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ノースポール公爵家の事情編
お家事情
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「もう大丈夫だから落ち着いてね、リタ。」
「はい・・・ばい゛・・・ぼんどによがっだでずぅぅぅ・・・。」
「もう、リタったら!・・・大好きよ!それに・・・ヒナも・・・その、ありがとね。」
ちょっと恥ずかしそうに俯きながらヒナタにお礼を言うフローレンスは、それはもう可愛らしかった。
(かっっっっっわいぃぃぃぃぃぃ!!美少女の恥じらい、やばあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)
少し鼻息が荒くなったが、リタのスパルタ教育のおかげかにっこりと笑顔を返す事ができた。
言葉を発すると心の内が吐露してしまいそうなので、笑顔で答えることしか出来なかったとも言う。
落ち着いてきたリタが、「ひとまずお茶を入れてきますね。」と言うのでベッドから隣にセットしてあるソファへと移動する。
その間にヒナタはフローレンスに聞いてみる。
「フローレンス様。エライザ様はどうしてそんなにフローレンス様にきつくあたるのでしょうか?」
「・・・そうね。貴女にも関わる事ですものね。気になるわよね。うーん、どこから話したらいいかしら?」
「では、エライザ様と旦那様は、その、浮気相手とのいう関係ですよね?なぜ、エライザ様とその子どものエスメ様がこの屋敷で大きな顔をしているのですか?旦那様に可愛がられているというだけで、そこまでできるものでしょうか?」
「そうね・・・。普通ではないとわたくしも思うわ。だけど、この家ではそうなってしまっているのが現状ね。大ぴらにでは無いけれど、すでにエスメはこのノースポールの家名を勝手に名乗っているしね。ただ、まだお母様はご存命だから、あの2人が籍を入れる事はできない。それは確かね。側室を娶る事ができるのは王族だけだもの。」
「まだ?・・・と言う事は、奥様が儚くなられた場合は、あり得る事だと?」
「・・・・・そうなるわね。むしろ、それを望んでいるのではないかしら。だからこそ、医者の言うことに疑問を持ったのよ。あの医者はエライザ様の紹介だったしね。」
「・・・・・!!」
「絶対にお母様を死なせたりはしない!それにもし、エライザ様がこの家に入る事になれば、今でさえ味方がリタしか居ないこの状況がもっと酷くなる。最悪、わたくしも・・・。」
「・・・そうだったのですね。」
「元々、お父様とお母様は政略結婚だったの。お母様がこのノースポール公爵家の一人娘だったから、婿としてお父様がうちに入った形ね。お父様はとても優秀だったそうで、お祖父様の目に留まったみたい。でも、お父様とお母様が結婚し、わたくしが5歳の時に・・・お祖父様が不慮の事故に合ってしまい亡くなられたの。」
「・・・え・・・。事故ですか?」
「そう、領地へ向かう途中に・・・馬が暴走し谷底へと落ちた、と聞いているわ。遺体は回収出来ず、空の棺での葬儀だったそうよ。」
「・・・その話は誰に聞かれたのですか?」
「乳母よ。・・・もういないけどね。」
「いない?辞められたのですか?」
「辞めさせられたの。エライザ様の口添えで。わたくしを孤立させたいのでしょうね。あ、ちなみにリタはその乳母の代わりにきたのよ。最初はかなり警戒していたのだけど、まあ・・・リタだものね!あの泣き虫には警戒するのも馬鹿らしくなっちゃったわ。それにリタが回復魔法を使えたお陰で、わたくしはこれまで耐えられたの。」
先程の泣きっぷりを見て、なんとなく納得してしまう。それに回復魔法。リタを頼りにする気持ちも理解できる。
「まあ、そういう流れで今はお父様が家督代理になっているの。」
「代理ですか?」
「そう、ノースポール公爵を継いだのはお母様だから。でも今は病床に伏しているから、お父様が代理なの。もしお母様が亡くなると・・・考えたくもないけど、お父様が実権を握ってしまった場合、わたくしはお父様に嫌われているから追い出される可能性もあるわね。もしくは、家の利益の為に碌でも無い縁談が来る可能性もあるわね。」
(なるほど。この世界では女性も家督を継ぐ事ができるのね。それにしても・・・縁談って、10歳でそんな事まで考えないといけないの?)
「ちょっと話が逸れたかしら。エライザ様がわたくしに酷くあたる理由よね。エライザ様はわたくしの事が、とにかく気に入らないのよ。」
「気に入らない?それだけ?」
あまりの理由に納得がいかないのか、眉根を歪め嫌そうな表情をしてしまう。
「それはそうよ!だって、わたくしが正統な次のノースポール公爵の後継者ですもの。」
「はい・・・ばい゛・・・ぼんどによがっだでずぅぅぅ・・・。」
「もう、リタったら!・・・大好きよ!それに・・・ヒナも・・・その、ありがとね。」
ちょっと恥ずかしそうに俯きながらヒナタにお礼を言うフローレンスは、それはもう可愛らしかった。
(かっっっっっわいぃぃぃぃぃぃ!!美少女の恥じらい、やばあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)
少し鼻息が荒くなったが、リタのスパルタ教育のおかげかにっこりと笑顔を返す事ができた。
言葉を発すると心の内が吐露してしまいそうなので、笑顔で答えることしか出来なかったとも言う。
落ち着いてきたリタが、「ひとまずお茶を入れてきますね。」と言うのでベッドから隣にセットしてあるソファへと移動する。
その間にヒナタはフローレンスに聞いてみる。
「フローレンス様。エライザ様はどうしてそんなにフローレンス様にきつくあたるのでしょうか?」
「・・・そうね。貴女にも関わる事ですものね。気になるわよね。うーん、どこから話したらいいかしら?」
「では、エライザ様と旦那様は、その、浮気相手とのいう関係ですよね?なぜ、エライザ様とその子どものエスメ様がこの屋敷で大きな顔をしているのですか?旦那様に可愛がられているというだけで、そこまでできるものでしょうか?」
「そうね・・・。普通ではないとわたくしも思うわ。だけど、この家ではそうなってしまっているのが現状ね。大ぴらにでは無いけれど、すでにエスメはこのノースポールの家名を勝手に名乗っているしね。ただ、まだお母様はご存命だから、あの2人が籍を入れる事はできない。それは確かね。側室を娶る事ができるのは王族だけだもの。」
「まだ?・・・と言う事は、奥様が儚くなられた場合は、あり得る事だと?」
「・・・・・そうなるわね。むしろ、それを望んでいるのではないかしら。だからこそ、医者の言うことに疑問を持ったのよ。あの医者はエライザ様の紹介だったしね。」
「・・・・・!!」
「絶対にお母様を死なせたりはしない!それにもし、エライザ様がこの家に入る事になれば、今でさえ味方がリタしか居ないこの状況がもっと酷くなる。最悪、わたくしも・・・。」
「・・・そうだったのですね。」
「元々、お父様とお母様は政略結婚だったの。お母様がこのノースポール公爵家の一人娘だったから、婿としてお父様がうちに入った形ね。お父様はとても優秀だったそうで、お祖父様の目に留まったみたい。でも、お父様とお母様が結婚し、わたくしが5歳の時に・・・お祖父様が不慮の事故に合ってしまい亡くなられたの。」
「・・・え・・・。事故ですか?」
「そう、領地へ向かう途中に・・・馬が暴走し谷底へと落ちた、と聞いているわ。遺体は回収出来ず、空の棺での葬儀だったそうよ。」
「・・・その話は誰に聞かれたのですか?」
「乳母よ。・・・もういないけどね。」
「いない?辞められたのですか?」
「辞めさせられたの。エライザ様の口添えで。わたくしを孤立させたいのでしょうね。あ、ちなみにリタはその乳母の代わりにきたのよ。最初はかなり警戒していたのだけど、まあ・・・リタだものね!あの泣き虫には警戒するのも馬鹿らしくなっちゃったわ。それにリタが回復魔法を使えたお陰で、わたくしはこれまで耐えられたの。」
先程の泣きっぷりを見て、なんとなく納得してしまう。それに回復魔法。リタを頼りにする気持ちも理解できる。
「まあ、そういう流れで今はお父様が家督代理になっているの。」
「代理ですか?」
「そう、ノースポール公爵を継いだのはお母様だから。でも今は病床に伏しているから、お父様が代理なの。もしお母様が亡くなると・・・考えたくもないけど、お父様が実権を握ってしまった場合、わたくしはお父様に嫌われているから追い出される可能性もあるわね。もしくは、家の利益の為に碌でも無い縁談が来る可能性もあるわね。」
(なるほど。この世界では女性も家督を継ぐ事ができるのね。それにしても・・・縁談って、10歳でそんな事まで考えないといけないの?)
「ちょっと話が逸れたかしら。エライザ様がわたくしに酷くあたる理由よね。エライザ様はわたくしの事が、とにかく気に入らないのよ。」
「気に入らない?それだけ?」
あまりの理由に納得がいかないのか、眉根を歪め嫌そうな表情をしてしまう。
「それはそうよ!だって、わたくしが正統な次のノースポール公爵の後継者ですもの。」
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