朝が来るまでキスをして。

月湖

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129 告白

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何度目か分からない、ヒカルの告白。

いつもならそれを証明させるように、無茶を受け入れさせてきたのだけれど、今夜は何故か、それを疑ってしまった自分を自覚した。

ヒカルはあの女じゃないと分かっているのに。

うっかり思い出した過去が、思ったより自分にダメージを与えている事に自分自身がショックを受ける。

そしてそれが顔に出てしまったらしい。

『なにかあった?』と訊いてきたくせに、ヒカルはそれきり黙ってしまい、すぐ後には『誰と会ったの』と俺を見た。つーか、睨んでる。

瞳に明らかな怒りを表し、俺はその表情に安堵した。

その瞳に見えるのは嫉妬。

ああ、こいつは俺を好きなんだ。

そう思えた瞬間だった。



「誰にも会ってねーよ。
ヒカルちゃんがあんま遅いから、ロクでもねーコト思い出して気持ち悪くなってただけだ」



「・・・ロクでもないこと?」



嫌そうに訊くのは多分、話が女絡みだと予感してるからだろう。

仕事の時は別として、元からそんなに女に優しくはなかったけど、俺に抱かれるようになってからはそれに輪をかけて愛想が無くなった。

まるですべての女が敵、みたいに。



「ロクでもない、忘れてもいいくらい昔の、女の事だよ」



言うと、今度は明らかに眉間にシワを寄せた。

どんどん不機嫌になっていくヒカルの視線を心地良く感じながら続ける。



ヒカルはあの女とは違う。



「あ――――・・・。
昔、な。
先輩に紹介されて付き合い始めた女だけど、結構気が合って。
ちょっと、好きだって告白したらさ・・・ソイツ、俺が期限内に堕ちるかどうか先輩と賭けててさ」



こんなこと、絶対にしないだろう。



「え・・・」



突然話し始めた俺の過去、その話の内容に、口をぽかんと開けて止まったヒカル。



「バーキン、とか言ってたな。100万だかって。
俺の告白ってそんな安いかね(笑)」



思わず笑うと、



「うわっ・・!」



突然立ち上がったヒカルが俺を強く抱きしめてきた。



「そんなこと、笑いながら言うなよ・・・」



「・・・なんでお前が泣くんだよ(笑)」



「アンタが泣かないからでしょうが!」



聞こえてきた少し詰まった声に笑うと、今度は怒鳴られた。

なんでだよ。

つーか、苦しいんだけど。



「泣くかよ今更(笑) 17の時だぜ?何年経ってると思って――」「じゃなくて!」



言い返した言葉は、思いのほか強い声で遮られた。



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