43 / 148
43 嫌いな声
しおりを挟む
・
ホント、呆れるくらいバカだわ。
せっかく教えてやったのに、のこのこ付いてくとか。
業界歴長いくせになんで分かんねえかな。
アイツはダメだ。
「・・・どうすっかな」
アイツの連れてく店の目星はある。
だけど。
ただ助けに行くだけじゃ、ね。
「お仕置きが、必要だよな?」
両方ともにさ?
・
俺は一旦家に帰り風呂に入ると、少しだけいつもより肌を出しカラダのラインが出る服に着替え、頃合いを見計らってまた家を出た。
タクシーを降り店のドアを引くと、カラン・・・と店の雰囲気に合う少しこもったベルの音と、低く鳴るジャズ。
この店、最初は俺だって気に入ってたんだけどな。
見知ったバーテンにバーボンをロックで頼み、とりあえずカウンター席に腰掛ける。
「・・・今日、あの人来てんでしょ?」
そして被っていたキャップを取り視線を強くして訊ねると、
「・・・ボックス席に」
アイスピックを操る手はそのまま、バーテンは静かに視線を流し、それだけ言った。
「さんきゅ」
グラスを受け取り、ここからはパーテーションが邪魔になって見えないボックス席に近付くと、案の定。
―――――「誰にも言わないから、今夜一晩、私に付き合って貰おうか」
アイツのセリフに、ヒカルちゃんの息を飲む音が聞こえた。
俺のいう事聞かなかった罰だよ。
さあ・・・どうする?
俺は裏のソファに音を立てないように腰を下ろし、様子を窺う事にした。
「・・・葛城なんて、メンバーとして以外、なんとも思ってないですよ。
彼だって・・・俺に特別な感情なんてないでしょ」
ふふ・・・。
顔は見えないけど、声に辛さが出てるよヒカルちゃん。
まあ、アイツには分かんねえと思うけど。
てか、ちゃんと分かってんじゃん。
「それは本当かな?」
アイツの、ニヤニヤした声。
ホント、大っ嫌いだわ。
「本当ですよ。だからいい加減はなし・・・っ」
あーあ・・・。
節操無しって、こういう事を言うのかね。
まあでも、そろそろかな。
氷の融け始めたグラスを持ち席を立つと、無理やりキスをされてるヒカルちゃんの隣にどかっと腰を下ろした。
「「!?」」
当然ながら、二人とも驚いた表情で俺を見ている。
俺は、そんな二人に、
「続けろよ」
意識して低くした声で言い放った。
・
ホント、呆れるくらいバカだわ。
せっかく教えてやったのに、のこのこ付いてくとか。
業界歴長いくせになんで分かんねえかな。
アイツはダメだ。
「・・・どうすっかな」
アイツの連れてく店の目星はある。
だけど。
ただ助けに行くだけじゃ、ね。
「お仕置きが、必要だよな?」
両方ともにさ?
・
俺は一旦家に帰り風呂に入ると、少しだけいつもより肌を出しカラダのラインが出る服に着替え、頃合いを見計らってまた家を出た。
タクシーを降り店のドアを引くと、カラン・・・と店の雰囲気に合う少しこもったベルの音と、低く鳴るジャズ。
この店、最初は俺だって気に入ってたんだけどな。
見知ったバーテンにバーボンをロックで頼み、とりあえずカウンター席に腰掛ける。
「・・・今日、あの人来てんでしょ?」
そして被っていたキャップを取り視線を強くして訊ねると、
「・・・ボックス席に」
アイスピックを操る手はそのまま、バーテンは静かに視線を流し、それだけ言った。
「さんきゅ」
グラスを受け取り、ここからはパーテーションが邪魔になって見えないボックス席に近付くと、案の定。
―――――「誰にも言わないから、今夜一晩、私に付き合って貰おうか」
アイツのセリフに、ヒカルちゃんの息を飲む音が聞こえた。
俺のいう事聞かなかった罰だよ。
さあ・・・どうする?
俺は裏のソファに音を立てないように腰を下ろし、様子を窺う事にした。
「・・・葛城なんて、メンバーとして以外、なんとも思ってないですよ。
彼だって・・・俺に特別な感情なんてないでしょ」
ふふ・・・。
顔は見えないけど、声に辛さが出てるよヒカルちゃん。
まあ、アイツには分かんねえと思うけど。
てか、ちゃんと分かってんじゃん。
「それは本当かな?」
アイツの、ニヤニヤした声。
ホント、大っ嫌いだわ。
「本当ですよ。だからいい加減はなし・・・っ」
あーあ・・・。
節操無しって、こういう事を言うのかね。
まあでも、そろそろかな。
氷の融け始めたグラスを持ち席を立つと、無理やりキスをされてるヒカルちゃんの隣にどかっと腰を下ろした。
「「!?」」
当然ながら、二人とも驚いた表情で俺を見ている。
俺は、そんな二人に、
「続けろよ」
意識して低くした声で言い放った。
・
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。

代わりでいいから
氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。
不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。
ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。
他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。

そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる