば流石に無理だ。
肉はあっても生のままではお腹を壊すだけ。
「一生ここに居なきゃいけないのかよ……」
悪夢のような考えが頭に過った。
イジメなら我慢すればいい。
大学生になれば、離れるしそれまでの辛抱だと思えた。
が、こんな森の中じゃ何もない。
希望すらないのだ。
どこまで続いているのかさえも分からない。
そして、問題なのは、今の姿だった。
もし元の世界に帰れたとして、自分の身体はどうなって
いるのだろうか?
もう、戻れない。
そう考えた方が正しいのかもしれない。
「今日中に森を抜けるぞ!諦めるな俺!絶対に生き抜く
んだ!」
自分に喝を入れると再び歩き出した。
小川の流れる音が聞こえてくると、少し安心する。
そのまま川を伝って下流に降りていけばきっと街がある。
昔の日本でもそうだった。
河川のある場所に村や街ができていく。
人が生活するにしても、農地にしても、作物には水が欠か
せないからだった。
だが、問題は川の付近では野生の動物も寄ってくるとい
う事だった。
水を使うのは、人間だけではないのだ。
隠れながらゆっくり警戒して歩く。
犬系の動物だったりしたら危険なのだ。
鼻が効くと、そばにいるだけで気づかれてしまう恐れが
あるからだった。
きゃぁぁっぁーー!!
森の奥から悲鳴が聞こえて来た。
こんなところにも人間がいるのかと思うと、急いで向か
う。
この世界に来て初めての人間が死体だったなんて絶対に
嫌だ。
側まで来ると襲われている最中だった。
馬車の中には誰かが乗っているようだった。
そして、護衛らしい人は数人地面に倒れたまま動かない。
「盗賊かな……」
どうしたらいい?
神崎が戦いに出ても、きっと足手纏いにしかならないだ
ろう。
なら、何が出来る?
護衛の騎士は前と後ろを警戒している様子だった。
弓を全部防ぎ切るくらいなのだからきっと強いのだろう。
が、この状況ではジリ貧だろう。
石を掴むと盗賊の頭へと投げた。
「おい、そこにいるのは誰だぁ~出てこい!」
すぐさま出ていくと馬車の方へと走った。
「強いんですよね?この馬車は俺が絶対に守ります!そし
たら、心置きなく戦えますか?」
「君は……子供?任せてもいいんだな?」
「はい、絶対に誰も通しません!」
「分かった、信じよう」
そう言うと、一気に前に走って行った。
神崎は馬車全体にシールドを張った。
後方から弓矢が飛んできたが、全部シールドに弾かれ地面
に刺さった。
「おい、どうなってやがる!」
「弓が届きません」
「なんだとう?」
怒りに震えた頭はそのまま撤退するのが正解だったのだろう。
が、頭に血が登った状態では正しい判断はできなかった。
目の前に迫る脅威に足を救われると、命を落とす事となった。
さっきの騎士が攻撃に転じたからだった。
護りに徹していなかったら、こんなに強かったのかと改めて
思うほど見事な腕だった。
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