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何故馬鹿は大声を出すのでしょう?
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アリシエラがエドワードのもとに歩み寄ると、会場の全ての人の視線がこの場に集まった。その視線を何と勘違いしたのか、エドワードは得意気に胸を張っている。
「ようやく来たか、遅いぞ」
「あら、私会場の隅におりましたのよ。婚約者がエスコートしてくださらないから」
「……ふんっ。お前などを連れて歩けるものか!」
そう言いながらも、アリシエラのメリハリのきいた魅力的な肢体に視線を走らせる。その好色な目がアリシエラはずっと大嫌いだった。
「それでどのようなご用件でお呼びになったの?」
「今日はお前に伝えることがあるのだ」
「それはこの場でなくてはいけないこと?」
「逃れようとしても無駄だぞ!俺はもうお前との婚約には嫌気がさしているんだ!」
「あら」
おっとりと微笑むアリシエラを見ず、エドワードは会場にいる貴族たちに視線を向けた。
「王太子エドワードがここに宣言する。アリシエラとの婚約は破棄する!」
「……」
会場は静まったままだった。歓声があがると考えていたエドワードが戸惑いの表情を浮かべる。その腕に抱きつく令嬢も、周りをきょときょとと見渡していた。
「はい、喜んで」
「なっ、そんな、強がりをしてっ」
アリシエラだけが動揺しないまま微笑んで答えると、エドワードが紅潮した顔を歪めた。
折角彼の意思を喜んで受け入れたのに、なぜそのような顔をするのだろう。まあ、分かっているけど。
「強がりなんてしていませんわ。私も殿下との婚約は継続し難いと、教皇様に相談していたところですもの」
「なっ、教皇だと?!なぜお前が教皇に相談など出来るのだ!」
「え、何故って、御存じでなかったの?」
エドワードやその側近達を見ても驚愕の表情を浮かべているからアリシエラも不思議に思う。アリシエラの立場は決して隠していなかったのに、何故このような顔をしているのだろうか。
「私、10歳の時に聖女に選ばれましたのよ。それ以前から殿下と婚約していましたから、その婚約は維持されることになりましたけれど」
「聖女だと!お前みたいな悪女が?!」
「悪女なんて酷い言われようですのね。私、貴方に何かしました?」
フランツが剣の柄に手をかけるので、今しばらく抑えるように合図する。聖女付きの教会騎士は、何者からも聖女の身を守るためにどのような場だって帯剣を許される。しかし、容易に抜剣してもいいということではない。
「お前、俺の最愛のアンジェを傷つけておきながら、知らない振りをするつもりかっ!」
「アンジェ?」
エドワードが傍らの少女を抱き寄せる。その少女がアンジェなのだろう。目を潤ませ、エドワードの胸元に抱きつく。目が痛くなるから見ないようにしていたのに。
「そちらの方がアンジェという方ですの?報告は受けておりましてよ」
「アンジェ・ルコット男爵令嬢だ!お前なんぞが気軽にアンジェと呼ぶな!」
「そう。では私のことをお前と下品な言葉で呼ぶのはやめてくださる?とても不愉快だわ」
「このっ、……アリシエラ嬢」
怒鳴りつけようとしたエドワードだったが、周囲からの視線に気づいたらしい。顔色をなくして大人しくなった。
「ようやく来たか、遅いぞ」
「あら、私会場の隅におりましたのよ。婚約者がエスコートしてくださらないから」
「……ふんっ。お前などを連れて歩けるものか!」
そう言いながらも、アリシエラのメリハリのきいた魅力的な肢体に視線を走らせる。その好色な目がアリシエラはずっと大嫌いだった。
「それでどのようなご用件でお呼びになったの?」
「今日はお前に伝えることがあるのだ」
「それはこの場でなくてはいけないこと?」
「逃れようとしても無駄だぞ!俺はもうお前との婚約には嫌気がさしているんだ!」
「あら」
おっとりと微笑むアリシエラを見ず、エドワードは会場にいる貴族たちに視線を向けた。
「王太子エドワードがここに宣言する。アリシエラとの婚約は破棄する!」
「……」
会場は静まったままだった。歓声があがると考えていたエドワードが戸惑いの表情を浮かべる。その腕に抱きつく令嬢も、周りをきょときょとと見渡していた。
「はい、喜んで」
「なっ、そんな、強がりをしてっ」
アリシエラだけが動揺しないまま微笑んで答えると、エドワードが紅潮した顔を歪めた。
折角彼の意思を喜んで受け入れたのに、なぜそのような顔をするのだろう。まあ、分かっているけど。
「強がりなんてしていませんわ。私も殿下との婚約は継続し難いと、教皇様に相談していたところですもの」
「なっ、教皇だと?!なぜお前が教皇に相談など出来るのだ!」
「え、何故って、御存じでなかったの?」
エドワードやその側近達を見ても驚愕の表情を浮かべているからアリシエラも不思議に思う。アリシエラの立場は決して隠していなかったのに、何故このような顔をしているのだろうか。
「私、10歳の時に聖女に選ばれましたのよ。それ以前から殿下と婚約していましたから、その婚約は維持されることになりましたけれど」
「聖女だと!お前みたいな悪女が?!」
「悪女なんて酷い言われようですのね。私、貴方に何かしました?」
フランツが剣の柄に手をかけるので、今しばらく抑えるように合図する。聖女付きの教会騎士は、何者からも聖女の身を守るためにどのような場だって帯剣を許される。しかし、容易に抜剣してもいいということではない。
「お前、俺の最愛のアンジェを傷つけておきながら、知らない振りをするつもりかっ!」
「アンジェ?」
エドワードが傍らの少女を抱き寄せる。その少女がアンジェなのだろう。目を潤ませ、エドワードの胸元に抱きつく。目が痛くなるから見ないようにしていたのに。
「そちらの方がアンジェという方ですの?報告は受けておりましてよ」
「アンジェ・ルコット男爵令嬢だ!お前なんぞが気軽にアンジェと呼ぶな!」
「そう。では私のことをお前と下品な言葉で呼ぶのはやめてくださる?とても不愉快だわ」
「このっ、……アリシエラ嬢」
怒鳴りつけようとしたエドワードだったが、周囲からの視線に気づいたらしい。顔色をなくして大人しくなった。
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