朝が来るまでキスをして。

月湖

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89 髪に絡む指

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目元を紅く染めながら自分の快楽を追っていくヒカルちゃんの顔をじっと見ていた。

腰を激しく動かして快感を求めるカラダに対して、残ってるんだろう少しの理性。

その理性の呼ぶ羞恥心が、感じるまま喘ぎ声を上げる口に反して形の良い眉の間に皺を作り、なんとも言えない表情を作っていた。

堕ちるのを必死に耐えているようなそのカオ。

いっつも最後には理性なんて無くして啼いてんだから素直になりゃいいのに。

寸でのところで踏みとどまろうと足掻いてるその姿が嗜虐心を煽っている事を本人は全然分かってない。



「ヒカルちゃん?」



「んっ・・っあ、・・な、にっ?」



声を掛けると、それまで空を彷徨っていた視線が合わされる。

そんなヒカルちゃんにニヤリと笑ってみせ、直後に唇を奪った。



「ああっ!・・んっ・・ふ・・・ぁ・・っ」



ガツンと奥を突き、高い声を上げるのに開いた唇に唇を合わせ、舌を挿し込む。

奥に逃げていた舌を突いて誘うと、最初は少し遠慮がちに舌が触れ合い、でもそれはすぐに深く絡まり合った。

クチュクチュ鳴る唾液はすぐに唇の端から零れていく。

でもそんな事に気付いてるのかどうか、さっきの逃げが嘘のように自分から舌を絡ませてきていた。



「んっ・・・あっ」



頭をがっつりホールドしていた腕が緩み、その手が俺の髪に挿し込まれる。

愛おしそうに髪を掻き混ぜるその仕草に、ふふ・・と笑いが漏れた。



「な・・っに・・?」



すると、チュ・・と小さな音をさせて唇を離したヒカルちゃんが訝しげに訊いてくる。

そして俺はまた笑う。



「ホントに俺のこと好きなんだなと思って(笑)」



髪に絡む指は優しく、奥を突き上げても殆ど引っ張られることがない。

無意識なのかもしれないけれど。



「・・・好き・・だよ」



俺を見つめながら零した涙を指で拭ってやると、また新しい涙が零れてくる。

今日はホントよく泣くな。



「ホントに、好き・・・」



素が整ってるから泣いた顔もキレイだけどさ?



「分かったからもう泣くなって」



こんな純粋な告白でさえ、耳には入っても心まで届くことは無い。

偽りでも愛を語れば少しは変わるだろうか。

前やった時は嫌がってたけど。



「好き」



「・・・え」



驚愕に目が見開かれる。

だよな(笑)



「って、俺に言わせるように頑張って」



「あああっ・・・」



言いながら、ヒカルの奥深くへカラダを沈めた。



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