朝が来るまでキスをして。

月湖

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50 ゲーム

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お互いが一言も喋らない静かなエレベーターの中、俺は隣に立つ男からの突き刺さるような視線を感じていた。

それはこの業界に入って、いつしか感じ始めた欲を含んだ視線。

俺を欲の対象として見る者達と同じ・・・。



ヒカル、何を考えてる?

まさか俺をヤろうとか・・・(笑)?



考え始めた時、不意にヒカルちゃんが両手で顔を覆った。

酒が回ってんの?

あの視線は酔いが回ってるからなのか?


確かめる為、俺は出来るだけ心配そうに、静かな声で話し掛ける。



「・・・大丈夫か?」



そうすればヒカルちゃんは絶対に俺と視線を合わせる筈だ。


瞳の奥を見れば真意が分かる。

自分を、仲間を守るため、いつしかそんな事が出来るようになっていた。


少し顔を上げ、ヒカルちゃんの目を見る。



「大丈夫。具合悪いわけじゃないから・・・。ありがと」



笑顔で答えが返ってくるけれど、その瞳の奥は黒い欲を映していた。




・・・ふふ。


さっきのでキレちゃったか。

あんな男に甘える俺が許せない、とか?



いいんだよ。

あの男のお気に入りでいるうちは、あの男の周りの奴らに狙われなくて済む。

そこそこの大物。

機嫌を損ねたくない者はいくらでもいるから。

そういう男から名前で呼ばれ、可愛がられてる俺をどうこうしようなんて者は少ない。

アイツはアイツで、俺を近い場所に置いとくことで虚栄心を満たされてるんだろうし。

この世界で自分を守るためなら利用できるモノは利用した方がいいんだよ。

深入りしすぎない程度に少しだけ甘えて、ボーダーラインを越えてきたら突き放す。

アイツだって分かってそうしてくるんだ。

そんな駆け引きもゲームの内だよ(笑)




・・・ヒカルちゃんみたいな真っ直ぐな男にはわかんないかもね・・・?



さて。

どうするかな・・・(笑)



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