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第三話
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時が一刻、一刻と過ぎ去っていく中で愛とゆうとはまるで、今まで会っていない時間を埋めるかの様に喋り合い、求め合った。二人は今までにない感覚に、麻痺をしていたのだ。客間で話をしていると、急にドアが開いた。
「ゆうと」
ゆうとはその声に対して、愛といる時だけは酷い嫌悪感を感じてしまった。
「どうしたんだ。ゆき」
ゆうとの放った声は酷く冷たく、愛と接している時とは異なり過ぎていて、愛はほくそ笑んだ。
(ふふふ...順調だわね...)
愛はそう思った後、ゆきの方に視線が行った。
いや、視線を合わされたのだ。
愛とゆきの視線が交わり、無言が続く。
(これはだめだ。自分がばれる)
愛は直感的にそう感じていた。
なぜそう感じるのか。それは愛が’’へび’’だからだ。聖書に出てくるサタンの化身。そう、要するに悪魔なのだ。アダムとイブに身を唆したのもへび。ゆうとは誘いに乗ってしまった。
つまり、ゆうとは実を知らぬ間に食べてしまった。
ゆうとに’’良心’’が残っている限り、自分からは逃れられないだろうと愛は踏んでいた。
だが、ゆきの視線は涼しい程に痛く、刺々しい。
どうして刺々しいのか。
考える間もなく、ゆきは無言のままゆうとに近づいた。
「な、なんだよ」
ゆうとが放った声は戸惑いが隠せていなかった。
ゆうとはハッと気づき、愛を守る様な’’しぐさ’’をした。
「こいつには手を出すな」
そう言ったゆうとは清々しく、かっこよかった。
ゆきはそんな事を言わせる愛に嫉妬をした。
(俺の方がゆうとを好きなのに)
その感情が顔に出ていたのか、愛はゆきの方を見てくすっ、と笑った。その笑い方はあまりにも優雅で、残酷だった。ゆきは嫉妬で、怒りで、頭がどうにかなりそうだったが一旦冷静になろうと深呼吸をして、こう言った。
「俺より、その蛇女の方が好きなんだな。分かった。じゃあな」
愛はゆきが言った’’蛇女’’という単語に反応した。
逆にゆうとは魔法にかかったみたいに愛を守る仕草をしたまま、動かない。見兼ねたゆきはくるっと二人に背を向け、部屋を出ていった。
❀7/15 セリフが読みにくいと感じたので、セリフと文との間に空白を入れました。
「ゆうと」
ゆうとはその声に対して、愛といる時だけは酷い嫌悪感を感じてしまった。
「どうしたんだ。ゆき」
ゆうとの放った声は酷く冷たく、愛と接している時とは異なり過ぎていて、愛はほくそ笑んだ。
(ふふふ...順調だわね...)
愛はそう思った後、ゆきの方に視線が行った。
いや、視線を合わされたのだ。
愛とゆきの視線が交わり、無言が続く。
(これはだめだ。自分がばれる)
愛は直感的にそう感じていた。
なぜそう感じるのか。それは愛が’’へび’’だからだ。聖書に出てくるサタンの化身。そう、要するに悪魔なのだ。アダムとイブに身を唆したのもへび。ゆうとは誘いに乗ってしまった。
つまり、ゆうとは実を知らぬ間に食べてしまった。
ゆうとに’’良心’’が残っている限り、自分からは逃れられないだろうと愛は踏んでいた。
だが、ゆきの視線は涼しい程に痛く、刺々しい。
どうして刺々しいのか。
考える間もなく、ゆきは無言のままゆうとに近づいた。
「な、なんだよ」
ゆうとが放った声は戸惑いが隠せていなかった。
ゆうとはハッと気づき、愛を守る様な’’しぐさ’’をした。
「こいつには手を出すな」
そう言ったゆうとは清々しく、かっこよかった。
ゆきはそんな事を言わせる愛に嫉妬をした。
(俺の方がゆうとを好きなのに)
その感情が顔に出ていたのか、愛はゆきの方を見てくすっ、と笑った。その笑い方はあまりにも優雅で、残酷だった。ゆきは嫉妬で、怒りで、頭がどうにかなりそうだったが一旦冷静になろうと深呼吸をして、こう言った。
「俺より、その蛇女の方が好きなんだな。分かった。じゃあな」
愛はゆきが言った’’蛇女’’という単語に反応した。
逆にゆうとは魔法にかかったみたいに愛を守る仕草をしたまま、動かない。見兼ねたゆきはくるっと二人に背を向け、部屋を出ていった。
❀7/15 セリフが読みにくいと感じたので、セリフと文との間に空白を入れました。
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