朝が来るまでキスをして。

月湖

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82 白い羽

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嫌いじゃない。

それは確か。

でも



『お前は、七瀬くんが好きなんだよ』



そう感じた事は、無い。


それでも、



「・・・半年、過ぎたな」



「え・・・?」



ヒカルの手を掴んだまま話し出す。


男だけど、多分カラダの相性は良い、と思う

その証拠に、こんなに長い間関係をもったまま。

どんな綺麗な女も、あんな風に自分のモノだなんて宣言した事など無い。

けど、なんでかヒカルに関しては俺のモノだと思ってしまった。

それでも、好きだとかは感じないのは。

俺のココロに欠陥があるからじゃね?



「・・・後悔、してねえ?」



始めはただのおふざけ。

でもその後は。

結構強引に、ヒカルちゃんの想いに付け込んで半ば脅して結んだと言っていい関係。



「・・・まだ、逃がしてやれねえこともねえよ?」



好きだと言ってる相手に、残酷な事を言ってると思う。

でも、ただ純粋に好きなだけでなくなってきてしまってるヒカルを見れば、そんな感情を持った事のない俺の側にいてこれ以上期待させるのは酷な事だと思ってる俺がいる。

白かった羽が真っ黒に染まってしまうその前に、放してやった方が幸せなんじゃないかと。

今ならまだ戻れるんじゃないかと。


じっと見つめていると、ヒカルちゃんの眉間に苦しそうに縦皺が入っていく。

そしてゆっくりと唇が開き



「手・・・離して」



小さな声で言った。

俺を見つめる瞳がゆらゆら揺れる。

黙っていると強引に手を離されて、身体を捩った所為か、涙の溜まっていたその目から雫が落ちた。


―――――瞬間。



パンッ!



「・・い、って・・・」



思い切り、左頬を引っ叩かれた。



「なにす―――」



「ふざけないでよ」



泣きながらも、その表情は怒りに震えて。



「今更、俺から逃げるつもり? そんなの許すわけないでしょ。
だいたい何? 後悔してないか? 悩む時間さえくれなかったくせに。
あなたが手に入るならって、男のくせにあなたに抱かれて。
感じさせられてよがってる俺の気持ち考えたことある?」



「・・っヒカル・・・っ」



ずりずりと跨ったまま膝まで下りデニムのファスナーを下げ、萎えた俺のを掴みだす。



「なにしてんだよ」



「誰もいないんなら俺にしときなよ。俺はあなたのモノなんでしょ?
さっき、あの人をあんな殺しそうな眼で見てたんだから、自覚してないだけであなただって俺を憎からず思ってる筈なんだよ」



ヒカルちゃんは一息で喋ると大きく口を開け、止める間もなく根元まで口に入れた。


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