朝が来るまでキスをして。

月湖

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1 キモチイイキス

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肩が触れる位置に座りながら何気ない会話の中でふと視線が合うと、どちらからともなく唇を重ね、誘うように少し開いたそこから舌を挿し込んで絡め合う。

友達同士の、なんとなくのキスというには深過ぎる、セクシャルなキス。


こいつとこんなことをし始めてもう何年になるだろうか・・・。



「んん・・・っ」



深く口腔内を探られ、ヌルリと唾液を掬われる感触に思わずくぐもった声が出る。

それに気付いた男の唇の端が上がったのがわかった。


ちゅっ・・・っと小さな音を立てて離れた二人の唇の間には一瞬だけ銀の糸が渡り口付けがどれだけ深かったのかを物語る。



「・・・もう一回する?」



はぁっ・・・と息を吐いた俺を強い視線が捉え、もう一度イケメンな顔が近づいてきた。



「もうみんな来るから終わり」





デビューして10年のアイドルグループ『カミカゼ』の今日の取材はお兄さんチームと年下チームに別れての撮影。

年上組の俺達が先に終わり、楽屋に戻って来てから暫く経つ。


そろそろあいつらも終わるんじゃね?



「つれねえの・・・。自分から誘ったくせに」



わざと不機嫌そうに声を低くした台詞でも、本当に機嫌を悪くしたのではない事は表情を見れば判る。



「今のはヒカルちゃんがしてきたんじゃん(笑)」



「視線に誘われたんだよ」



「勝手に誘われんなよ(笑)」



「・・・じゃあ、もうしない」



あれ?あれあれ?

今度はマジで不機嫌になってきちゃった?



「やだよ(笑)」



ヒカルちゃんの唇、気持ちいいんだもん。



「じゃあもう一回させてよ」



「好きだねえ・・・(笑)」



「あなたの唇プルプルで気持ちいいんだもん」



ふふ。おんなじ事思ってるし(笑)



「じゃあ、もう一回だけな」



言いながら目を閉じ、彼の唇を待つ。

すると項から後頭部に手を入れられ、深いキスが襲ってきた。



・・・ヒカルちゃんて、俺の事好きなんじゃね?


そんな錯覚さえさせるような、優しいくせに濃厚なキス。



「んんっ・・ん・・・」



・・・やっぱり、気持ちイイ。

けど、なんで俺とこんなキスすんの?



自分からも舌を絡めながら考える。



俺達、いつからこんなんするようになったっけ?







 ・・・ああ、俺から誘ったんだった・・・。




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