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第二十二話 激突
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「うりゃあああ!」
「おおらああ!」
両軍団が一斉に駆け出した。ベテルギウスと大竹は動かない。
「くらえや!」
先陣を切って駆け出した子生が飛びヒザ蹴りを放った。突っ込んできたベテルギウス軍団のヤンキー達が二、三人吹き飛んで転がった。
「かかってこいやあああ!」
子生の咆哮が響いた。
「借宿おお!」
その時、雄たけびをあげながらヤンキーが殴りかかって来た。
「しゅっ」
私はハイキックでそいつを蹴り飛ばした。が、そいつは起き上がるとふらふらしながらも再び向かってきた。
「クソがぁ!」
私はすかさず顔面にフックを放った。
「ぶはっ」
ヤンキーは後ろに吹き飛び気を失った。
私のハイキックをもろにくらっても起き上がって来るとは、やはりこいつら相当鍛えられている。
攻防は一進一退だった。
数はこちらの方が多いが、ベテルギウス軍団はごつい男ばかりで一人一人の戦力に差がある。子生、荒地、私の三人でなんとか持ちこたえている状態だった。
「くそっ、やっぱ強えーな……」
子生が肩で息をしながらつぶやいた。
確かにこのままではまずい。早くベテルギウスを倒さないといずれ体力が尽きる。
そんな不安に駆られていた時だった――
「紅葉っ!」
と叫び声が聞こえたかと思った瞬間、子生が私の背後から覆いかぶさって来た。
「ぐはっ!」
子生の悲鳴と同時にもの凄い衝撃が来た。私は子生の下敷きになる形でうつぶせに倒れてしまった。
「くっ、痛ててて……」
首のあたりに痛みが走った。
何が起こったのか分からず顔を上げて後ろを見ると、子生がぐったりとした状態で倒れていた。
「こっ、子生! しっかりして!」
私は子生をゆすった。が、全く反応が無い。
「おい、大丈夫か? しっかりしろ紅葉!」
その時、荒地の声が聞こえた。
「荒地……子生が、子生が!」
「落ち着け! そんな簡単にくたばるような奴じゃないだろ! それにまだ戦いは終わってないぞ!」
そう言われて私は荒地の目線の先を見た。
「ベテルギウス……」
そこにはベテルギウスが壁のように立っていた。
おそらくこいつが背後から私を狙って攻撃してきたところを、子生がかばってやられたようだ。
「ノコルハオマエラダケダ」
ベテルギウスが獣のような表情で私を見下ろしている。
「てめー、よくも子生を……ぜってー許さねえ」
私は子生を地面に寝かすと、ゆっくり立ち上がりベテルギウスと対峙した。
「大竹に操られているおめーを何とか救ってやりたいと思ってたが、もう容赦はしねーぞ。私が力ずくで目を覚ましてやるよ」
私は構えをとった。奴の鼻息が荒くなっている。
気付くと周りの連中は戦いを止め、私とベテルギウスのタイマンが始まるのを今か今かと見守っていた。
――その時、空に稲光が走った。
「アイアム、ビースト!!」
雷鳴と同時にベテルギウスがそう叫ぶと、ぶんぶんと腕を振り回しながら突っ込んで来た。
「はっ!」
私は素早く体を入れ替え、奴の足にローキックを叩き込んだ。
「ウガッ!」
だがきいていないのか、ベテルギウスは体を回しながらバックブローを放ってきた。
「ふっ」
私はかがんでバックブローをかわし、さらにローキックを叩き込んだ。
「ガアア!」
が、奴は少し顔をしかめただけで全くひるむことなく突っ込んで来た。
私は後ろに下がりながらもローキックを放った。しかし奴は止まらない。
「ウウウ!」
ベテルギウスが連続でストレートを放ってきた。
「くっ」
私はガードしたが危うくバランスを崩して倒れそうになってしまった。
滅茶苦茶な打ち方だが恐ろしいパワーである。
「でやっ!」
私は奴の大振りストレートを受け流して顔面にジャブ、そしてストレートのワンツーコンボをヒットさせた。
「グウッ」
ベテルギウスの顔が歪み、鼻から出血した。手応えありか、と思った瞬間、
「ウンガアア!!」
ベテルギウスがラリアットを放ってきた。
「うっ」
何とかそれをかわしたが、もの凄い風圧に思わず声を上げてしまった。
私はいったんベテルギウスから距離を取って再び構えた。奴は相変わらず鼻息が荒い。まだまだアドレナリンが放出されまくっているということだ。
ローキックを三発、さらにワンツーコンボを叩き込んだのにあまりダメージを受けていないとは……正真正銘の化物である。
「――しっかりして下さいよベテルギウスさん! そんな小娘相手になに手間取ってんすか!」
その時、いつの間にか近くに来ていた大竹が喚いた。
「さっさとその女とオールバックの男やっちゃって下さいよ!」
大竹が強い口調でそう言うと、ベテルギウスが何度も頷き、
「ワ、ワカッタ」
と返事をした。やはり子生の言った通り、ベテルギウスは大竹に洗脳されているようだ。それもかなり根が深い。
「――ベテルギウス、何でおめーはそんな強えーのに大竹なんかに従ってんだ」
私はベテルギウスに疑問をぶつけた。
「アイツハ、バカナオレニシュクダイヲオシエテクレタリイロイロヤサシクシテクレル」
「宿題って……それはおめーを都合よく利用する為に決まってんじゃねーか」
「ソンナコトハナイ! アイツノワルグチヲイウナ!」
ベテルギウスが肩を怒らせながら怒鳴った。
「目を覚ませよ。大竹はおめーが思ってるような良い奴じゃない。おめーだって薄々気付いてんじゃねーのか」
「ウルサイ!」
そう言いながらベテルギウスが突進してきた。
「せいっ!」
私は再びローキックを放った。
「グッ」
一瞬ベテルギウスがふらついた。やはりじわじわと奴の筋肉にダメージが浸透していたようだ。
このまま倒せるか、そう思った瞬間――
「グガアアア!」
ベテルギウスがラリアットを放ってきた。
「――っ!」
私は両手でガードしたが、一メートルほど飛ばされ尻もちをついてしまった。
「ウンガアア!」
ベテルギウスが雄たけびとともに私を無理やり引き起こし、左手で後頭部を抱きかかえるように掴まれてしまった。そして私の顔目がけてパンチを放ってきた。
「くっ!」
獣のような形相でガードの上から何発も攻撃を叩き込んでくる。両腕がきしみ、痛みが走った。
「ウガッ! ウガガッ!」
奴は攻撃の手を止める気配が無い。私はだんだん意識が遠のいて来た。このままこいつに殺されてしまうのでは……
「――紅葉っ!」
その時、荒地が私の名前を叫んだ。
「はっ」
彼の声で私は意識がはっきりした。
「ぬああ!」
私は力を振り絞り、ガラ空きの腹へ前蹴りを放った。
「グガッ!」
するとベテルギウスが私を離した。私はふらつきながらも足を踏ん張った。
「グウウ……」
きいているのか?うめき声を上げ、腹を押さえたまま膝をついている。
「もう……降参しろ。これ以上戦っても意味が無いべ」
私は肩で息をしながら言った。
「マダダ……」
だが、ベテルギウスは戦いを止めるつもりがないようだ。
「オレハマケラレナイ!」
そう言いながらベテルギウスは立ち上がった。
「ガアアア!」
叫びながら私に殴りかかって来た。
「うっ……」
私は横にかわそうとしたが、足がもつれて倒れそうになってしまった。
「クラエ!」
私がふらついたところに奴が突き上げアッパーを放ってきた。
「がっ!」
そのアッパーが私の顔面に直撃した。私は体が宙に浮き、仰向けに倒れてしまった。
「うう……」
私はうめき声を上げていた。立てない……
「紅葉ーっ!!」
荒地の声が遥か彼方から聞こえたが反応出来なかった。
もう……これで終わりだ……
「おおらああ!」
両軍団が一斉に駆け出した。ベテルギウスと大竹は動かない。
「くらえや!」
先陣を切って駆け出した子生が飛びヒザ蹴りを放った。突っ込んできたベテルギウス軍団のヤンキー達が二、三人吹き飛んで転がった。
「かかってこいやあああ!」
子生の咆哮が響いた。
「借宿おお!」
その時、雄たけびをあげながらヤンキーが殴りかかって来た。
「しゅっ」
私はハイキックでそいつを蹴り飛ばした。が、そいつは起き上がるとふらふらしながらも再び向かってきた。
「クソがぁ!」
私はすかさず顔面にフックを放った。
「ぶはっ」
ヤンキーは後ろに吹き飛び気を失った。
私のハイキックをもろにくらっても起き上がって来るとは、やはりこいつら相当鍛えられている。
攻防は一進一退だった。
数はこちらの方が多いが、ベテルギウス軍団はごつい男ばかりで一人一人の戦力に差がある。子生、荒地、私の三人でなんとか持ちこたえている状態だった。
「くそっ、やっぱ強えーな……」
子生が肩で息をしながらつぶやいた。
確かにこのままではまずい。早くベテルギウスを倒さないといずれ体力が尽きる。
そんな不安に駆られていた時だった――
「紅葉っ!」
と叫び声が聞こえたかと思った瞬間、子生が私の背後から覆いかぶさって来た。
「ぐはっ!」
子生の悲鳴と同時にもの凄い衝撃が来た。私は子生の下敷きになる形でうつぶせに倒れてしまった。
「くっ、痛ててて……」
首のあたりに痛みが走った。
何が起こったのか分からず顔を上げて後ろを見ると、子生がぐったりとした状態で倒れていた。
「こっ、子生! しっかりして!」
私は子生をゆすった。が、全く反応が無い。
「おい、大丈夫か? しっかりしろ紅葉!」
その時、荒地の声が聞こえた。
「荒地……子生が、子生が!」
「落ち着け! そんな簡単にくたばるような奴じゃないだろ! それにまだ戦いは終わってないぞ!」
そう言われて私は荒地の目線の先を見た。
「ベテルギウス……」
そこにはベテルギウスが壁のように立っていた。
おそらくこいつが背後から私を狙って攻撃してきたところを、子生がかばってやられたようだ。
「ノコルハオマエラダケダ」
ベテルギウスが獣のような表情で私を見下ろしている。
「てめー、よくも子生を……ぜってー許さねえ」
私は子生を地面に寝かすと、ゆっくり立ち上がりベテルギウスと対峙した。
「大竹に操られているおめーを何とか救ってやりたいと思ってたが、もう容赦はしねーぞ。私が力ずくで目を覚ましてやるよ」
私は構えをとった。奴の鼻息が荒くなっている。
気付くと周りの連中は戦いを止め、私とベテルギウスのタイマンが始まるのを今か今かと見守っていた。
――その時、空に稲光が走った。
「アイアム、ビースト!!」
雷鳴と同時にベテルギウスがそう叫ぶと、ぶんぶんと腕を振り回しながら突っ込んで来た。
「はっ!」
私は素早く体を入れ替え、奴の足にローキックを叩き込んだ。
「ウガッ!」
だがきいていないのか、ベテルギウスは体を回しながらバックブローを放ってきた。
「ふっ」
私はかがんでバックブローをかわし、さらにローキックを叩き込んだ。
「ガアア!」
が、奴は少し顔をしかめただけで全くひるむことなく突っ込んで来た。
私は後ろに下がりながらもローキックを放った。しかし奴は止まらない。
「ウウウ!」
ベテルギウスが連続でストレートを放ってきた。
「くっ」
私はガードしたが危うくバランスを崩して倒れそうになってしまった。
滅茶苦茶な打ち方だが恐ろしいパワーである。
「でやっ!」
私は奴の大振りストレートを受け流して顔面にジャブ、そしてストレートのワンツーコンボをヒットさせた。
「グウッ」
ベテルギウスの顔が歪み、鼻から出血した。手応えありか、と思った瞬間、
「ウンガアア!!」
ベテルギウスがラリアットを放ってきた。
「うっ」
何とかそれをかわしたが、もの凄い風圧に思わず声を上げてしまった。
私はいったんベテルギウスから距離を取って再び構えた。奴は相変わらず鼻息が荒い。まだまだアドレナリンが放出されまくっているということだ。
ローキックを三発、さらにワンツーコンボを叩き込んだのにあまりダメージを受けていないとは……正真正銘の化物である。
「――しっかりして下さいよベテルギウスさん! そんな小娘相手になに手間取ってんすか!」
その時、いつの間にか近くに来ていた大竹が喚いた。
「さっさとその女とオールバックの男やっちゃって下さいよ!」
大竹が強い口調でそう言うと、ベテルギウスが何度も頷き、
「ワ、ワカッタ」
と返事をした。やはり子生の言った通り、ベテルギウスは大竹に洗脳されているようだ。それもかなり根が深い。
「――ベテルギウス、何でおめーはそんな強えーのに大竹なんかに従ってんだ」
私はベテルギウスに疑問をぶつけた。
「アイツハ、バカナオレニシュクダイヲオシエテクレタリイロイロヤサシクシテクレル」
「宿題って……それはおめーを都合よく利用する為に決まってんじゃねーか」
「ソンナコトハナイ! アイツノワルグチヲイウナ!」
ベテルギウスが肩を怒らせながら怒鳴った。
「目を覚ませよ。大竹はおめーが思ってるような良い奴じゃない。おめーだって薄々気付いてんじゃねーのか」
「ウルサイ!」
そう言いながらベテルギウスが突進してきた。
「せいっ!」
私は再びローキックを放った。
「グッ」
一瞬ベテルギウスがふらついた。やはりじわじわと奴の筋肉にダメージが浸透していたようだ。
このまま倒せるか、そう思った瞬間――
「グガアアア!」
ベテルギウスがラリアットを放ってきた。
「――っ!」
私は両手でガードしたが、一メートルほど飛ばされ尻もちをついてしまった。
「ウンガアア!」
ベテルギウスが雄たけびとともに私を無理やり引き起こし、左手で後頭部を抱きかかえるように掴まれてしまった。そして私の顔目がけてパンチを放ってきた。
「くっ!」
獣のような形相でガードの上から何発も攻撃を叩き込んでくる。両腕がきしみ、痛みが走った。
「ウガッ! ウガガッ!」
奴は攻撃の手を止める気配が無い。私はだんだん意識が遠のいて来た。このままこいつに殺されてしまうのでは……
「――紅葉っ!」
その時、荒地が私の名前を叫んだ。
「はっ」
彼の声で私は意識がはっきりした。
「ぬああ!」
私は力を振り絞り、ガラ空きの腹へ前蹴りを放った。
「グガッ!」
するとベテルギウスが私を離した。私はふらつきながらも足を踏ん張った。
「グウウ……」
きいているのか?うめき声を上げ、腹を押さえたまま膝をついている。
「もう……降参しろ。これ以上戦っても意味が無いべ」
私は肩で息をしながら言った。
「マダダ……」
だが、ベテルギウスは戦いを止めるつもりがないようだ。
「オレハマケラレナイ!」
そう言いながらベテルギウスは立ち上がった。
「ガアアア!」
叫びながら私に殴りかかって来た。
「うっ……」
私は横にかわそうとしたが、足がもつれて倒れそうになってしまった。
「クラエ!」
私がふらついたところに奴が突き上げアッパーを放ってきた。
「がっ!」
そのアッパーが私の顔面に直撃した。私は体が宙に浮き、仰向けに倒れてしまった。
「うう……」
私はうめき声を上げていた。立てない……
「紅葉ーっ!!」
荒地の声が遥か彼方から聞こえたが反応出来なかった。
もう……これで終わりだ……
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