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38 運命の証
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いくら覚えがなくとも現状が「そう」だと言っている。
ここは平身低頭謝罪するのみ。
ベッドに頭を擦り付ける勢いで頭を下げる。
そうする事で今更気付いたが自分も服を着ていない。
うわっ!と自分の股間を見ながら冷汗が止まらなかった。
他人の家で何をしでかしてるんだ俺は。
「こ、この度はとんでも無いことをしてしまい、本当に申し訳ないと思っています。
俺に出来る事ならなんでも「おはよう、ハルカ」」
「え?」
謝罪中に聞こえてきたのは、可憐な女性の声ではなく、低くて艶のある男性の声。
・・・・え?
恐る恐る顔を上げると、そこには昨日会ったばかりのアルブレヒト殿下がいた。
横になったまま肘を立て手のひらに顔を乗せた姿勢で、にこやかにこちらを見ている。
掛け布を除け、晒された裸の上半身は鍛え上げられていて、ムッチリと綺麗な筋肉に覆われていた。
「殿下・・・?」
「アルブレヒトだと言っただろう?」
首筋から落ちるのは長く輝く金の髪。
大きな手がそれを煩わしそうに掻き上げた。
「その髪・・・」
そんなもの、昨日は無かった。
「ああ、これは王家のしきたりでね。
運命の相手に渡すまで後ろ髪を切れないのだ。
守護神獣様が初代の聖女に二度と離れぬ誓いを立てた際、自分の尾羽を証に渡したという伝説に基づいたものだ。
私としては早く切りたいものだが、そうもいかなくてね」
王子様は苦笑しながらポイっと指に絡んだ髪を後ろに放つ。
運命とは、恋人や結婚相手とか、そういう人の事だろうか。
「普段は邪魔でしかないから適当に結って服の中に入れている」
「ああ、それで・・・」
っていうか。
なんて紛らわしい・・・っ
面識もない女性をいきなりベッドに連れ込む最低野郎になっていなかった安堵で、はあああぁ・・・と肺の空気を全部出す勢いのため息が出た。
「私の・・はハルカに、・・・げたいが」
「え?」
俺が安堵でいっぱいになっている中、王子が何か言っていたがよく聞こえなかった。
「何ですか?」
「いや、そろそろ起きようかと」
「え、あ!そういえば、昨日俺・・・っ」
そこで自分が素っ裸のまま正座しているのを思い出し、慌てて掛け布を引っ張り身体を隠す。
「すみません、見苦しいものをっ」
「・・・いや。細いと思っていたが、意外とちゃんと筋肉がついているのだな。綺麗な身体だ」
「殿下を前に言われても」
俺が掛け布を引っ張った所為か腰まで露わになった王子の身体は、さっきチラッと見た胸筋もそうだが腹筋もくっきり割れていた。
騎士団長という名に相応しい、戦う為に作り上げられた身体はどういう鍛え方をしているのかそれでも見苦しいなんて事は無く、引き締まって美しい。
じゃなくてっ。
「ゆ、昨夜はすみませんでした。
風呂で寝てしまって・・・。
でん、アルブレヒト様がベッドまで運んで下さったんですよね」
「ああ、役得だったし気にしなくていい。疲れていたんだろう。
腹は減っていないか? 昨夜は食べずに寝てしまっただろう。
そろそろ食堂も開くから、一緒に行こうか」
「・・・あ、はい。
ご一緒させて頂いていいのでしたら御供致します」
一瞬おかしな言葉が聞こえた気がしたが、クゥ、と鳴った腹の音に素直に答える。
「ああ、服は持ってこさせよう。新人用なら騎士服の小さいのがあるだろうし」
「自分の服ではいけませんか」
「悪くはないが、おそらく注目を浴びると思うぞ」
「そうですか・・・」
「食事はここに持って来させる事も出来るが、そうするか? もしくは執務室か。
昨日の話も私の執務室で聞かせてもらおうと思っているから、どちらでも構わない」
そう言われても。
この場合はどちらが良いんだ?
他人の手を煩わせて持ってきてもらうのと、部外者が騎士の宿舎を歩き回るのと。
「・・・俺、じゃない。私が宿舎の中を歩いても良いのでしたら食堂へ伺いたいと思います」
「私が一緒だから構わない。
しかし、ハルカは畏まるのが好きだな。普段と同じに話してほしいと言っているのに」
「身分は忘れるべきではないと思っているだけです」
「これは相変わらず手強い」
いや、殿下がしつこいだけだと思います。
本当なら近付く事すらありえないというのに。
なんだこの状況は。
・
それから王子は部下を呼んで一番小さいサイズの騎士用のシャツとズボンを持ってくるように指示をし、それでもダボダボに着ている俺を見て苦笑しながら食堂に案内してくれた。
服を変えても、王子と一緒にいるだけで超注目を浴びたよ!
ここは平身低頭謝罪するのみ。
ベッドに頭を擦り付ける勢いで頭を下げる。
そうする事で今更気付いたが自分も服を着ていない。
うわっ!と自分の股間を見ながら冷汗が止まらなかった。
他人の家で何をしでかしてるんだ俺は。
「こ、この度はとんでも無いことをしてしまい、本当に申し訳ないと思っています。
俺に出来る事ならなんでも「おはよう、ハルカ」」
「え?」
謝罪中に聞こえてきたのは、可憐な女性の声ではなく、低くて艶のある男性の声。
・・・・え?
恐る恐る顔を上げると、そこには昨日会ったばかりのアルブレヒト殿下がいた。
横になったまま肘を立て手のひらに顔を乗せた姿勢で、にこやかにこちらを見ている。
掛け布を除け、晒された裸の上半身は鍛え上げられていて、ムッチリと綺麗な筋肉に覆われていた。
「殿下・・・?」
「アルブレヒトだと言っただろう?」
首筋から落ちるのは長く輝く金の髪。
大きな手がそれを煩わしそうに掻き上げた。
「その髪・・・」
そんなもの、昨日は無かった。
「ああ、これは王家のしきたりでね。
運命の相手に渡すまで後ろ髪を切れないのだ。
守護神獣様が初代の聖女に二度と離れぬ誓いを立てた際、自分の尾羽を証に渡したという伝説に基づいたものだ。
私としては早く切りたいものだが、そうもいかなくてね」
王子様は苦笑しながらポイっと指に絡んだ髪を後ろに放つ。
運命とは、恋人や結婚相手とか、そういう人の事だろうか。
「普段は邪魔でしかないから適当に結って服の中に入れている」
「ああ、それで・・・」
っていうか。
なんて紛らわしい・・・っ
面識もない女性をいきなりベッドに連れ込む最低野郎になっていなかった安堵で、はあああぁ・・・と肺の空気を全部出す勢いのため息が出た。
「私の・・はハルカに、・・・げたいが」
「え?」
俺が安堵でいっぱいになっている中、王子が何か言っていたがよく聞こえなかった。
「何ですか?」
「いや、そろそろ起きようかと」
「え、あ!そういえば、昨日俺・・・っ」
そこで自分が素っ裸のまま正座しているのを思い出し、慌てて掛け布を引っ張り身体を隠す。
「すみません、見苦しいものをっ」
「・・・いや。細いと思っていたが、意外とちゃんと筋肉がついているのだな。綺麗な身体だ」
「殿下を前に言われても」
俺が掛け布を引っ張った所為か腰まで露わになった王子の身体は、さっきチラッと見た胸筋もそうだが腹筋もくっきり割れていた。
騎士団長という名に相応しい、戦う為に作り上げられた身体はどういう鍛え方をしているのかそれでも見苦しいなんて事は無く、引き締まって美しい。
じゃなくてっ。
「ゆ、昨夜はすみませんでした。
風呂で寝てしまって・・・。
でん、アルブレヒト様がベッドまで運んで下さったんですよね」
「ああ、役得だったし気にしなくていい。疲れていたんだろう。
腹は減っていないか? 昨夜は食べずに寝てしまっただろう。
そろそろ食堂も開くから、一緒に行こうか」
「・・・あ、はい。
ご一緒させて頂いていいのでしたら御供致します」
一瞬おかしな言葉が聞こえた気がしたが、クゥ、と鳴った腹の音に素直に答える。
「ああ、服は持ってこさせよう。新人用なら騎士服の小さいのがあるだろうし」
「自分の服ではいけませんか」
「悪くはないが、おそらく注目を浴びると思うぞ」
「そうですか・・・」
「食事はここに持って来させる事も出来るが、そうするか? もしくは執務室か。
昨日の話も私の執務室で聞かせてもらおうと思っているから、どちらでも構わない」
そう言われても。
この場合はどちらが良いんだ?
他人の手を煩わせて持ってきてもらうのと、部外者が騎士の宿舎を歩き回るのと。
「・・・俺、じゃない。私が宿舎の中を歩いても良いのでしたら食堂へ伺いたいと思います」
「私が一緒だから構わない。
しかし、ハルカは畏まるのが好きだな。普段と同じに話してほしいと言っているのに」
「身分は忘れるべきではないと思っているだけです」
「これは相変わらず手強い」
いや、殿下がしつこいだけだと思います。
本当なら近付く事すらありえないというのに。
なんだこの状況は。
・
それから王子は部下を呼んで一番小さいサイズの騎士用のシャツとズボンを持ってくるように指示をし、それでもダボダボに着ている俺を見て苦笑しながら食堂に案内してくれた。
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