朝が来るまでキスをして。

月湖

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148 逃がさない

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冗談で言った事に顔を赤くして黙ってしまったヒカルをまた一頻りからかい、逆上せそうになる前に先に風呂から出た。

とりあえずざっと体を拭き、ヒカルの分のタオルも出す。

そこで少し考えた。

アイツの考えそうな事。


ここは俺の部屋で。

今まで誰も入れたことなんて無くて。

そんな俺の部屋に自分が長居するとかどうなの?

とか、考えんじゃね?

そしたら、風呂から出たらさっさと自分の服を着て帰ろうとすんだろね。



わりいけど、今日は逃がさねえよ?

ま、逃がしてやったことなんてねえけどさ。



俺は少し湿ったバスタオルを腰に巻いて足早に寝室に戻り、クローゼットを開け、ひとつの引き出しを開けた。



「・・・ちっちぇえか?ま、いっか」



目的の物を手に脱衣所にまた戻り、バスタオルの下に置いておく。

裸で出てくるよりはって感じか?

とりあえず、余計な事は考えんなよ。

ガラス越しの水音を聞きながら、俺は何も言わずにそこから離れた。







冷蔵庫から350のビール缶を出し、1本目が無くなる頃になってやっとペタペタと裸足の足音が聞こえてきた。

その歩みの遅さに笑ってしまう。

今頃頭ん中は大変なんじゃね?

ゆっくり振り向くと、不安そうな瞳と視線がぶつかる。



「ふふ」



なんつー顔してんの(笑)

頭にかぶったバスタオルで顔半分見えねえし。



「・・・風呂と着替え、ありがと・・・」



小さく言うヒカルの全身を見れば、やっぱり俺のじゃちょっと小さかったらしく、Tシャツはピッタリ目ですっかり身体の線を露わにしていた。



「ちっちぇえな(笑)」



笑うと、途端に拗ねたような表情になる。



「・・もしかして、コレ、わざと?」



むっとしながら、かぶっていたバスタオルを取りピタピタのTシャツの首元を引っ張った。



「これ何? 新手のいじめ?チョー恥ずかしいんですけど!」



ホント、変わんねえ(笑)

いっつも俺に遠慮してるくせに、怒るとそれが全く無くなり思ったことを言ってくる。

それも、俺限定。

下の奴等や他人には絶対に表情を崩さない。

それは、俺に抱かれるようになってからでも変わらなくて、泣いて、怒って、・・ああ、ビンタもあったか(笑)



「ふふ」



「ねえ、ちょっと! 聞いてんの!?」



思い出して思わず笑うと、また牙を向いてくる。


そう。

今夜はそうやって感情を出せよ。

建前なんかじゃなく、ちゃんと話さなきゃなんねえ事があんだだからさ。



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