朝が来るまでキスをして。

月湖

文字の大きさ
上 下
85 / 148

85 答え

しおりを挟む




「あ・・・の・・・」



俯いてなんかもにょもにょ言ってるヒカル。

気になるのは分かるけどさ。

無理だって。

分からせるように腰を少し揺らしてやると、



「・・っ」



案の定、声を詰まらせて眉間に皺を寄せた。



「いてえんだろ。全然滑んねえもん。そっちはあとで何とかしてやるから先に話」



「なんとかって・・・あとで・・・って」



まーったく。

顔真っ赤にしてグダグダうるせ。



「あとではあとで。セックスしたいならしてやるし。やめたいなら抜くし」



「だって、・・・ナガレくんの・・・」



自分でしたんだろーが(笑)

ソノ気が無くたってこんなに締め付けられちゃ治まるもんもおさまんねえっつの。



「どうにかしたいと思ってんならさっさと答えろって」



顎を掴んで目を合わせると、ヒカルちゃんはコクリとひとつ息を飲み、さっきとは別人のように落ち着いた声で喋りはじめた。



「後悔なんて、してない。
なんだかんだ言ったって、あなたの側にいたいと願ったのは俺自身だし・・・。
オカシクなるくらいあなたが好きなんだ。
・・・自覚もしてるよ。自分の考えがだんだん凶暴になってるのなんて。
だって俺、あなたに抱かれてた女、殺したいと思ってたし(笑)
でもちゃんと冷静な自分もいるから。
そんな事したらあなたに迷惑が掛かるし、側にいれなくなるって・・・。
だからお願い、俺をあなたの側に置いて?
なんでもするから」



「・・・ふふ」



さっきのヒカルのどこに冷静さがあったのかは謎だけど。

そう思うと思わず笑いがこみ上げてきた。

でもまあ、これも自分の責任かと笑いを引っ込めてヒカルの目を見る。



「・・・ナガレくん・・・」



縋るような目の中に、ヒカルの強い想いが見える。

いつか、自分がこんな目をする日は来るのだろうか。

だとしたらその相手は・・・?



「・・・ヒカルちゃん。
ずっと俺の側にいる気なら、俺にアイを教えてよ」



元々そんなにモラルに拘って生きてるわけじゃない。

だったら別に相手はヒカルでもいいのかもしれない。



「・・・・え?」



「俺を、お前に惚れさせてみろよ。
セックスだけじゃなくて、お前自身を、好きだって思わせてみろよ」



誰も中に住まわせた事のないココロの中、扉を開けれるなら、開けに来い。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

そんなの真実じゃない

イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———? 彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。 ============== 人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

傷だらけの僕は空をみる

猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。 生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。 諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。 身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。 ハッピーエンドです。 若干の胸くそが出てきます。 ちょっと痛い表現出てくるかもです。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

処理中です...