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9 魔法が使えないと何もできない
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少しだけしんみりしながら家に入り、そういえば戸締りってどうするんだ?とウィキ擬きさんに聞くと、意外や【鑑定魔法で家の戸締りの仕方を視てください】と答えが返ってきた。
おや?
【戸締りの方法を選べます】
へえ・・・。
【視線に魔力をこめ対象を鑑定してみましょう】
視線に、って言われても。
【出来なければ手で触れ、対象に自分の魔力を纏わせながら眼に力を込めてみてください】
結局は眼力なのかよ(笑)
一度目を閉じ、的を見るように視線に力を籠める。
すると目の前に新しいウィンドウが開いた。
ハルカ・ツヅキの家
価格 ××××
戸締り方法選択
①鍵を付ける 魔力使用量0
②鍵を付け、魔力登録者のみ受け入れ 24時間魔力使用量1
③鍵有り無し選択の上、魔力登録者のみ受け入れ、結界 24時間魔力使用量3
④鍵有り無し選択の上、魔力登録者のみ受け入れ、結界、隠匿魔法 24時間魔力使用量6
これは当然④だろう。
見知らぬ世界、用心に用心を重ねてどこが悪い。
ここでどうやって結界を張るかという問題が生じるわけだが、これも映画のイメージとウィキ擬きさんの教えでどうにか1時間程で出来るようになった。
風呂は、意外と簡単に入れた。
水をため、そこに手をいれながら火属性の魔力を出すとお湯になる。
魔力の扱いにも、少しずつだが慣れてきた。それによりウィキ擬きさんの説明も簡素化してくる。
うん。とてもいい先生だ。
裸でお湯の調整をしているところは間抜けな姿だがここには誰もいないから気にしたものではない。
適温まで温めてザブンと入る。
シャワーは、取っ手に付いた綺麗な石に触れたら水が出た。
「つめてっ」
え?水しか出ないのか?
そう思ってシャワーを鑑定したら、魔力を流すと好みの温度にしてくれるらしい。
魔力を込めすぎると熱湯になるから注意とあった。
なるほど。
いきなり熱湯は勘弁してほしいから、水を出しながら少しずつ魔力を出す。
黒だった石の色が少しずつ赤に変わって、冷たかった水が適温になっていく。
・・・この世界、魔法が無いと何にも出来ないんだな。
身体や服を綺麗にするだけなら『クリーン』という魔法があるらしい。だから洗濯機が無いんだな。
けれど、だからと言って風呂に入って体を洗わないという選択肢は綺麗好きの日本人の遥にはありえなかった。
バスダブの脇にあった小さな棚の上には石鹸があった。固形の。
こういうところはちょっとアナログなんだな。
遥は日本では液体のボディソープを使っていた。
ハンドソープもそうだし、洗顔も泡で出てくるタイプを愛用していた。
固形石鹸を使う機会など、学校の洗面所くらいだった。
シャンプーとリンスは無かった。
下手に便利な魔法があるから、それ以外の事が発達していないのだろうか。
仕方なくその石鹸で頭から足の指先まで全部洗う。
完全に髪がなくなった祖父が楽ちんでいいだろう?と笑っていたのを思い出す。
陽気なじいちゃんにももう会えない。
「あーあ・・・」
可愛がってくれていたじいちゃんも俺の事は覚えていないのだろう。
頭からお湯をかぶり俯くと、流れるお湯に交じってしょっぱい水が落ちた。
おや?
【戸締りの方法を選べます】
へえ・・・。
【視線に魔力をこめ対象を鑑定してみましょう】
視線に、って言われても。
【出来なければ手で触れ、対象に自分の魔力を纏わせながら眼に力を込めてみてください】
結局は眼力なのかよ(笑)
一度目を閉じ、的を見るように視線に力を籠める。
すると目の前に新しいウィンドウが開いた。
ハルカ・ツヅキの家
価格 ××××
戸締り方法選択
①鍵を付ける 魔力使用量0
②鍵を付け、魔力登録者のみ受け入れ 24時間魔力使用量1
③鍵有り無し選択の上、魔力登録者のみ受け入れ、結界 24時間魔力使用量3
④鍵有り無し選択の上、魔力登録者のみ受け入れ、結界、隠匿魔法 24時間魔力使用量6
これは当然④だろう。
見知らぬ世界、用心に用心を重ねてどこが悪い。
ここでどうやって結界を張るかという問題が生じるわけだが、これも映画のイメージとウィキ擬きさんの教えでどうにか1時間程で出来るようになった。
風呂は、意外と簡単に入れた。
水をため、そこに手をいれながら火属性の魔力を出すとお湯になる。
魔力の扱いにも、少しずつだが慣れてきた。それによりウィキ擬きさんの説明も簡素化してくる。
うん。とてもいい先生だ。
裸でお湯の調整をしているところは間抜けな姿だがここには誰もいないから気にしたものではない。
適温まで温めてザブンと入る。
シャワーは、取っ手に付いた綺麗な石に触れたら水が出た。
「つめてっ」
え?水しか出ないのか?
そう思ってシャワーを鑑定したら、魔力を流すと好みの温度にしてくれるらしい。
魔力を込めすぎると熱湯になるから注意とあった。
なるほど。
いきなり熱湯は勘弁してほしいから、水を出しながら少しずつ魔力を出す。
黒だった石の色が少しずつ赤に変わって、冷たかった水が適温になっていく。
・・・この世界、魔法が無いと何にも出来ないんだな。
身体や服を綺麗にするだけなら『クリーン』という魔法があるらしい。だから洗濯機が無いんだな。
けれど、だからと言って風呂に入って体を洗わないという選択肢は綺麗好きの日本人の遥にはありえなかった。
バスダブの脇にあった小さな棚の上には石鹸があった。固形の。
こういうところはちょっとアナログなんだな。
遥は日本では液体のボディソープを使っていた。
ハンドソープもそうだし、洗顔も泡で出てくるタイプを愛用していた。
固形石鹸を使う機会など、学校の洗面所くらいだった。
シャンプーとリンスは無かった。
下手に便利な魔法があるから、それ以外の事が発達していないのだろうか。
仕方なくその石鹸で頭から足の指先まで全部洗う。
完全に髪がなくなった祖父が楽ちんでいいだろう?と笑っていたのを思い出す。
陽気なじいちゃんにももう会えない。
「あーあ・・・」
可愛がってくれていたじいちゃんも俺の事は覚えていないのだろう。
頭からお湯をかぶり俯くと、流れるお湯に交じってしょっぱい水が落ちた。
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