116 / 148
116 嘘
しおりを挟む
・
だからといって。
素直に言うつもりも無い。
「・・・そんなの、メンバーに決まってんじゃん?」
ヒカルちゃんは知られるのを嫌がってるようだし。
さっきだって必死に誤魔化そうとしてたしな。
それよりこっちだよ。
淡々と答えながら視線を和らげる。
睨みあったままじゃ多分話は進まねえだろうから。
「・・・なんでそんなん訊くんだよ。何を知りたかったわけ?」
出来るだけいつもと同じ声でしたさっきと同じ質問。
でも、カイの視線の強さが変わる事は無かった。
「カイ?」
その眼の意味はなんだよ。
まさか、ホントに?
長い付き合いだけれど、そんな風に感じた事は無かった。
自分達の事もあるから、気付かなかっただけでありえなくはないのかもしれないけど
それにしたって。
じっと見ていると、ゆっくりとカイが口を開く。
「・・・俺はね、ウソは嫌いなんですよ。
今までは全然確証が無くて、言い出せなかったけど。
・・・アンタとヒカルさん、付き合ってんじゃねえの?」
「・・・・」
眉間に皺を寄せて、苦しそうに言葉を吐いていくカイ。
「お前・・・」
そんなカオするほど、好きなワケ?
「・・・少なくとも、ヒカルさんはアンタが好きなんだろ?」
カイはもう確信を持って話してる。
なんで気付いた?
何も言えなくて黙っていると、それを予想していたのかカイがまた言葉を紡ぐ。
「ヒカルさんが・・・、アンタを見てるんだよ。
ほんの一瞬でも、俺達に向ける視線なんかよりずっと深く見つめてる」
それを、ずっと見てたっていうのか?
「・・・・」
「さっきだって、朔也は全然気付かなかったみたいだけど
俺の目にはヒカルさんの動揺が見えたよ。
返す言葉だっていつもより一瞬遅かった。
なんかあったって、一発で分かったよ」
さっきのヒカルちゃんの態度・・・。
結構頑張ってたと思ったけど、カイの観察力と鋭さが勝ったか。
―――そう、思ったけど。
少し考えて、あれ?と気付いた。
「・・・朔也は、って」
楽屋には全員居た。
俺にはアイツも確かに誤魔化されてたように見えたのに。
「・・・・」
言い忘れただけなのか?
「カイ?」
問い掛けると、カイは少し辛そうに『はぁ・・っ』と息を吐いた。
そして告げる。
「・・・俺じゃありませんよ。ヒカルさんがアンタばっか見てるって気付いたのは」
その目には哀しみが広がっていた。
・
だからといって。
素直に言うつもりも無い。
「・・・そんなの、メンバーに決まってんじゃん?」
ヒカルちゃんは知られるのを嫌がってるようだし。
さっきだって必死に誤魔化そうとしてたしな。
それよりこっちだよ。
淡々と答えながら視線を和らげる。
睨みあったままじゃ多分話は進まねえだろうから。
「・・・なんでそんなん訊くんだよ。何を知りたかったわけ?」
出来るだけいつもと同じ声でしたさっきと同じ質問。
でも、カイの視線の強さが変わる事は無かった。
「カイ?」
その眼の意味はなんだよ。
まさか、ホントに?
長い付き合いだけれど、そんな風に感じた事は無かった。
自分達の事もあるから、気付かなかっただけでありえなくはないのかもしれないけど
それにしたって。
じっと見ていると、ゆっくりとカイが口を開く。
「・・・俺はね、ウソは嫌いなんですよ。
今までは全然確証が無くて、言い出せなかったけど。
・・・アンタとヒカルさん、付き合ってんじゃねえの?」
「・・・・」
眉間に皺を寄せて、苦しそうに言葉を吐いていくカイ。
「お前・・・」
そんなカオするほど、好きなワケ?
「・・・少なくとも、ヒカルさんはアンタが好きなんだろ?」
カイはもう確信を持って話してる。
なんで気付いた?
何も言えなくて黙っていると、それを予想していたのかカイがまた言葉を紡ぐ。
「ヒカルさんが・・・、アンタを見てるんだよ。
ほんの一瞬でも、俺達に向ける視線なんかよりずっと深く見つめてる」
それを、ずっと見てたっていうのか?
「・・・・」
「さっきだって、朔也は全然気付かなかったみたいだけど
俺の目にはヒカルさんの動揺が見えたよ。
返す言葉だっていつもより一瞬遅かった。
なんかあったって、一発で分かったよ」
さっきのヒカルちゃんの態度・・・。
結構頑張ってたと思ったけど、カイの観察力と鋭さが勝ったか。
―――そう、思ったけど。
少し考えて、あれ?と気付いた。
「・・・朔也は、って」
楽屋には全員居た。
俺にはアイツも確かに誤魔化されてたように見えたのに。
「・・・・」
言い忘れただけなのか?
「カイ?」
問い掛けると、カイは少し辛そうに『はぁ・・っ』と息を吐いた。
そして告げる。
「・・・俺じゃありませんよ。ヒカルさんがアンタばっか見てるって気付いたのは」
その目には哀しみが広がっていた。
・
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる